
ツァラトゥストラ(2)
さて、その神の中心にアフラマズダがいますが、このマズダとは「知」という 意味で、アフラマズダは「全てを知る者」という存在です。
ただ、ここで面白いのは、アフラマズダの全知全能性は最初から備わっている ものではなく、悪との戦いによって世界の歴史の最後に達成されるものである とされる点です。つまり、アフラマズダはいわば修行中の神であり、最終的に 悪に打ち勝った時に初めて全てを知る存在となり、最後の審判の審判者となる のです。
ゾロアスター教の世界観では、人類の歴史は4つの時代に分かれるとされます。 最初の3000年は霊的創造の時代で、この期間は全ての創造物が超感覚的な 状態にあります。次の3000年は物質的創造の時代で、超感覚的存在だった 被造物が可視的な存在に移行します。第3の3000年ではアンラ・マンユが 世界に侵入してきて、この世は善神と悪魔の戦場となります。そして最後の3 000年の最初にザラスシュトラが登場して神の教えを説き、その時代の最後 に神が戦いに勝利して最後の審判がやってくるのです。現代はこの最後の30 00年間の中にある訳で、善悪混合の時代とされます。
この善悪混合の時代、人はその意志を自由に使って善に付くか悪に付くかを決 める必要があります。悪に付けば当然死後はアンラマンユの主宰する地獄に行 くことになり、善に付けばアフラマズダの神々の国である天国に迎えられます。 ゾロアスター教の考えではこの選択は完全に人間の自由意志とされ、悪いこと をすれば当然報いがあるという厳しい姿勢が保たれると同時に良いことをして いれば良い報いがあるという楽天主義的世界観が成立しやすくなります。
一般にアフラマズダは系統的にはインドのヴァルナ(水天)に相当するとされ ますが、構造的に考えると、アフラの長である存在として、アシュラの長たる バイローチャナ(ビルシャナ)つまり、仏教の大日如来に相当すると考えるこ ともできるでしょう。
