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英訳百人一首(09)花の色は
written by そよ風 on 98/05/04 06:27
●花の色は移りにけりな、いたづらに わが身世に降るながめせしまに/小野小町 解説:「世に降る長雨」と「眺めせしまに」で掛詞になっています。花の色と いうのは具体的には現実の花ですが、それに自分の若さ・美しさを掛け て、自分の衰えを大胆に歌に詠み込んでいる訳です。そう言ってしまう、 ということは言外に自分がまだまだ美しいことを主張している訳で、相 当の美人でなければ許されない歌ですが、実際に彼女は相当の美人であ ったものと思われます。 美人で歌がうまくて、というと万葉の歌人・額田王(ぬかたのおおきみ) を思わせる所がありますが、この小野小町の出自や身分・生没年などは 分かっていません。 小野篁の孫娘で帝に仕える女御だったのではないかとも言われています。 篁の孫娘であれば、850年前後の生まれという計算になりますが、一方で は信用度は低いですが「古事談」(1212頃成立)に在原業平が860年頃に 小野小町の遺骨を見たという記事がありますので、そうすると今度は780 年か790年くらいの生まれでないと計算が合わないと思われます。850年 頃の生まれなら小町の相手は清和天皇あたり、780年頃の生まれなら嵯峨 天皇あたりの計算になります。また宮中で大伴黒主と歌比べをしたとい う話もありますが、黒主もまた年代が不明なので、結局よく分かりません。 ただ百人一首というのは多少の前後はあるものの、だいたい時代順に歌 が配列されています。だとすると、小町の祖父という説のある篁の歌が 実はこの歌の2つ後に並べられているのは少し変な気もします。とする と、私はむしろ小野小町は古事談の記事から推察されるように790年前後 の生まれの人なのではないか、という気もします。米沢の小野川温泉に 承和3年(836)に小町がそこに来たという伝説があるようですし、それとも けっこう一致します。(ただし小野小町伝説は全国におびただしい数あ り、生誕の地・終焉の地と言われるところも凄い数あります) 試訳:Brilliance of flower changes, As I've been seeing in vain The tired long rain, Falling widely In this world mundane. by Komachi Ono 最後が苦しいですね。誰か代案ないでしょうか(^^; wane に持っていく手も 考えたのですが、折角元歌が言外に詠んでいるものをわざわざ明言するのも 野暮だと思ってやめました。 小町については、もう上で随分書いてしまいました。