アフラマズダとバイローチャナ・仏教

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インドとイランはいづれもアーリア人の国ですので、ゾロアスター教とヒンズー教では共通の神様などがいます。

例えば、ゾロアスター教のアナーヒターとヒンズー教のサラスヴァティ(日本では弁天)、ゾロアスター教のアシとヒンズー教のラクシュミー(日本では吉祥天)、などは同じ神格と考えられますし、ゾロアスター教の悪い竜アジはインドではそのままアヒというやはり悪い竜になっています。また風の神はゾロアスター教ではワータ、ヒンズー教ではヴァーユ、火の神はゾロアスター教ではアータル、ヒンズー教ではアグニと音韻的に近いものがあります。真言のこともゾロアスター教ではマンスラといいますがヒンズー教ではマントラです。

また、ゾロアスター教とヒンズー教ではいづれも善神・悪神の対立というモチーフがあり、この思想は恐らく古いアーリア人の信仰にもとづくものであると考えられます。ところがここに面白いことがあります。

ゾロアスター教では善神はアフラと呼ばれ、悪神はダエーワと呼ばれます。これに対してヒンズー教では善神がデーヴァ、悪神がアシュラ(日本では阿修羅)ということで、名称がひっくり返っています。

このことについては、いくかつの解釈があるようなのですが、私が一番自然と思える解釈は、アーリア人の中にアフラを信仰する民とデーヴァを信仰する民があって両者は対立しており、アフラを信仰する民がイランに行って、デーヴァを信仰する民がインドに行ったのではないかというものです。そのため、対立する民の神を悪魔ということにしてしまったのではないか、という訳です。

さて、そのイランの善神アフラの長がアフラマズダである訳ですが、インドの方では悪神のアシュラ族を管理している神はバイローチャナと呼ばれています。

このバイローチャナは中国や日本ではビルシャナ(毘廬舎那如来)と呼ばれ、華厳宗(けごんしゅう)の中心仏とされています。奈良の大仏は毘廬舎那如来です。更にこの毘廬舎那如来が後世発達した密教では大日如来(だいにちにょらい)と呼ばれ、特に真言宗(しんごんしゅう)ではその中心仏とされて胎蔵曼陀羅(たいぞうまんだら)・金剛界曼陀羅(こんごうかいまんだら)の両部曼陀羅(りょうぶまんだら)の中心に描かれています。

つまり、毘廬舎那如来・大日如来の原型はアフラマズダであると考えられます。

アフラマズダは一般には光の神と考えられていますが、それは現在の姿であって、最終的には全能神になると考えられます。一方の大日如来は光の神としての性質もありますが、むしろ宇宙そのものの象徴です。つまり大日如来はアフラマズダの最終進化形態に対応しているようです。

日本で中世に発達した神仏習合思想では、大日如来は天照大神(あまてらすおおみかみ)に対応すると考えられました。天照大神は太陽神・光の神ですから、この対応は非常に妥当なところです。

そして、この天照大神の弟は根の国(冥界)を司る神・素戔嗚命(すさのおのみこと)で、そのまたの姿は祇園神社の御祭神・牛頭天王です。牛頭天王は疫病を鎮める神とされており、バイローチャナがアシュラ族を管理している姿とだぶる面もあります。

光と闇は紙一重のところにあります。


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