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return 佐為消滅編(117-124局)


第117局・発覚

佐為は感じていました。あの対局の瞬間、今まで1000年止まっていた自分の砂時計の砂が否応なく落ち始めたことを。

saiとの対局に負けた名人が本当に引退してしまうのではないかと心配したヒカルは翌日病院を訪れます。しかし名人は前言を撤回するつもりはないといい、十段戦が終わったら引退するといって譲りません。なんとか説得できないかと言い争っていたところに、ちょうど緒方が来ました。

緒方はヒカルが「sai」という言葉を口にしたことをとらえ、ヒカルを追求。ヒカルは逃げ出しますが、やがて病院の廊下で追いつめられてしまいます。そして緒方はヒカルの胸をつかんでこう言いました。「オレにも打たせろ」と。

第118局・追求

しかしちょうどそこにアキラがやってきます。一瞬気を取られた緒方の隙をついてヒカルは何とかその場を逃げ出しました。緒方はアキラと共に病室に戻り、saiとの対局はヒカルが仕掛けたものではないかと名人に尋ねますが、名人はヒカルとの約束を守り「朝saiから対局を申し込まれた」と言い切りました。

そして森下研究会。やはりsai vs toya-koyoの対局を検討しています。saiの渾身の一手の後で逆転の方法はなかったのかと検討するものもなかなかうまい手が見つかりません。しかしそこでヒカルは得意げに、対局の時に自分が気づいた方法を披露して感心させるのです。

そんな中、佐為はもう自分にほとんど時間が残されていないことを感じ始めつつありました。

第119局・力試し

十段戦の最終局が行われている時、倉田六段は棋院で、送られてくる途中経過のFAXを見ながら「どうしちゃったの?塔矢行洋」とその打ち方に驚いてしまいます。

翌日ヒカルは新聞で十段戦最終局に緒方が勝ってタイトル奪取したことを知りました。saiとの対局が悪影響を及ぼしたのではと心配するヒカルですが、偶然にも倉田と遭遇。倉田からその碁の内容を聞くことになりました。負けたものの今までにない若い碁を打っている。凄いと倉田は名人を評価していました。それを聞いて安心し、もしかしたら引退は撤回してくれるかもと期待を抱くヒカル。

そしてヒカルは倉田からアキラの快進撃も聞くに及び刺激されて、倉田に一局打って欲しいと持ちかけました。

手近な碁会所に入る二人。倉田の来訪に居並ぶ囲碁人たちが驚いて集まってきましたが、いざ二人が打とうとすると、なんとどちらの碁笥にも白石が入っていました。すると倉田は「いいよ。このまま打とう」と言って、一色碁を打ち始めました。

第120局・一色碁

どちらも白石で打っている不思議な碁に周りの観衆も当惑気味。その中でも上段者はなんとか途中まで両者の石の並びを把握していましたが、一隅で戦いが始まると、もう打っている本人たち以外にはさっぱり分からない世界になってしまいました。

「どっちがいいの?」と尋ねる観客に対して倉田は「どっちがいいって?進藤だよ」と心の中でつぶやきました。新初段とは思えない、意外に手強い打ち方に倉田はなかなか反撃のチャンスをつかめません。しかしやがてヒカルが大きなミスをしでかし倉田は思わず「助かった」とそこから逆転の一手を放ちます。しかし次の瞬間自分がこの相手に「助かった」と思ってしまったことに不機嫌になります。こいつはトップ棋士ではない。プロになりたて。しかも進藤は一色碁自体初めての経験という。彼はここに塔矢アキラと並ぶ強力な将来のライバル候補が存在することを認識しました。

しかし倉田はそんなことを考えてしまったおかげで、一瞬石の配置が分からなくなってしまいました。黒を殺せるポイントがあった筈ということで、ほとんど勘で自分の石を打ちますが、果たしてその手を見てヒカルは投了しました。そして更にその白石のままヒカルは検討を始めてしまいます。その様子を見た倉田は色紙を碁会所の人に出してもらうと「倉」という一文字だけ書いてヒカルに渡します。「公式戦で俺に勝ったら続きを書いてやる」と言って。それは倉田がヒカルの実力をはっきり認めたことを意味しました。

その時、テレビで塔矢行洋が引退を表明したというニュースが流れます。

第121局・塔矢行洋引退!

