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イメージの源泉(4-17)ヘルメスの伝説
written by Lumiere on 96/03/04 23:55
イメージの源泉 第四部 ギリシャの風 (17)ヘルメスの伝説 ヘルメスはゼウスの息子の中でも最もゼウスに忠実で、神の使者の役割をいつ も果していました。彼の母はプレイアデスの七姉妹の一人マイアです。「ヘル メス賛歌」によれば、彼女は謹み深く日の射さない深い洞窟の奥に住んでいた ので、ゼウスは夜ヘラが寝ている内に彼女の元に通って交わったのです。彼は ヘルメスが生まれるまでマイアのことをヘラに隠し通しました。 ヘルメスは生まれたその日の夜にゆりかごの側を歩いていた亀をつかまえ、そ の甲羅を使って竪琴を発明しました。そして夜になると、肉が食べたくなった ので、ゆりかごからはい出して、アポロンの牛を五十頭盗み出しました。この 時後を付けられないようにするため牛をみんな後ろ向きに歩かせたといいます。 彼はこの内の2頭を殺して、その場で火起こし棒を発明して肉を焼き、神々へ 捧げた後で自分も食べました。 アポロンは牛が盗まれたことを知ると、空を飛ぶ鳥の姿を使った占いをして、 その犯人の居場所を知り、ヘルメスをとっちめる為にやって来ました。これに 対して生まれたてのヘルメスが口だけは達者でアポロンに対して巧みに嘘を付 き通します。呆れたアポロンがゼウスの元へヘルメスを連れて行きますが、父 ゼウスを前にしてもヘルメスは「父の首にかけても」などと言っては嘘をつき 続けました。これにはゼウスもアポロンも大笑いして、ゼウスはとにかくヘル メスに牛を返すよう命じました。 アポロンは牛の所に行って2頭の牛の皮が干してあるのを見て、よくこの赤ん 坊が牛を2頭も殺せたものだと感心します。この時ヘルメスは亀で作った竪琴 をつまびきました。その調べはアポロンの心を捉え、彼はこのませた赤ん坊が すっかり好きになってしまいました。ヘルメスはアポロンに竪琴をプレゼント し、代りにアポロンはヘルメスに牧人の杖を譲りました。(この杖は例の蛇の まきついた「ヘルメスの杖」とはまた別のもののようです) ヘルメスは、神々の使者の役目と、死者たちを冥土へ連れていく役目を与えら れ、また天文学と度量衡とサイコロを発明したと言われています。ヘルメスは 商業と旅人と嘘と博打と盗人の神とされています。彼は旅人を保護することも ありますが、概して悪戯好きなのでどちらかというと道に迷わせることの方が 多いとも言われます。 アポロンやゼウスはヘルメスに色々なものを与えましたが、未来を予知する力 だけは与えませんでした。その力はアポロンだけのものであり、ゼウスが何か 重大なことをする時、そのことを打ち明けるのはアポロンだけでした。