世界の神話(2) ディオニュソス

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今日はギリシャ神話に行きましょう。オリンポス12神に最後に加わった、ぶど うと酒の神様、ディオニュッソスです。

ディオニュッソス(バッカス)はゼウスの子で、母についてはペルセポネ、レテ など諸説ありますが、セメレという説が有名です。セメレは人間の娘ですが、 ゼウスの訪問を受けて身篭りました。彼女はいつも夫が変装しているのにある 時気付き、その変装を解いてくれるように頼みました。これはゼウスの妻ヘラ の陰謀だったとも言われます。

何度も頼まれて困ってしまったゼウスですが、とうとうある日拒否できなくて 本来の姿をあらわします。するとセメレはゼウスの雷に当って死んでしまいま した。ゼウスはこれを嘆き、せめてお腹の中の子供だけでも育って欲しいと、 その子供を自分の腿の中に入れ、臨月まで育てました。こうして、ディオニュ ッソスはアテナと唯2人だけの、ゼウスから生まれた子供となりました。

ディオニュッソスはセメレの妹のイノら3人の女に(ヘラから守るため)女の子 として育てられ、後に牧神パンの息子シレノスに教育を受けました。後に彼は 冥界を訪問し、地獄の女王ペルセポネを感激させるようなプレゼントをして母 を地上に戻すことを許してもらいました。そして父ゼウスに頼んでセメレを神 の列に加えてもらいます。

ディオニュッソスは先生のシレノスと一緒に各地を旅し、人々にぶどうの栽培 を教えました。かれらにはぶどう酒に酔って踊る崇拝者の集団ができていき、 「バッカスの巫女」と呼ばれるようになりました。

二人は非常に陽気で、しかもクレイジーでしたし、崇拝者たちもクレイジーで した。中には酒と信仰と踊りで完全に酔ってしまい正気を失ってその辺りにい る者をバラバラに引き裂いて殺す者もあったとされます。一説によればディオ ニュッソス自身も引き裂かれて神々に食べられてしまったといいます。この時 アテナだけが自分の分け前とされたディオニュッソスの心臓を食べずにゼウス に返し、ゼウスはこの心臓で飲物を作りセメレに飲ませ、その結果彼女は再び ディオニュッソスを妊娠したのだとされます。その場合最初にディオニュッソ スを生んだのは冥界の女王ペルセポネであるともいいます。

(アテナがディオニュッソスを助けたというのは意味深です。クロノスが父の ウラノスを倒し、ゼウスが父のクロノスを倒したようにゼウスもやがて自分の 子供に倒されるという説があります。その一番の資格者はゼウス自身が産んだ アテナとディオニュッソスです)

一般にディオニュッソスは永遠の少年イアッコスと同神とみなされますが、イ アッコスはまたペルセポネ自身が冥界から再生した姿でもあり、ディオニュッ ソスは常に死と再生というテーマと深く関わっているようです。

後にディオニュッソスはテセウスに置き去りにされていたクレタ島の王女アリ アドネを助け、彼女をなぐさめて、やがて結婚したと言われています。この結 婚式の時にアリアドネがかぶった金の冠は天上にあげられて星座になりました。

ディオニュッソスは死とも深く関わっていますが性とも深く関わっています。
彼は日本の大国主神やインドのシヴァなどと同様、非常に異名の多い神ですが その異名の中にオルトス(直立するもの)というものもあり、男根崇拝との関連 も伺えます。またアルセノテリュス(両性を持つ者)とかデュアロス(両性の者) という名もあり、最初女の子として育てられたという伝説などと合わせてみて も、彼が両性具有的な性質も持つことが伺えます。この付近は秘教の中にあっ て公開されなかったものの一つのようです。彼とデーメーテルとペルセポネを 主人公とするエレウシスの秘儀(ポンペイ遺跡の壁画で有名)も非常に女性色 の強い秘祭で、男性は女装して参加しなければなりませんでした。

(1999-03-13)
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