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■初手5の五、二手目天元について
囲碁の対局では小目(A図の◎)や星(A図の★)から打ち始めることが多い。 囲碁は地を囲むゲームである(日本式の場合)。しかし同じ4目の地を囲むに してもB図に見るように、中央で囲むには12個も石が必要なところが隅なら わずか5個で囲ってしまえる。だから隅の確保は重要で、そのため隅に近い所 から打ち始めるのである。 A B ┬┬┬┬┬┬┬┐ ┬┬┬┬┬●┬┐ ┼┼┼┼┼┼┼┤ ┼┼┼┼┼●┼┤ ┼┼┼┼◎△┼┤ ┼┼┼┼┼●●● ┼┼┼┼★◎┼┤ ┼┼┼┼┼┼┼┤ ┼┼┼◆┼┼┼┤ ┼●●●●┼┼┤ ┼┼┼┼┼┼┼┤ ┼●┼┼●┼┼┤ ┼┼┼┼┼┼┼┤ ┼●┼┼●┼┼┤ ┼┼┼┼┼┼┼┤ ┼●●●●┼┼┤ しかし隅にこだわりすぎると、その分中央への進出が遅れてしまう。初手小目 というのは、そこに1手打つだけで(中級者以上の場合)そこの隅をほぼ自分 の陣地にしてしまえる強い手であるが、他へのにらみが弱いため、昭和初期に 木谷実と呉清源が長野県の山奥地獄谷温泉(木谷の妻の実家)に籠もり、初手 を星(A図★)や5の五(A図◆)に打つ、攻撃的な碁を開発した。これを 「新布石」という。 その後5の五はさすがにかなり読みの力がないと戦えないため打たれる機会が 少なくなったが、初手の星は普及し初手小目より多いくらいになってきている。 その半ば忘れられた5の五からの着手を復活させたのは現代の山下敬吾元碁聖 である。若手の旗手としての囲碁ファンの期待があつい彼は勝率も凄いが色々 意欲的な打ち方をすることでも知られており、5の五もかなり打っている。 その山下に対して積極的に5の五を初手に打ってきた棋士がありそれに対して 二手目天元に山下が打った棋譜が存在する。おそらく今回の対局の元ネタとし て使われるのであろう。 初手に天元に打つ意味は以前本田のところで解説が出てきているから繰り返す 必要はないであろう。しかし二手目の天元はもう遙か彼方の世界の戦い。初手 天元から導かれるのが綱渡り的な碁とすれば5の五に対して二手目天元は空中 ブランコのような碁といってもいいかもしれない。普通の人にはとても処理で きない打手ではあっても、若い読みの力の優れた棋士にとっては、たまらない 冒険の世界となるはずである。 なにしろ前例などというものの少ない世界。何が筋で何が敗着になるかは常識 にとらわれては不明であり、少し碁のできる人ほど間違った手を打ってしまい やすい危ない世界である。しかし常識にとらわれることなく的確な読みができ るであろうヒカルと社にとっては素晴らしく楽しい(激しい)碁となるであろう。
高尾も山下も2002年9月現在、既に七段になっています。 「四方に伸びあって」は15手まで。 秋山が「なんやこれ」といったのが106手目まで。 165局の最後のパチが129手目。元ネタで黒が投了するのはこの更に50手ほど先です。
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