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イメージの源泉(4-16)プシュケとエロス
written by Lumiere on 96/03/04 22:19
イメージの源泉 第四部 ギリシャの風 (16)プシュケとエロス 心理学フォーラム(FPSY)の談話室には「プシケ」という看板が掛かっています が、これは彼女の名前が後に「魂」を意味するようになったからです。心理学 (psychology)というのは正にプシュケ(psyche)の学問です。 さて、このプシュケですが、ある国の王の三姉妹の内の末娘でした。この姉妹 はそろって美人でしたが取り分けプシュケは非常に美しかったため王と王妃の 自慢の種でした。しかしある時王妃は自慢のあまり「プシュケはアフロディテ より美しい」と言ってしまい、アフロディテの怒りを買います。アフロディテ は息子のエロスにプシュケが豚と恋をするように愛の矢を射て来るように命じ るのです。ところがエロスはプシュケに矢を射たのはいいのですが、続けて豚 に矢を射るつもりが誤って矢の先で自分の指を切ってしまいます。その結果、 エロスがプシュケを愛するようになってしまったのです。 エロスは神という身を明かしてしまうと人間と愛しあうことはできなくなる為 夜になるとプシュケの元を訪れ、お互いの顔が見えないように暗闇の中でプシ ュケと愛しあいました。プシュケはそんなこと気にしていなかったのですが、 やがてプシュケの元に通う男がいることに気付いた姉たちが「相手の顔も見た ことがないなんて、そんな馬鹿な」とか「きっと化物で顔を見られたらまずい のでは?」とか「それか、あちこちにたくさん女を作っている男なんじゃない の?」とか言いますと、プシュケも突然不安になってしまいました。 そして姉たちの言葉にとうとう我慢できなくなったプシュケは、ある晩夫が寝 ている間にろうそくの火を点してその顔を見てしまいました。そこには化物ど ころか今まで見たこともないほど美しい青年が眠っていたのです。プシュケが 息を飲むと、その拍子にろうそくがゆれて、ろうがひとしずく夫の顔に落ちて しまいました。それでエロスは目をさましてしまいましたが、その顔には驚き の他には怒りもなく、代りに悲しそうな表情がありました。彼は何も言わずに その場を去って行き次の夜からはもう彼女のもとに現れなくなりました。 プシュケは夫が人間ではなく神であったのだと悟り、再びエロスに会いたいと 当てもなくあちこちをさまよい歩きました。しかし見つけることはできません。 ここである説ではプシュケは今でもエロスを捜し回っていて森の中に行くと、 「ホーホー」という彼女の声を聞くことができるといいます。 ところが別の説ではこの後に更に長い長い話が続きます。要約します。 あちこちエロスを探し回っていたプシュケはある場所で乱雑に放り出してあっ た農機具をきれいに整理してあげます。それに感謝したデーメーテルは、彼女 に何故エロスがプシュケの元に来るようになったかといういきさつを教え、彼 の母アフロディーテの所へ行って彼女の母の過ちを許してもらうよう謝ってみ てはどうかと勧めます。 そこでデーメーテルに教えてもらった道を通ってアフロディーテに会いに来た プシュケに対して、女神は彼女をエロスには会わせないまま、非常に意地の悪 い姑の役割を演じます。数々の無理難題を彼女に課しますがエロスの隠れた助 けもあって、何とかやりとげます。最後にアフロディーテは冥界のペルセポネ へのお使いを命じますが、とうとうその帰り道で神だけに通用する化粧品の入 った箱のふたをうっかり開けてしまって仮死状態になってしまいます。 これにはもう見ていられなくなったエロスが飛び出して行き、彼女を助け起こ して息を吹き返させ、そのままゼウスの所へ一緒に行ってアフロディーテへの 仲介を依頼します。ゼウスもさんざんプシュケの誠実さを見ていたので承知し、 熱心にアフロディーテを説き伏せました。この結果、やっと二人は晴れて正式 の夫婦になれたのです。 ヘルメスは彼女に永遠の命を与え、花嫁と花婿の親戚の無責任なおしゃべりを 封じる役目を与えられました。花嫁の姉妹が「百聞は一見にしかずだからね」 などと言い始めるとそれを退け、彼女の耳元にこうささやくのです「愛こそが 愛する人の心を見る唯一つの道具なのよ」と。 やがてプシュケとエロスの間には「喜び」という名前の女の子が生まれました。