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イメージの源泉(4-9)クレタ島の物語
written by Lumiere on 96/02/22 07:28
イメージの源泉 第四部 ギリシャの風 (9)クレタ島の物語 クレタ島はギリシャの中でも最も初期に文明の栄えた地域の一つです。ここで 生まれた文明はミノア文明と呼ばれ、色々な点で後にギリシャ本土で発生した ミケナイ文明と対比されます。その違いの一つはミケナイが男性中心の社会で あったのに対して、ミノアは女性上位の文明であったことです。しかし、この ミノア文明はクレタ島を襲った大地震により打撃を受け、その後今からお話し するテセウスの冒険に象徴されるようなギリシャ本土からの侵略によって命脈 を絶たれてしまいます。 歴史の糸をたどってみると、ミケナイ文明の男性中心の考え方が結果的に西洋 文明の基礎になり、それが大航海時代以降全世界に広がっています。これがも しミノア文明の方が西洋文明の基礎になっていたら、現代では国や企業のトッ プはみんな女性で、男性の地位向上を求める市民運動が起きているなどという 時代になっていたかも知れません。 さて、クレタ島の王はミノスと呼ばれています。このミノスが一人の人物なの か、或いは何人かの人物なのかは不明です。もし何人かの人物であるとすれば 初代のミノス王はゼウスとエウロペの間に生まれた子供です。彼はクレタ島の 諸国を統一し、きれいな政治体制を整え、ハーデスからその公明正大な所を買 われて地獄の裁判官の一人に名を連ねました。 そして最後のミノス王はアリアドネやパイドラの父であり、残虐な政治をして います。彼の妻はヘリオスの娘パシパエですが、アリアドネ・パイドラの姉妹 を産んだ後、自分の美しさをアフロディテと比較したため彼女の怒りを買い、 エロスの矢に撃たれて、ミノス王が飼っていた牛と情交してしまいます。その 結果、彼女は半人半牛のミノタウロスを産み落とします。 ミノス王はこのことに怒り、妻とミノタウロスを閉じ込めておくために迷宮を 作ることにします。これを作ったのがダイダロス・イカロスの親子です。彼ら はこのクノッソスの迷宮ができあがると同時に秘密を知るものとして閉じ込め られてしまいますが、蝋で背中に翼をくっつけて、脱出に成功します。しかし 息子のイカロスはあまり太陽に近付きすぎた為に蝋が溶けて翼が外れてしまい 海に落ちて死んでしまいます。 さて、クノッソス宮殿に閉じ込められたパシパエとミノタウロスですが、パシ パエの方はすぐに死んでしまいますが、ミノタウロスは生き続け人間の餌食を 要求します。ミノス王は戦争で破った相手のアテナイからそれを調達すること にして、ミノタウロスの食糧用の人間を定期的に送ることを要求します。 そこでアテナイは勇者テーセウスをこの人身御供の中に混ぜて派遣します。テ ーセウスもどうやってこの迷宮の中のミノタウロスを倒すか悩むのですが、ミ ノス王の娘、アリアドネが彼に恋をし、協力を申し出ます。彼女はダイダロス が残していった糸玉を持っていました。この糸玉は分かれ道に来ると自分で正 しい道を示してくれるという不思議な玉だったのです。 この糸玉の助けによって彼はミノタウロスの所へ辿り着き、戦ってこれを倒し ます。そして人身御供にされるはずだった青年たちと一緒に迷宮を抜け、アリ アドネもともなって島を脱出するのです。 なお、テーセウスも浮気症で、これほど彼を助けてくれたアリアドネにすぐに 飽きてしまい、彼女をナクソス島に置き去りにしてしまいます。その後彼女を 助けたのはディオニュッソスでした。 テーセウスはその後アリアドネの妹のパイドラとも結婚しますが、別の女に産 ませた息子ヒッポリュトスとなかなかうまく行かず、ある日彼女はヒッポリュ トスが彼女を襲おうとした、とテーセウスに嘘の告げ口をします。すると単純 なテーセウスは怒ってヒッポリュトスを殺してしまい、彼女は自責の念にから れて自殺してしまうのです。