塔矢行洋の引退表明で囲碁界には激震が走っていました。タイトルホルダーのいなくなった棋戦はどうするのか、やはり健康上の問題なのか、十段戦の最終局であんなにすごい碁を打っていたのに....

そしてアキラは名古屋に手合いに来ていました。対局場に入り碁盤の前に座って考えていたのは先日倉田六段が父を訪ねて来た時のことです。二人の対局を見学させてもらったあと、玄関まで倉田を送っていきつつ「僕ももっと強くなって、次は倉田さんに勝ちたい」などと言いますが、倉田は「君のすぐ後ろにも強い奴が来ている」と言って進藤の名前をあげました。アキラは倉田までもが進藤に注目していることを知り驚きます。

そしてそのヒカルの方は同じ日、東京で今度こそ初めての手合いを控えていました。対局者の三段は「昨年の若獅子戦は一回戦で負けているし、新初段シリーズはひどい碁だったし」と楽勝ムードで碁盤の前に座りますが、一方のヒカルもビンビンに気合いが入っていました。ヒカルは佐為に言います。「負ける気がしない」

第122局・ヒカルのばかっ

果たしてヒカルは初手合いとは思えない伸び伸びとして打ち方で相手にまるで碁を打たせていませんでした。相手の三段は苦し紛れの手を打ってきますが、ヒカルは敢えてそれを流さずに逆に反撃して徹底的にぶちのめしてしまいます。たまらず相手投了。その様子を見た佐為は「ヒカルがここまで成長したとは」と驚きの色を隠せません。

一方のアキラの方も考え事をしていたせいか、普段なら手を抜くような低段者相手につい本気で打ってしまい、相手は手番はそれほど進んでいないもののあっという間に投了。「あいつにはどんなに頑張っても一生勝てない」などと落ち込ませてしまいます。むろんその対局者のことなど何も考えずにアキラは淡々と自分の勝利を記録して帰途に付きつつ、ヒカルのことばかり考えていました。

そんな時、祖父の家の倉に泥棒が入ったという知らせが。秀策の碁盤のことが心配になった佐為に促されてヒカルは祖父の家に行きます。碁盤は無事でしたが、そこに残るヒカルにだけ見えるシミが以前より薄くなっているような気がしました。

第123局・消えたくない!!!

ヒカルは翌日から地方に行き観光ホテルに泊まり込みで囲碁のイベントで指導碁の仕事をしていました。そのイベントに緒方も来ていました。夜遅くまで熱心に指導していたヒカルのところに完璧に酔ってできあがった緒方がやってきます。そしてsaiと打たせろと言うのですが、ヒカルは「今からオレと打ってよ」と言います。

佐為「この者とちゃんと打つ機会はもう持てまい」緒方「ま、おまえでガマンしておくか」緒方はヒカルを自分の部屋に誘いました。

そして佐為は思います。ヒカルと別れたくない。虎次郎とも別れたくなかったと。

第124局・さよなら

緒方は芦原と同室でしたが、芦原は明日早くから解説の仕事があるからということでもう寝ています。緒方は芦原のために電気を消して、窓際の席に座って、ヒカル(実は佐為)と打ち始めました。

そして時が経過して緒方は少し目が覚めた様子で、頭を抱えています。ヒカル「オレの勝ちだ。ここまでだね」。緒方は簡単な死活を間違えてしまったのですが、その自分のミス以上に緒方はヒカルの打ち方の中に老練さを見「まるでsaiと打ったような」とつぶやきます。翌日、ヒカルはあまり緒方と顔を合わせたくないので逃げるように新幹線に飛び乗り帰京しました。

そして帰ってきたばかりのヒカルに佐為が「一局打ちましょう」といいます。ヒカルは眠いのにといいながら打ち始めますが、まだ数手しかいかないうちに、佐為はだんだん薄れて行っていました。

『虎次郎が私のために存在したのなら、私はヒカルのために存在した。ヒカルも誰かのために存在するのだろう。そうやって神の一手に続く遠い道のり』

『私の役目は終わった』

そして「ヒカル、楽しかった」という言葉はヒカルに届かないままになってしまいます。

ヒカルは「佐為、おまえの番だぞ」というものの反応がないので、どうしたんだと思い。見回しますが、どこにも佐為の姿は見えず、ただ五月の風だけが舞っていました。

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