※「セキュリティ保護のため...」というメッセージが出る方・日本語が入力できない方へ
イメージの源泉(4-8)ヘラクレス
written by Lumiere on 96/02/20 00:14
イメージの源泉 第四部 ギリシャの風 (8)ヘラクレス 推理小説の女王と言われるアガサ・クリスティーが生み出した探偵の中で最も 有名なものはエルキュール・ポワロです。この「エルキュール」は『ABC殺 人事件』の中でネタ明かしがされていますが、実は「ヘラクレス」から取られ たものなのです。今回はこのヘラクレスについて書いてみましょう。 ヘラクレスはゼウスの子供ですが、母親はアルゴスの王女アルクメネです。彼 女は非常に貞操が堅かった為、ゼウスは彼女の夫アムピトリュオンの姿に変身 して彼女と交わり、ヘラクレスが生まれたとされます。彼女は翌日本当の夫と も交わったので、彼女は父親の違う双子ヘラクレスとイピクレスを産み落しま した。 アルクメネが自分の子供を妊娠したことを知ったゼウスは喜んで今日まさに生 まれるという日に「今日生まれる私の血を引いた子供は偉大な王になるであろ う」と宣言します。がこれを憎々しく思ったヘラは出産の女神エイレイテュイ アに命じて、アルクメネの出産を遅らせる一方、その従兄弟の方を先に生まれ させます。 このヘラの都合で7ヶ月で生まれてしまった子供が後ヘラクレスの12の難事 の指示をすることになるエウリュステウスです。彼の父はペルセウスの子供の ステネロスであり、彼もまたゼウスの血を引いていたのです。 さて、ヘラはヘラクレスから「偉大なる王」の運命をこのようにして取り上げ ただけでは満足せずに、殺してしまおうとして、生後8ヶ月の時に彼の揺り篭 の側に蛇を送りますが、この力強い幼児は近付いて来た蛇を難無く締め殺して しまいます。 ヘラクレスについて最もよく知られているのは、彼がなしとげた12の難事で す。本来は10個だったのですが、その内2つは難癖を付けられて数に入れて もらえなかった為、12個になってしまいました。 この12の難事をする羽目になったのもヘラの陰謀で、ヘラがある時ヘラクレ スを発狂させることに成功したことがありました。その時、様子がおかしいと 思って彼のそばにやってきた、ヘラクレスと最初の妻メガラとの間に生まれた 三人の子供を自分に襲い掛かってくる敵と思って殺してしまったのです。それ を見たメガラも驚きと悲しみのあまり死んでしまいました。 正気に戻ったヘラクレスは自分の罪の大きさに悲嘆にくれ、アポロン神殿に行 って、どうすればその罪をつぐなえるかの神託を受けました。その神託が従兄 弟のエウリュステウスの指示に従って、10の難事をなしとげることでした。 この難事は次のものです。 (1)ネメアの獅子を殺すこと (2)ヒュドラを退治すること (3)ケリュネイアの鹿を捕らえること (4)エリュマントスの野猪を捕らえること (5)アウゲイアスの家畜小屋を掃除すること (6)ステュンバリデスを退治すること (7)クレタの牡牛を捕らえること (8)ディオメデスの人喰い馬を捕らえること (9)アマゾンの女王ヒッポリテの帯を手に入れること (10)ヘスペリテスの園の黄金のりんごを手にいれること (11)ゲリュオンの牛をとらえること (12)地獄の番犬ケルベロスを連れてくること 12の難事をやりとげたヘラクレスはやがてデイアネイラと再婚し、二人 の間には息子のヒュロスが生まれました。 ある時、ヘラクレスはデイアネイラと旅をしていて川を渡りましたが、自 分は一人で渡れるので妻だけ渡し守のネッソスに託して、ヘラクレスは浅 瀬の方に行って渡り始めました。ところがネッソスは美しいデイアネイラ を略奪しようとします。妻の悲鳴に驚いたヘラクレスはかなり遠くの距離 にいましたが、すぐに弓矢をつがえて、矢を放ち、狙い違わずネッソスを 射殺します。この矢にはかつて彼が倒したヒュドラの血が塗ってありまし た。 矢に倒れたネッソスは自分を倒した矢が猛毒であったことを知ると、これ でもしかしたらヘラクレスに復讐ができるかも知れないと考え、いまわの 際にデイアネイラにこう告げます。「あなたの美しさにおぼれて悪いこと をしてしまった。せめてのお詫びに私の血を取っておいてくれ。もし将来 あなたの夫が他の女を好きになった時、その血を夫の着る服に塗ると、あ なたの夫はあなたを愛する心を再び取り戻すであろう」 デイアネイラは ヘラクレスが浮気することはないだろうとは思ったものの、念のためその 血をとっておきます。 とろこがところが、ヘラクレスは実際にその後、イオレという娘を好きに なって夢中になり、妻を放っておくようになりました。そこでネッソスの 言葉を思い出したデイアネイラはネッソスの血をヘラクレスの服につける のですが、その服を着たヘラクレスは皮も身もただれて死んでしまったの です。あれほど強くて誰もかなわない存在であったヘラクレスを倒したの は皮肉にも彼の妻の嫉妬であり、それを起こさせた自分自身の浮気心でし た。自分の行為で夫が自分の所に戻ってくるどころか死んでしまったのを 見てデイアネイラはショックで倒れ、そのまま自殺してしまいます。 ヘラクレスの死を痛んだゼウスは彼を神の列に加えました。そしてヘラの 娘のヘベと結婚させます。ヘラもヘラクレスが自分の義理の息子になって しまうとそう邪険にもできないので、仕方なく彼にひどいことをするのを やめるようになりました。 一方エウリュステウスはヘラクレスが死ぬと自分の地位をより安定にする ため、ヘラクレスの息子たちを不意打ちして殺そうとしますが、アルクメ ネによって難を逃れ、ヒュロスが彼を逆襲して倒してしまいます。