世界の神話(29) ラーマ

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ラーマに関する物語は、インド最古の叙事詩といわれる「ラーマーヤナ」に 描かれています。(ラーマーヤナはAD2世紀頃のヴァールミーキの作品。これ とともにインド2大叙事詩といわれる世界最長の叙事詩「マハーバーラタ」
は4世紀頃のビヤーサの作です。ラーマーヤナは24000シュローカ,マハーバー ラタは10万シュローカあります。ここに1シュローカ=32音節)

「ラーマーヤナ」は全部で7章に分かれています。この内最後の第7章は他の 章に比べて構成や音韻で劣っており、後世の加筆であろうと推測されていま す(ヴァールミーキ自身まで登場する)。以下ともかくも順に見ていきましょう。

第一章[少年編](これも後世の加筆の説あり) 神々はランカ(スリランカ,別名セイロン)の王ラーヴァナの乱暴を押さえ る方法を練っていた。ラーヴァナは神によっても悪魔によっても倒されな いという保証をブラフマーから得ていたため、神々にもどうにもならなか ったのである。そこでヴィシュヌが人間の身を借りてラーヴァナを倒すこ とになった。

(ブラフマーとヴィシュヌ、そしてこのすぐあと出てくるシヴァの3人が インドの最高神である)

さて、アヨーディヤのダシャラタ王には長い間子供がなかったので、ある とき儀式をして、世継ぎの誕生を神に祈った。すると突然4人の男の子が授 かった。第一王妃カウサリヤーから生まれた子はラーマ、第二王妃カイケ ーイから生まれた子はバラータ、第三王妃のスミトラーから生まれた二人 の子はラクシュマナ、シャトルグナ、と名付けられた。4人は仲が良く、 中でも特にラーマとラクシュマナは子供の頃から冒険心にあふれ、修行者 をいじめている悪魔などを見ると行って退治したりした。

ある時、ジャナカ王の娘シータが婿を捜しているという話を聞き、ラーマ も出かけた。花婿の条件はシヴァが与えた弓をひけることであった。ラー マはこの弓を折れるほど引いて優勝し、シータを獲得する。

第二章[アヨーディヤ編] ラーマがシータと結婚すると、ダシャラダはラーマに王位を譲ろうと思い 即位式の準備を始める。そんな時、第二王妃カイケーイは王にひとつだけ 自分の願いを聞いて欲しいと言う。王が承知するとそれは彼女の息子のバ ラータを王位に付け、ラーマを14年間国から追放する、ということであっ た。王は驚くが約束してしまったものは仕方がない。みんなが嘆く中ラー マは王宮を後にする。これに従ったのはシータとラクシュマナであった。
ダシャラダ王は精神的なショックから死んでしまう。

一方、渦中の人バラータはこの騒動の時不在であった。戻って来てから話 を聞くと激怒し、母に猛烈に抗議するとともに、すぐにラーマを追いかけ て行って、王宮に戻ってくれるよう説得する。しかしラーマは一度国王が 決めた事はくつがえせないと言う。やむなくバラータはラーマのサンダル を持ち帰り、王座にそれを置いて自分は副王として政治を執る。

第三章[森林編] 森で暮らすラーマたちをある時、ラーヴァナの妹のシュールパナカーが見 つけ、ラーマに思いを寄せる。しかしラーマはこれを拒否。するとシュー ルパナカーは嫉妬からシータを襲った。これにラクシュマナが応戦し、彼 女の鼻と目を傷つけた。その話を聞いたシュールパナカーの弟カラは1万 4000人の部下を引き連れてラーマたちを襲う。しかしラーマたちは果敢に 戦って、この大軍を全滅させた。カラも戦死する。

そこでシュールパナカーは兄のラーヴァナに助けを求める。ラーヴァナは 策略を用いてラーマとラクシュマナをシータから引き離し、その隙に彼女 を誘拐して、スリランカ島に連れて行ってしまった。その様子を見ていた ガルーダの化身ジャターユはシータを助けようとするがラーヴァナに倒さ れる。やがていなくなったシータを探しに来たラーマたちに事の次第を告 げてジャターユは絶命する。

(ガルーダはヴィシュヌの乗り物なので、ヴィシュヌの化身であるラーマ にとっては本来の部下なのである)

第四章[キシュキンター編] ラーマは猿の王スグリーヴァと知り合い、協定を結ぶ。スグリーヴァは弟 のバーリにより国を追放されていた。スグリーヴァは国を取り戻すのに協 力してくれたら、自分も二人を支援すると約束した。やがてラーマたちの 協力によりバーリは倒され、スグリーヴァは復位する。そしてスグリーヴ ァは猿の軍団にシータの捜索を命じた。その指揮官はハヌマーンであった。
やがてハヌマーンは海を越えて、スリランカでシータを発見する。

第五章[美麗編] ハヌマーンはシータにラーマの印を渡して安心させてから、ラーヴァナの 要塞で大暴れをするがやがて捕らえられる。ラーヴァナはハヌマーンのし っぽに火を付けさせるが、彼は熱がっているふりをしながら要塞の中を転 げ回り、結果的に大火事を起こさせる。

ハヌマーンはそのまま帰還して、ラーマに相手の城の様子などを報告する。
ラーマたちはシータ奪還のための作戦を練る。猿たちはヴィスヴァカルマ の息子のナラの指導で水に浮く石を作り、その石でインドからスリランカ に渡る橋を架けた。

第六章[戦闘編] ナラの橋を渡って、ラーマや猿の軍団がスリランカになだれ込んだ。激し い戦闘になり、ラーマとラクシュマナも大けがをする。彼らを救うには ヒマラヤの高山の上に生えている薬草を採ってくるしかない。するとハヌ マーンは空を飛んでヒマラヤへ行き、山の頂上をまるごと切り取って持ち 帰った。この活躍で二人の命は救われ、二人とも戦線に復帰する。

そしてやがて戦闘はラーマとラーヴァナの一騎打ちになった。二人は一昼 夜にわたって戦うが決着が付かない。ラーマがラーヴァナの首をいくら はねても、またすぐ生えてくるためである。そこでラーマは最後の手段と して、賢者アガスティヤから渡されていた矢を使うことにした。この矢は 本来はブラフマーのもので、神々のエネルギーに満ち、翼には風が頭部に は太陽が、そして矢の中には大きな山の重さが入っていた。矢はまっすぐ に飛んでラーヴァナの胸を貫き、ラーヴァナは倒れた。

第七章[最終編] シータは救出されたが、ラーマは彼女がラーヴァナに囚われていた間に貞 操を失ったのではないかと疑った。そこで彼女は薪に火を付け、ラクシュ マナに自分をそこに投げ込んでくれと頼んだ。自分は無実だから絶対に神 の加護があるからというのである。そこでラクシュマナがシータを燃えさ かる火の中に放り込むと、火神アグニが彼女を助けてラーマの元に連れて いった。そうして二人は改めて結婚式をあげ、ラーマも王位に復帰した。

数年後、平和な時が続いていたがいまだに民衆の中にはシータを疑うもの も多かった。そのためシータは王宮を出て、森の中で二人の子供を産んだ。
子供たちはやがて国に戻りラーマから自分の子供として認知される。ラー マはシータにも戻ってくれるように言う。シータは民衆たちの前で自分は ラーヴァナから確かに貞操を守ったと宣言した上で、大地の神に自分の言 葉を証明してくれるように要請した。大地は彼女の願いを聞き入れ、彼女 を地中に呑み込む。シータを失ったラーマは悲嘆にくれて死を望み、やが てラクシュマナに付き添われて昇天する。

(1999-06-22)
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