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乱世到来編(159-162局)
第159局・関西棋院関西棋院では棋聖戦の挑戦手合のことが話題になっていた。関西棋院の石橋九段が一柳棋聖に挑戦しているのである。もし勝てば久々の関西棋院からのビッグタイトル・ホルダー。どうしても話が盛り上がる。そして盛り上がりついでにみんなの期待は新人の社にも行っていた。まるで社が既に北斗杯の代表に決まったかのような騒ぎである。
ヒカルは祖父の平八の家に来ていた。平八と碁を打つのだがその前に必ずお倉に行って秀策の碁盤を確認するのが毎回のことになっている。平八が今週お前は九段との対局だなと話を振る。ヒカルはその人は自分を2年ほど指導してくれた人だと言う。本因坊戦の二次予選。ヒカルは森下と当たっていたのだ。
その対局日。冴木も来ていた。冴木は萩原九段と当たるのだ。冴木が森下先生は本因坊リーグにも名人リーグにもいたことがあるし、タイトル挑戦者にも2度なっていると語る。その森下がやってきた。二人を見付けるが堅い表情のまま「おはよう」と言って対局室に向かった。
一方棋院の別の部屋の近くで緒方がタバコを吸っていた。「いつかは来ると分かっていたが。早かったような遅かったような」
今日の本因坊リーグ。緒方はアキラと初の公式手合いであった。いままで塔矢名人の碁会所で何百局と打ってお互い知り尽くしている相手。しかし公式手合いとなるとまたそれは全く違った意味を持つ。
緒方が席に着く。アキラはもう着席している。
ジュースを一気のみしたヒカルが「よし」と気合いを入れ直して対局室に入る。森下九段はもう席に着いている。
ヒカルとアキラ。どちらにとっても大変な一局が始まろうとしていた。
緒方清次十段碁聖 vs 塔矢アキラ三段。本因坊リーグ第五局。
森下茂男九段 vs 進藤ヒカル初段 本因坊戦二次予選二回戦。
第160局・一瞬の気後れ
ヒカルvs森下。森下はヒカルの実力を評価するとともに、手合いをサボっていた前と後とを比較してその気構えが変わってきていることを意識していた。しかも勢いがある。「叩くには力をためにためないと」。
昼休みの高段者たちの控え室。森下が篠田たちと話している。実力だけなら今のヒカルに自分もやられかねないと言う森下に、篠田はヒカルがそれほどまでに力を付けているのですか、と驚く。しかし森下はいう。「だがアイツは勝負の場でのオレを知らない」と。気合いの入った表情で立ち上がる森下を見て緒方もまた「さてオレも行くか」と立ち上がる。しかしそういう高段者たちの気合いを知らないヒカルとアキラはそれぞれ午前中の進行から、この対局行けるという気持ちになっていた。
そのころ韓国棋院では塔矢行洋が来ているというのでちょっとした騒ぎになっていた。対局しているのは韓国の若手ナンバー1、ヒカルたちより1つ年上の高永夏(コ・ヨンハ)である。天才少年の強い一手に塔矢行洋も厳しい表情で応手を返してきた。
日本棋院。午後の対局。ヒカルは午前中の優勢を保つべく慎重に手を進めていたが、森下の意外な一手に虚を突かれる。いきなり劣勢に立たされるが、ここで気合い負けしてはいけないと頑張る。しかし相手は普段の研究会の時の森下ではない。凄まじい威圧感。それをなんとか撥ね除けようと打つが、そのことに気を取られているうちに、詰まらないミスをしてしまう。
一方のアキラ。こちらも思わぬところから緒方に模様を荒らされ始めた。そこを奪われてはどうにもならなくなる。アキラは必死で主導権を取り戻そうと焦っていた。
しかし森下も、緒方も、黙々と打っている。
第161局・若獅子達
