世界の神話(26) 女渦

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女渦(渦は本当は女偏)は中国古代の三帝のひとりで、現代では一般に伏義と セットで考えられています。どちらも人面竜身であったとされ、二人がその竜 身をDNAのように、からみ合わせて立っている絵が好んで描かれました。が、 こういう話になったのは漢代以降のことで、それ以前は女渦は単独の大地母神 として信仰されていました。

もともとこの神は「咼」だった模様で、女神を表すために女偏にし、更に頭に 女の字を付加したようです。この「咼」はうずまきを表した象形文字。この神 は元々は宇宙を産み出した始原神で原初のカオスがぐるぐると回っている様子 を表していたのが後世にはそのぐるぐる回る様子が蛇がとぐろを巻く姿にたと えられたとも言われます。

女渦はいろいろなものを生み出しており、たとえば笙の笛なども作ったといわ れ音楽の神の要素もあるようですが、人間を作ったのも女渦であるとされます。

この時最初は黄土をこねて、一人一人人間を作っていたのですが、その内面倒 になってきて、縄を泥水の中に入れて引いて回り、飛び跳ねた泥水の粒を全部 人間にしてしまったと言われます。そのため、人間にはできのいいのと悪いの とがあるのだそうです。

ある時、共工という神様がほかの神様と喧嘩をしていて、天や地をあちこち壊 してしまいました。天の柱は折れ、地も傾き、水があふれて来てあちこちで大 火事がおきて悲惨な状態になりました。ここで女渦は五色の石で天の破れた所 を修繕し、鼇(大亀)の足を切ってそれで地の四極(北極・南極・西極・東極) を支え、芦草を燃やした灰で洪水をうずめて止め、天地の秩序を回復したとさ れます。

女渦と洪水伝説というのは非常に関連が深いようで、後代の伏義とセットにさ れた伝説では、ある時大洪水が起きて伏義と女渦の二人の兄妹だけが生き残っ たため、ふたりが結婚してその後の人類の祖となった、という話もあります。
また、別の伝説では、伏義が初代の王、女渦が2代目の王で、いづれも治水工 事に努力したとも言われます。

女渦の大地母神としての性格は、中国では後に西王母に引き継がれています。
西王母は西方の流砂のほとりの崑崙という城に住んでおり、前方に赤水・後方 に黒水の二つの大河が流れていて、少し離れた所には炎火の燃える山があると されます。そしてその城には9つの井戸と9つの門があり、開明獣(スフィン クス?)が城門を守っています。西王母は人面虎身あるいは、虎の歯と豹の尾 を持つ女王で、頭に髪飾りをしているとされます。この崑崙の場所については 諸説があるようですが、赤水・黒水はチグリス・ユーフラテスであるという説 もあり、そうなると月の女神アルテミスとの関連も考えられるかも知れません。

(1999-06-07)
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