世界の神話(30) 世界の始まり/北欧編

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何もない世界にギンヌンガの淵があった。その淵の北には氷と雪に覆われた 霧の国ニフルヘイム、南には猛火の燃える炎熱の国ムスペルヘイムがあった。
淵の底にはエリヴァガルという川が流れていた。ムスペルヘイムから熱風が 吹いて来てニフルヘイムの氷雪の壁に当ってその氷をとかし、水がギンヌン ガの淵に落ちたが、その水はニフルヘイムから吹いてくる寒風で凍り付き、 これが何万年も繰り返されている内に巨大な氷塊になった。そこに熱風が吹 き付けている内、氷塊に生命が宿り巨人ユミルが出てきた。

巨人ユミルが食べ物を探していて融けた氷の中から牝牛アウドムラが生まれ た。彼がその乳房から乳をたっぷり飲むと汗をかき、両脇の下から男女の巨 人、股の間からは頭の6つある巨人が生まれた。これが霜の巨人族である。
アウドムラも何か食べたいと思って塩気を帯びた氷をなめていた。すると氷 の中から1日目に髪、2日目に人間の顔が現れ、3日目には全身が現れた。
これがブリで、その息子がボル、そのボルが巨人族の娘ベストラと結婚して オージン・ヴィリ・ヴェーの3兄弟が生まれた。

三兄弟は協力してユミルを倒し、その巨大な体をギンヌンガ淵の真ん中に据 えて大地とした。血が流れ出て海や湖になり、骨や歯が山脈や岩に、毛は森 林となった。頭蓋骨は空に投げ上げて空の丸天井にし、脳味噌が雲になった。
この時血の洪水で巨人族は一組の夫婦を除いて絶滅したが、その夫婦から新 しい巨人族がうまれ大地の果てに住みついた。ユミルの体が腐ると中からウ ジのようなものが出て来て、小人族のはじまりとなった。世界はまだ暗かっ たのでムスペルヘイムから飛んでくる火花の大きいのをとって太陽と月とし、 小さいのを星にして空にばらまいた。

ある日オージンたちが海辺を歩いていると2本の木が流れついた。彼らはそ れを自分たちに似せて刻み命を吹き込んで人間を作った。堅い木アスクから 男が、柔らかい木エンブラから女が作られた。人間は大地の中央ミッドガル トに休ませた。

巨人を解体して世界が作られたという神話は世界各地にあるが、北欧のもの はその代表的なもののひとつである。

(1999-06-27)
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