ヒカルはかなり粘ったものの盤面を見つめ投了した。無惨な状態になっていた。別室で検討をしようと言いヒカルを連れて階段を降りる森下。その森下がヒカルに「それにしても成長したな」と声を掛ける。しかしヒカルは「成長したと思っていた。しかし勝負の場での先生を越えられなかった」と答えた。森下は「勝負の場か。オレなんか可愛い方だ。上の連中は鬼や化物に変わるぜ」とアドバイスした。そしてヒカルの扇子のことに触れ「その扇子はお前の決意のあらわれなんだろう。くらいついてくるしかねェな」と励ました。新たな決意を胸にするヒカル。本因坊戦はまた来期一次予選から出直しである。
一方のアキラも投了した。こちらは本因坊リーグなので記者たちが対局室に入ってくる。「やはり兄弟子相手ではやりづらかったでしょう」という古瀬村記者にアキラが何か言おうとした時、緒方がそれを否定した。「彼は私に気後れなどしていないよ。全力を出しきった」と。しかし緒方は続ける。「だから、これは実力だ。おまえはオレより下だ」と。その冷たい言い方に、観戦していた本因坊リーグの棋士芹澤は震えを感じた。『緒方さんがここまで言うなんて。それほどまでに塔矢君は緒方十段碁聖を追いつめていたのか』と。アキラはこれで2勝3敗だが、芹澤は3勝2敗だが、彼はアキラとの対局を残しているのである。
一方の韓国。高永夏(コヨンハ)の家に洪秀英(ホンスヨン)が遊びに来ていた。塔矢行洋との対局のことを語る二人。(ハッキリとは書かれていないが、永夏は塔矢行洋に敗れたようである)。その塔矢行洋が「日本にも君と同じくらい強い棋士がいる」と言ったということを永夏が言うと秀英は「アイツそこまで力を付けているのか」と叫ぶ。しかし永夏が言ったのは塔矢アキラのことだった。そして永夏は「おまえが思ったのは誰だ?」と尋ねる。秀英は進藤ヒカルだといい、2年前に彼に日本で敗れたことを語った。その時のエピソードを笑って聞く永夏。そして彼は「そいつも北斗杯に出てくる可能性高いな」と言う。そして秀英は韓国の3人目の代表に自分が決まったことを告げた。
第162局・卒業式
塔矢の碁会所。アキラがいきなり家を出ようかと思うと言って市河さんを驚かせる。親から自立したい気持ちを語るアキラに理解を示す北島。しかし北島の息子と一緒にするなという市河。しかし結局家を出ないことにしたというアキラ。親の方が出ていってしまったからである。中国のリーグ戦はまだ開始前だが、その前に塔矢行洋は中国に二週間ほど行ってくるとのことで、明子も一緒に付いていくのである。
それならご両親とも卒業式に出られないのではと言う市河に対して、アキラは卒業式は自分も出ないと言い、また周囲を驚かす。その日対局があるのだという。事前に言っておけば当然外してくれたはずだが、それでなくても過密スケジュールになっているから、言わなかったのだと語るアキラに、周囲は「家を出なくてもとっくに自立してるな」と感想をもらす。市河は進藤君も卒業ね、と話題を振った。
そのヒカルの葉瀬中卒業式。囲碁部の3年生4人はタマ子先生もまじえて記念写真。三谷はさっさと帰ってしまったということで不登場。ヒカルは「学校に来るのもこれが最後か」と少しだけ感慨深くなってから、今日やっているアキラと芹澤九段の対局早く見に行きたいなとこぼしつつ、あかりに声を掛ける。そのツーショットをすかさず写真に収める金子。ほんとにいい人である。ヒカルはあかりが高校で囲碁部に入ったら或いは作ったら、そこに時々教えに行ってあげると約束した。
棋院。新初段の入段式。伊角と門脇の対話から、かなり大量の棋界情報が語られる。
・アキラは芹澤九段に本因坊リーグで負けてしまった(これでアキラの陥落は必至)
・一柳は棋聖位を落としてしまった(→関西棋院の石橋が棋聖を獲得したことになる)
・名人位は畑中が一柳を破って獲得した。
・座間が王座に復帰した。
・乃木元名人が初の天元位を獲得した。
まさに乱世到来である。七大タイトルが、桑原・緒方・石橋・畑中・座間・乃木の6人に分散。これに倉田やアキラ、芹澤らが加わって、壮絶な戦いが始まることが予見されることを二人は語る。そして門脇はいづれヒカルもその戦線に加わるだろうと付け加えた。
