イシス(isis)-大地母神

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現代ではだいたい「イシス」の名前で通っているが、これは実はギリシャ名であり、本当は「アセト」という。

オシリスの妹・妻であり、ホルスの母。豊饒の女神。地母神。

夫であり神々の王であったオシリスセトに殺された時、ナイルに流されたその遺体を探しあて、手でそのペニスを揉んで勃起させ、自分の膣の中で射精させてホルスを産んだ。そしてホルスが成人するとホルスを助けてセトと戦い、これに勝利した。

エジプトの母・玉座の女神とも呼ばれ、最も崇敬された女神であり、中世ヨーロッパでは魔女の元祖・教祖ともみなされた。片手にアンク十字を持ち、片手は生殖の象徴として自分の乳房を抱く姿は多い。また子供のホルスを抱いたり授乳している母子像もかなりあった。後のキリスト教の聖母子像に影響を及ぼした可能性もある。

太陽神ラーをだまして、その力の一部を奪いシリウス星となったとも。これはシリウスとナイルの氾濫が関連しているからでもあろう。ナイルの氾濫が周辺地区に実りをもたらすのである。農業の神ということで、穀物の穂を持っている像もある。

後世ハトホルの属性をかなり吸収し、牝牛の角を持つ姿の像も作られた(ハトホルは本来牡牛の角を持つ)。ギリシャでは、ゼウスとデートをしている所をヘラに見つかり牝牛に変えられた娘イオ(イオニア海の名の由来)がエジプトに渡ってイシスになったという伝説も作られた。

実際は系統的にはメソポタミアの女神イシュタル(イナンナ)、ギリシャのアフロディーテ(ローマのヴィーナス)と関連が深い。


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(2001.1.21)

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