ロンドン橋落ちた

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今日は超有名な「ロンドン橋」です(^^) これも歌詞自体に幾つかのバージ
ョンがありまして、連数も8連,12連,18連などいろいろあります。

 London bridge is falling down,    ロンドン橋落ちる
 Falling down, falling down,      落ちた、落ちる
 London bridge is falling down,    ロンドン橋落ちる
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Build it up with wood and clay,    木と泥で作れ
 Wood and clay, wood and clay,     作れ、作れ
 Build it up with wood and clay,    木と泥で作れ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Wood and clay will wash away,     木と泥じゃ流れる
 Wash away, wash away,         流れる、流れる
 Wood and clay will wash away,     木と泥じゃ流れる
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Build it up with bricks and mortar,  煉瓦(れんが)と漆喰(しっくい)で作れ
 Bricks and mortar, bricks and mortar, 作れ、作れ
 Build it up with bricks and mortar,  煉瓦(れんが)と漆喰(しっくい)で作れ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

ここの部分mortarはモルタル(漆喰)ですが、谷川俊太郎はここを「れんがと
すなで」と訳しています。モルタルが砂にはならないでしょうが音数を考え
た末の苦心の訳でしょう。

 Bricks and mortar will not stay,   煉瓦と漆喰じゃ崩れる
 Will not stay, will not stay,     崩れる、崩れる
 Bricks and mortar will not stay,   煉瓦と漆喰じゃ崩れる
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Build it up with iron and steel,   鉄や鋼(はがね)で作れ
 Iron and steel, iron and steel,    作れ、作れ
 Build it up with iron and steel,   鉄や鋼で作れ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Iron and steel will bend and bow,   鉄や鋼じゃ曲がる
 Bend and bow, bend and bow,      曲がる、曲がる
 Iron and steel will bend and bow,   鉄や鋼じゃ曲がる
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Build it up with silver and gold,   銀と金で作れ
 Silver and gold, silver and gold,   作れ、作れ
 Build it up with silver and gold,   銀と金で作れ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Silver and gold will be stolen away, 銀と金じゃ盗られる
 Stolen away, stolen away,       盗られる、盗られる
 Silver and gold will be stolen away, 銀と金じゃ盗られる
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

ここでなぜ gold and silver ではなく silver and gold としたのかはよく
分かりませんが、古い時代の西洋では一般に銀の方を金より重視する習慣が
ありました。そのため今では考えられない、金に銀メッキを施した細工物な
どというのが残っています。

 Set a man to watch all night,     寝ずの番を置こう
 Watch all night, watch all night,   置こう、置こう
 Set a man to watch all night,     寝ずの番を置こう
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Suppose the man should fall asleep,  眠くなったらどうする
 Fall asleep, fall asleep,       どうする、どうする
 Suppose the man should fall asleep,  眠くなったらどうする
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

 Give him a pipe to smoke all night,  パイプでタバコを吸わせろ
 Smoke all night, smoke all night,   吸わせろ、吸わせろ
 Give him a pipe to smoke all night,  パイプでタバコを吸わせろ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

えー、2行目の訳が変ではないかと思われるかも知れませんが(^^;この詩の
2行目というのは要するに1行目の最後の言葉を繰り返しているものな訳で、
でしたら日本語訳もそれを踏襲してもいいのではないかと思います(^^;ここ
は基本的によく知られているメロディーで何とか歌えるように訳しました。

今回採用したバージョンでは木→煉瓦→鉄→金銀と話が発展していき、その
金銀を盗まれないように番人を置こうという話で落ち着いています。(更に
番犬も置けというのもある)しかし別のバージョンでは、金銀では盗まれる
ということになった時、次のように続いてそれならokという形で終わるも
のもあります。

 Build it up with stone so strong,   丈夫な石で作れ
 Stone so strong, stone so strong,   作れ、作れ
 Build it up with stone so strong,   丈夫な石で作れ
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

また今回採用したくて探したものの見つからなかったバージョンでは人柱を
立てたらどうだ?それは可哀想だ、という形で話が展開しているものもあり
ました。中学生の頃に1度見たことがありますが、その頃の資料が7〜8年前
に実家を建て直した時に全部紛失してしまいまして、今回図書館までいって
調べて来たのですが、見つけることができませんでした。

