世界の神話(16) トロイ戦争(3)イリアス

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さて、いよいよギリシャとトロイの戦いが起きますが、この戦いは9年間続き、 その中に数々のエピソードがありました。その全容はホメロスの長編の叙事詩 「イリアス」で知ることができます。「イリアス」とはトロイの別名です。

戦況は一進一退で、なかなか決着が付きませんでした。ある時ギリシャ勢はト ロイの娘たちを数人とらえますが、アガメムノンがその中のクリュセースを、 アキレスがプリセイスを自分のものにします。ところがクリュセースはアポロ ンの巫女であった為、アポロンがこれを怒りギリシャ軍を妨害しました。そこ で、アキレスがアガメムノンにこの件はお前が悪いと言いクリュセースを解放 するよう言ったところ、アガメネノンは解放するからその代りにプリセイスを よこせと言います。アキレスは怒ってプリセイスをアガメムノンに渡しはした ものの、もう自分は帰ると言い出し、船の中に閉じ篭ってしまいます。そして 誰かが来て戦いに参加するように頼んでも聞き入れませんでした。

アキレスが参加しないと、ギリシャ側の劣勢はどうしようもない状態でした。
医師として随行していたマカオンまで、トロイに加勢していたアマゾンの女王 ペンテシレイアに殺されました。彼の死体をのせた車がアキレスの船の近くを 通った時、アキレスは親友のパトロクロスに、あの車で運ばれている老人は誰 か見てくるように頼みました。マカオンの死体を運んでいたのはネストルでし たが、彼はパトロクロスに戦況を訴え、アキレスを何とか説得して欲しいと頼 みました。パトロクロスも心を動かされ必死にアキレスを説き伏せます。そし てついにヘパイストスがアキレスの父ペレウスに与えた甲冑をパトロクロスが 着て、アキレスの軍勢を率いて戦うことを許可します。

パトロクロスの率いた一軍がやってくると、トロイの兵士たちはてっきりアキ レスがやってきたと思って総崩れになって逃げ出します。ここで戦況は逆転し たのです。パトロクロスは勢いに乗って進軍し、敵の勇者サルバードンも倒し ました。しかし大将のヘクトルとの一騎打ちになった時、きまぐれなアポロン がヘクトルを守護した為、ついに彼の前に倒れてしまいました。

パトロクロスが倒れて甲冑がヘクトルの手に入ったことを知ったテティスはヘ パイストスの許に急行し、事情を説明してアキレスの為に前のよりもっと丈夫 な甲冑を作ってくれるよう要請します。アキレスはその新しい甲冑を受け取る と、アガメムノンの所に行き、もう一度一緒に戦おうと申し入れ、アガメムノ ンもむろん承知して両者和解します。そしてギリシャ軍の総攻撃が始まります。

アキレスはトロイ王家の一人アイネアスと引き分けの大死闘を演じた後、いよ いよヘクトルと対決します。両者の戦いも激しいものでしたが、やがて自分の 方が力が下とさとったヘクトルは逃げ出します。しかしアテナが彼をあざむき 逃げずに最後までアキレスと戦わざるを得なくします。そしてヘクトルは自分 の運命を知りつつも最後の戦いを挑み、アキレスの前に倒れるのです。

この勝負でこの戦争の帰趨はほぼ決りました。

アキレスは勝利を喜び、ヘクトルの死体を戦車にしばって引きずり回します。
これを不憫に思ったトロイ王プリアモスはたった一人の従者だけを連れて、夜 ギリシャの陣地を訪れ、アキレスの前に土下座してヘクトルの死体を返してく れるように懇願します。アキレスもこの老王の姿に涙を誘われ、息子の遺体を 返してやるのです。

ここでイリアスの物語は終わっています。

(1999-05-10)
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