↑ さびしんぼう
【今日のβサルベージ】
 今日は大林宣彦監督の「さびしんぼう」。尾道四部作の第3作目です。
 大林監督は尾道を舞台にした作品を多数撮っています。特に代表的なのが
 
  尾道四部作  転校生・時をかける少女・さびしんぼう・野ゆき山ゆき海辺ゆき
  新尾道三部作 ふたり・あした・あの夏の日

 といった一連の作品です。尾道四部作の内「野ゆき山ゆき海辺ゆき」は
 実は未見なのですが、最初の3作品の中ではこの「さびしんぼう」は最高
 の出来映えになっています。
 
 転校生はどうしても題材的にイロモノであり、時をかける少女は出演者の
 演技力の低さがどうにもだったのですが、ここに来て、時をかける少女で
 も見せた映像の美しさと、主演の二人の熱演が美事に結びついて、本当に
 素晴らしい作品に仕上がっています。
 
 主演は「転校生」で女の子の心が入った男の子を熱演した尾美としのりと
 「アイコ16歳」で映画界のアイドルとなっていた富田靖子。その富田の
 一人二役の大熱演がこの作品のテイストを非常に高いものにしています。

 多くの一人二役が、そっくりの人物とか生き別れの兄弟、などというのを
 表現するのに使われるのに対して、この一人二役は主人公の男の子を思う
 女の子と、思われる女の子の両方を演じており、表情の使い方や身振りなど
 まで全く違っていて、言われるまで二役であることに気付かない人もかなり
 いるのではないでしょうか。

 このように全く別のキャラクタを一人の役者さんが演じた例としては、
 ディズニーの「メアリー・ポピンズ」のディック・ヴァン・ダイクの例が
 ありますが、あちらはいわば社会の最下層で生きる人とトップで生きる人
 を演じているだけで、両者の論理的な関係はないのですが、こちらでは、
 主人公の男の子を中心に鏡対称のポジションに配して、美しいシンメトリ
 を創り出しました。


(2001.09.01)
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