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イメージの源泉(4-11)黄泉の国の物語
written by Lumiere on 96/03/01 07:31
イメージの源泉 第四部 ギリシャの風 (11)黄泉の国の物語 ギリシャ神話では、神が専ら管轄する領域が主に3つあります。それはゼウス が管轄する天上、ポセイドンが管轄する海、そしてハデスが管轄する黄泉の国 です。今回はこの黄泉の国にまつわる話を見ていきましょう。 さて、黄泉の国の王はいわずと知れたハデスなのですが、黄泉の国の女王とさ れる神が実は二神います。ペルセポネとヘカテです。この内、ペルセポネはハ デスの妃であり、二人並んで玉座にいるのですが、ヘカテは黄泉の国の中のも っと深い所にいて、超越的次元からこの国を支配していると考えられます。そ して彼女は道の女神でもあり、夜になると犬を連れてあちこちの道を歩いて回 るとされています。 ヘカテは神々の系統から言えば、アルテミスの母レトの妹アステリアの娘です。 つまりアポロン・アルテミスの従姉に当る由緒正しい神で、ゼウスも彼女を尊 敬し、天・海・冥界のいづれにおいても彼女が力をふるえるように配慮したと されます。またヘカテとアルテミスは従姉妹ということもあり、時々セットに 扱われることもありました。この二神の共通点として「松明を持つ」という姿 があります。 さて、ペルセポネもヘカテに劣らないほど古い冥界神であったようですが、後 日、彼女は大地の女神デーメーテルの娘ということになり、なぜハデスの妃・ 冥界の女王になったかということについて、有名なデーメーテル賛歌が成立し ました。これについては#151でも触れたのですが、簡単に振り返って見ます。 ペルセポネは草原でアテナやアルテミスと一緒に花を摘んでいました。この三 神はいづれも娘の神でコレと呼ばれていました。ところがここでハデスがペル セポネを見初め、彼女を突然誘拐してしまいます。娘が突然いなくなったデー メーテルは心配して探し回りますが、やがてヘカテから彼女がハデスの元にい ることを教えられます。 デーメーテルも冥界には行けないので弟のゼウスに何とかしてくれるよう訴え ますがゼウスはハデスから既に因縁を含められていたので、色好い返事をしま せん。するとデーメーテルは怒って地上に作物が実らないようにしてしまいま した。これにはゼウスも根をあげて、ヘルメスを遣いにやってペルセポネを返 すようにハデスに指示します。 ところがペルセポネはデーメーテルにうらみを持っていた地獄の園丁にだまさ れて柘榴の種を3粒食べてしまっていました。地獄の食べ物を食べたからには もう地上には返せない、とハデスは主張します。そこで結局ゼウスが調停にの り出し、ペルセポネは3粒種を食べたので、1年の内3ヶ月だけ地獄のハデス の元に行き、残りはデーメーテルの元で暮らすように、と裁定します。このペ ルセポネが地獄に行っている間はデーメーテルは地上の作物を実らせません。 これが「冬」の始まりなのです。。。。。。 というのが、#151で述べたデーメーテル賛歌の大要です。 さて、冥界の話でもうひとつ外すことのできないのはオルペウスの話でしょう。 オルペウスは竪琴の名手でしたが、彼の若き妻エウリュディケはアポロンの息 子アリスタイオスの抱擁から逃れようとして毒蛇を踏みつけ、噛まれて死んで しまいます。彼は妻の死を嘆き悲しみますが、やがてエウリュディケをこの世 に連れ戻そうと黄泉の国にたずねて行きます。 普段は生者が来るのを拒む地獄の番人も三途の川の渡しもオルペウスが竪琴を 弾くとそのメロディーにうっとりして、彼が通ることを許してしまいます。こ の地獄の番人が通してしまったのは、結局このオルペウスと、ヘラクレスと ディオニュッソスの三人だけでした。 さて、黄泉の国の王ハデスと妃ペルセポネの前に出たオルペウスは竪琴を弾い て、エウリュディケの若さ・無垢・美しさを歌い、彼女が暴漢から逃げている 途中毒蛇に噛まれてしまったこと、結婚してわずか1年で最愛の妻を失った若 者のことを歌いました。 その歌にペルセポネが涙を流しているのを見たハデスはしぶしぶ条件付きでオ ルペウスに妻を連れかえることを許します。その条件とは地上に戻るまで、オ ルペウスがエウリュディケの前を歩き、その間後ろを振り向いてもいけないし 声も掛けてはいけないというものでした。 喜んだオルペウスは帰路につきますが、後ろにエウリュディケが居ると思って も、約束ですから振り向けないし声も掛けられません。しかし最初聞こえてい た足音がいつの間にか聞こえなくなると、どうしても不安が押えきれなくなっ て、つい後ろを振り向いてしまいます。そこにはエウリディケの姿がありまし たが、彼が見た途端彼女の姿はだんだん輪郭がぼやけていき、やがて消え去っ てしまいました。 自分のおろかな行為により妻を連れて返るのに失敗したオルペウスはいっそう 増して嘆き悲しみ、竪琴を引く日々を重ねましたが、あわれんだゼウスは彼を 天上にあげて琴座にしました。彼の回りには十二の動物があつまって来て、彼 の竪琴の音を聞いたといいます。