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ミトラ(ミスラ)

ミトラは、アフラマズダ・アナーヒータと並んで、ゾロアスター教で最も信仰 を集める神のひとつです。ミトラは契約の神であり、現世に利益を与える神で あり、仏教の勢至菩薩との関連、或いは阿弥陀如来との関連を指摘する意見も あります。

ミトラは本来はヴァルナとともに天空神と考えられていましたが、次第にヴァ ルナが夜天、ミトラが昼天と考えられるようになり、光の神また太陽の神とし ての性格付けが行なわれました。ザラスシュトラ自身はこのミトラは無視して おり、光の神としての性格はアフラマズダに与えています。なお、ミトラのも うひとつの役割はスラオシャ、ラシュヌ冥界の裁判官を勤めることです。これ はミトラが契約の神であることと関連していて、ミトラは契約を破るものに対 しては厳しい懲罰者となるのです。

ミトラについて書かれた経典は「ミフル・ヤシュト」と呼ばれます。35節か らなるやはり長いものです。

「アルドゥーイ・スール・ヤシュト」では「ザラスシュトラよ、私の為にアナ ーヒータを祀りなさい」とアフラマズダが言っているのに対して「ミフル・ヤ シュト」でのアフラマズダの言葉は「ザラスシュトラよ、私のようにミトラを 祀りなさい」になっています。この辺りミトラ信仰の性格が伺えます。

ミトラについて「ミフル・ヤシュト」は次のように述べています。  ・広き牧地の主  ・被造物の中で最も強いもの  ・ミトラに向って槍を投げても矢を射ても届かない  ・正しき言葉を語り、雄弁なるもの  ・何者によっても欺かれない  ・千の耳を有し、万の目を持ち、背は高い。顔は全世界に向いている  ・八人の従者が回りを囲み、万の密偵が人間の行動を監視する  ・眠らず、常に目覚めている  ・国の平安と災難をともに支配する  ・不死の太陽の前にハラー山を越えて近付くもの  ・黄金に輝くハラー山の山頂に最初に到るもの  ・困苦や欠乏から人を救う  ・ミトラを祀るものには定められた年限(寿命)の間ミトラの保護がある  ・ナリヤハンワルティ女神、カウィの光輪、永遠の天空、ダーモイシュウバマナ、   フラワシ、ナルヨサンハが従う ミトラもまた軍神としての性格がありますが、同じ軍神としてもアナーヒータ はどちらかというと我々とともにあるもの、ミトラは敵を倒すもの、という性 格の違いを感じます。またアナーヒータが水の神であってどこにも遍在してい るのに対して、ミトラは太陽神なので遠くに居ていつも人々を見ている存在と 考えられます。顔が全世界に向いているのは太陽なら当然ですね。

ミトラは契約神ですから、ミトラを祀るものだけに幸を与え、祀らない者には 不幸を与えます。その為ミトラを祀らない敵はミトラの力により倒されますし きちんと祀っていなかったら、困苦を経験することになるという仕組です。こ の神の両義性は荒ぶる神としての日本の大物主神などに通じる所もあります。

なお、ミトラ信仰はやがてゾロアスター教から独立したミトラ教をも生みだし ました。この信仰はローマで盛んになり、やがてキリスト教がローマの国教と なるまで続いたのです。


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