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written by Lumiere on 96/03/01 01:32


          イメージの源泉 第四部

          ギリシャの風 (10)ペルセウスの冒険

クリムトのファンでしたら、彼の代表作のひとつに「ダナエ」という作品があ
ることをよくご存じでしょう。

アルゴスの王アクリシオスは彼の娘ダナエが産む子供によって殺されるであろ
うという予言を聞き、彼女に子供を産ませないため一切の男性と関わらせまい
と思い、ダナエを青銅の塔に閉じ込めます。

ところがゼウスはこのダナエを見初め、黄金の雨になって彼女の元へ降り注ぐ
のです。クリムトの絵には、ダナエのあられもない肢体と、神との結婚に恍惚
する彼女の表情が官能的にまで表現され、美しい作品に仕上がっています。

このゼウスが黄金の雨になってダナエと交わった結果生まれたのがペルセウス
です。アクリシオスは娘が子供を産んだことに驚きますが、母子ともに葬り去
ろうと考えて、二人を木箱に詰めて海に流します。(何故か神話においてこう
いう人物は詰めが甘い)この箱はセリポスに流れ着きますが、箱を開けるとペ
ルセウスを抱いたダナエが黄金に輝く光に守られて出て来ました。これを見て
驚いたポリュデクス王は二人を手厚く保護しました。

しかしポリュデクスはダナエを好きになってしまったので、ある程度ペルセウ
スが成長すると、この息子がどうにもうとましく思えました。そこで彼はペル
セウスにメドゥサの首を取ってきてくれるように頼みます。

メドゥサはゴルゴンの3姉妹の一人です。彼女はポセイドンに愛されたため、
嫉妬したアテナが彼女を髪が全て蛇でその顔を見たものは恐怖のあまり石にな
ってしまうという怪物に変えてしまったのです。彼女の姉たちがアテナに抗議
すると、アテナはその2人の姉も同様の怪物に変えてしまいました。(つまり
メドゥサというのは何も悪いことをしてないのに怪物に変えられこの後ペルセ
ウスに殺されてしまう訳で、全く酷い話です。神話には結構こういうのが多い)

ペルセウスはメドゥサをどうやって倒せばよいか考えながら明け方丘の上に立
って思いをめぐらせていました。するとそこにアテナ(!)とヘルメスが現れ、
彼に黄金の楯と空飛ぶ靴を与えました。黄金の楯はピカピカで鏡にもなってお
り、アテナはゴルゴンを直接見ると石になるので、この鏡に映して見るように
と警告しました。更に二神はゴルゴンを倒すには西の国のニンフとグライアイ
を訪ねることが必要であることを教えました。

西の国のニンフはアトラスの娘たちで黄金の林檎の木を守っていました。彼女
らはペルセウスがやってくると歓迎し、かぶると姿が見えなくなる兜と、ゴル
ゴンの首を入れることのできる丈夫な袋をくれました。普通の袋だとゴルゴン
の毒素でぼろぼろになってしまうのです。

グライアイはゴルゴンの居場所を知る者たちでした。彼女らは三人の老婆で、
1本の歯と1個の目を共同で使っていました。彼女らはペルセウスになかなか
ゴルゴンの居場所を教えてくれませんでしたが、ペルセウスが目と歯を取り上
げて言うように強要すると、しぶしぶ教えてくれました。

ペルセウスはゴルゴンたちの住むところの近くまでやってくると、かぶとで姿
を消し、黄金の楯を鏡にしてその居場所を探しました。そして見つけると勇気
を出して近付き、どれがメデゥサかを十分吟味して間違い無いと思った一人の
首めがけて剣を振り降ろして切り落とし、さっと西の国のニンフからもらった
袋に入れてしまいました。びっくりしたあと2人のゴルゴンが激しい悲鳴を上
げて、見えないながらも見当でペルセウスの方へ寄って来ましたが、ペルセウ
スはヘルメスからもらった靴のお蔭で逃れることができました。

さて、ペルセウスがメドゥサの首を取って国に帰ろうとしていた時、途中で岩
場にしばりつけられた一人の娘がいることに気が付きました。彼女はアンドロ
メダといって、エチオピアの王女でした。

彼女の母カシオペアはたいへんな美人でしたが、ある時自分は海のニンフたち
よりも美しいと言ったため、その海のニンフが怒ってポセイドンに訴え、ポセ
イドンは海の怪獣を送って沿岸を荒らしました。困った父王ケペウスがどうす
れば神の怒りが静まるかと神託を立てたところ、娘のアンドロメダをその怪獣
の生贄に出せばよいと言われてしまいました。そこで泣く泣くアンドロメダを
鎖でしばってこの地に置いたのでした。

ペルセウスは縛られたアンドロメダから話を聞くと、そんな怪獣自分が退治し
てやろう、その代り自分と結婚してくれと言って海からその怪獣が出てくるの
を待ちます。そして怪獣がアンドロメダを襲おうとした時、彼はアンドロメダ
に目をつぶっておくように言ってメドゥサの首を袋から出します。すると、そ
れを見た怪獣はたちまち石になってしまったのでした。

ペルセウスは首を袋にしまうとアンドロメダの鎖を外し、そのまま連れて国へ
戻ります。

さて、ペルセウスが戻って来たのを見てびっくりしたのはポリュデクスでした。
あれだけ危険な旅に出たら間違いなく死んだだろうと思っていたからです。彼
は本当にメドゥサの首を取ってきたのか? と疑い、証拠にそれを見せてみろ
と言います。ペルセウスは見たら石になるからやめた方がいい、といいますが
ポリュデクスも譲らない為、仕方無く見せることにします。

そして「自分を信用する者は目をつぶるように」と大きな声で宣言してから、
袋の中からメドゥサの首を取り出しました。当然ポリュデクスや彼の同調者は
みんな石になってしまいました。

ところで元々の発端のダナエの父アクリシオスはどうなったでしょう? ペル
セウスはミュケナイを建設し、その最初の王になりました。新しい町が出来、
若くて優秀な王がいると聞いたアクリシオスは、どういう王か一目見ておきた
いものだと思い、この新しい町へやって来ます。その時、町ではスポーツ大会
が行われており、ペルセウスも円盤投げに参加していました。

ところがこの日ペルセウスは異常に調子がよく、円盤は思いの外長距離を飛ん
で客席の中に飛び込んでしまいました。しかも運悪く、その円盤はそこにいた
老人に当ってしまったのです。誰もその老人の身寄りを知りませんでしたが、
それこそ彼の祖父アクリシオスの最後の姿でした。




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