なお先頭の London bridge is falling down ですが broken down と歌う人
もいます。これは一般にイギリスではbroken downが、アメリカではfalling
downが多いそうです。子供が二人でアーチを作り、他の子供がその下を次々
にくぐり抜けて、歌を歌い終わった所で「さ〜あ〜落ちた」とやるお遊びは
日本には恐らく明治時代に入ってきたものと思われますが、イギリスでは17
世紀頃から行われていたそうです。ここで捕まった子供は要するに橋を作る
時の人柱として選ばれた、という意味なのでしょう。

イギリスの歴史を大雑把に紐解きますと、ストーンサークルなどの巨石文化
を作った先住民族を紀元前4世紀頃にケルト人が駆逐し、その後紀元前後に
ローマが侵入して属領を作り、更に4世紀頃今度はアングロサクソンが侵入
して、それ以後イギリスの中核民族として定着しました。その後11世紀に
バイキングが侵入して王権を樹立(ノルマンジー公ウィリアム)しますが、
これは支配層のみです。

ロンドン橋は1世紀頃にテームズ川の北側にあったローマの砦からテームズ
南岸へ行くために架けられた橋で、1750年にウェストミンスター橋ができる
までは両岸を結ぶ唯一の橋でした。昔は木の橋で何度も流失・焼失しては架
け替えられるということを繰り返しており、それが1209年に丈夫な石橋がで
きるまで続きました。この橋は非常に丈夫だったのですが数百年の時を経て
痛んで来て1831年アーチ型の石橋に架け替えられます。しかしこの橋は余り
持たずに1973年コンクリート製の橋に変りました。その時古い橋はアメリカ
人が買い取ってアリゾナ州に移設しましたので、この歌に次のような一節が
付加されました。

 Yankee Doodle keep it up       メリケン人が持ってった
 Keep it up, keep it up        持ってった、持ってった
 Yankee Doodle keep it up       メリケン人が持ってった
 My fair Lady.             マイフェアレディ。

なお、この歌の古いバージョンは次のようになっています。

 London bridge is broken down,
 Dance over my Lady Lee,
 London bridge is broken down,
 With a gay lady.

現在流布している詩で My fair Lady となっている所が、 Lady Lee, 及び
a gay lady となっています。そもそもこの「My fair lady」という言葉は
意味不明なのですが、Lady Lee も gay lady も意味不明なのは同様です。

先にも触れたように橋作りには人柱はつきもので、この My fair Lady とか
Lady Lee というのは人柱にされた女性を指しているのではないかという説
もあります。また人柱というのでは、「寝ずの番」というのも実は人柱の
意味ではないかという説もあります。つまり人柱の役目はそこに埋められる
ことによってその橋をずっと永遠に守ることだという訳です。人柱というの
は後世には罪人や捕虜などを当てたりしましたが、古い時代には巫女や首長
などが進んで人柱に立っていたりします。その時眠ってしまわないようにと
いうことで、ろうそくや食料を握らせて埋めたこともあるようです。人柱の
埋め方はイギリスではどうか分かりませんが、日本の場合は罪人などはまさ
に柱に縛り付けてそのまま埋めたりしたこともあるようですが、進んで人柱
に立った人の場合は大きな桶に入れて埋めた場合もあるようです。その場合
埋められた人は息が絶えるまでお経や念仏を唱えたりしていたそうです。

竹友藻風は基本的には古い方の形式から訳していて

 ロンドン橋が落ちた
 踊って越えよ、レイディ・リー
 ロンドン橋が落ちた
 伊達なレディと、えんやらさ

としています。北原白秋は2行目・4行目はばっさり切って(^^;1行目と3
行目だけにしてしまいました。谷川俊太郎のは直訳風です。しかし、藻風の
「えんやらさ」はいいですね。結局はこの My fair lady というのは、一種
のはやし言葉と化していますから、思い切ってそういう方面に持っていった
のはすごいです。

なおミュージカルの「マイ・フェア・レディ」というタイトルはこの詩が元
になったのだそうです。




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