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written by そよ風 on 98/07/07 01:35


●立ちわかれ いなばの山の 峰に生ふる まつとしきかば 今帰り来む/中納言行平

解説:−
 やはり百人一首とあれば、この程度の技巧は期待したいところですね。

 「いなば」は「往なば」と「因幡」の掛け詞。「分かれて行く」そしてその
 行き先は因幡の国ということになっています。それから「まつ」も「松」と
 「待つ」の掛け詞。「峰に生えている松」「待つとさえ聞いたら」というわ
 けです。

 というわけで、歌の意味はこうなります。

  今あなたと別れて任地の因幡の国に赴きますが、その因幡の国の峰に生え
  ている松。その松の名のようにあなたが待っているということさえ聞くこ
  とができましたら、私はすぐにでも帰って来ましょう。

 中納言行平は在原行平(818-893)。次に出てくる有名な在原業平(825-880)の
 お兄さんです。大宰権帥・中納言民部卿を歴任し、学問所・奨学院を建てま
 した。行平の歌として有名なものには源氏物語・須磨の帖にも引用されてい
 る次の歌があります。

   旅人は 袂涼しく なりにけり 関吹き越ゆる 須磨の浦風
   わくらばに 問ふ人あらば 須磨の浦に 藻塩垂れつつ 侘ぶと答へよ

 特に下の歌は能の『松風』のモチーフとなっており、そこでは、行平を慕う
 姉妹・松風と村雨の情熱が幻想的に歌われます。

試訳:−
 Leaving now from you
 Toward Inaba where pine trees stand
 In the mountain there;
 If you wait for me
 I will soon return to you.

 by Imperial adviser Yukihira.



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