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新初段ヒカル編(97-104局)
第97局・待ち受けるプロ達ヒカルは和谷の呼び出しでマクドナルドに来ていました。和谷は院生師範の篠田先生から伊角さんが院生をやめたことを聞いたことを伝えます。篠田先生は「彼は納得していない。必ず来年も来る」と言っていました。和谷はヒカルにプロの対局の記録を取る時のやり方を教えるために呼び出したのですが、そのことよりもヒカルの興味は対局のことで頭が一杯でした。「塔矢名人とも対局できる?」と聞くヒカルに「トップ棋士との対局なんて5年は先だ」という和谷。「でもいつかは対局できるんだ」と喜ぶヒカルに、佐為は「私は?ヒカル」と情けない問いかけをします。
その塔矢名人は旭川パレスホテルで、座間王座とのタイトル戦に臨んでいました。「息子さん好調ですね」という座間に対して名人は「あなたに負けた以外は」と答え「では可愛い息子さんのリベンジですか」と大笑いします。前哨戦の鞘当てが始まっていました。
その頃、日本棋院で週刊碁を立ち読みしている人物がいました。桑原本因坊でした。「おお、あのガキ合格しておる」といって指さしたのは進藤。「ただならぬ気配を感じた。緒方の言っていた新しい波かも知れない」と。
第98局・新初段シリーズ
ヒカルは夏休みに毎日のように通っていた碁会所に行ってプロ試験合格の報告をしたが「知ってるよ、もっと早く来い」と河合に頭をつかまれてグシャグシャにされていました。そして会話からヒカルが王座や天元といったタイトルの名前も知らないことを知った一同は呆れて無言。碁会所のオーナーは「これを読んで勉強しなさい」と古い新聞の束を渡してくれました。
持ち帰った新聞の棋譜で塔矢名人の対局を熱心に読む佐為。その中には昨年のアキラと座間王座の新初段シリーズの対局もありました。1年前を思い出すヒカル。
お正月が来て塔矢邸。週刊碁の記者が塔矢親子の取材に来ていました。そこで名人は新初段シリーズに出てもいいと切り出し、昨年までずっと断られていて諦めていた天野記者を驚かせます。しかし名人は言います「ただし相手を指名させて欲しい」と。
名人が指名したのは果たしてヒカル。そしてその連絡を受けたヒカルに佐為は言います「私に打たせて欲しい」と。
第99局・私が打つ
ヒカルが、そんなことできる訳がないだろうと言うと佐為は「それではいつ私に打たせてくれるのか」と強く言います。それに対してヒカルは「次に取り憑いた奴に打たせてもらえ」と完全拒否。この場は物別れに終わります。
ヒカルの新初段シリーズの当日。対局を見に来た緒方はモニター室に桑原本因坊がいることに驚きます。二人がなぜ彼に注目するのかと探り合いをしている時に入ってきたのは和谷と越智。二人はトップ棋士が二人も進藤の対局を見に来ていることにびっくりしますが、更にそこにアキラが入ってきて桑原から「君も進藤のことが気になる一人か?」と言われます。そして桑原と緒方は勝敗について賭をしようと言い出しました。
一方の対局室。ヒカルは自分が座るべき場所に先に佐為が座ってしまい動こうとしないのに当惑します。
第100局・ヒカルの長考
佐為が座っているためヒカルがそこに座ることができずにいると佐為の姿が見えない対局相手の塔矢名人や取材に来ている天野は「進藤くん?」と訳が分からない様子。やがてみんながヒカルを咎める声を聞いて佐為は悲しそうにその座をヒカルに譲りました。
「逆コミが付いた状態でお前が打ったら絶対勝ってしまうじゃないか。名人に圧勝などしたらその後俺はどうなる?」「しかしハンデがあれば名人も打ち方が変わる」「待てよ、もし佐為にも名人が今日負っているハンデより多い15目くらいのハンデを負わせたら、無理な打ち方が多くなり実力がバレないかも」
そういうヒカルの自問自答に佐為は「それでいいです。打たせて下さい」と言い出します。そして佐為の熱意にとうとうヒカルも負けて今日の対局を譲ることにしました。
モニター室では桑原が進藤に、緒方が名人に賭けることで賭けが成立していました。しかし対局室の動きがありません。先番のヒカルが時計が動き出してから20分も初手をうたずに盤面を睨んでいたのです。待ちくたびれて困っているカメラマン。「対局相手は分かっているのだから初手は予め考えておくものだ」と怪訝な緒方。そして「何かたくらんでるな」と楽しみな様子の桑原。
佐為は考えていました。相手は碁会所の客ではない。恐らく自分と半目差を争う力の持ち主。それに15目の差を付けて勝つ。それはこちらが全滅するか向こうが全滅するかのような戦いだ、と。そして右上隅星に初手を指示しました。名人が小目に応じて、やっと対戦が始まりました。
第101局・不透明な一局
天野たちは「参ったな。アキラ君が来ているだろうから長考の原因など聞いてみようか」といいながらモニター室に戻り、そこに桑原と緒方がいることに驚きます。そしてその訳を聞く間もない内にアキラがびっくりしたような声を上げました。「進藤が戦いを仕掛けてきた!こんな序盤に」
佐為の作戦は向こうが食いつきたくなるようなスキをわざと見せて、そこに相手が入ってきたら複雑な展開に持ち込み、先読みの勝負に持っていこうというもの。しかしその結果黒の石の並びはスキだらけ、無謀な手の連続のように見えました。すくなくとも天野や和谷たちには。
しかし名人は応じません。「ここはいかにも黒が潰れそうだが、ずっと先まで読むとかなりキワドイ」そして名人にはもうひとつ分からないことがありました。「この子は14歳の新初段。なのにこの威圧感は何なのだ?」
名人は結局慎重に黒を追いつめていき、最後まで佐為の罠にはかかりませんでした。やがて黒全滅の状態でヒカル投了。「ほら」とガッカリした様子の天野。しかし桑原はヒカルの打ち方の意味を見抜いていました。訝るアキラに本因坊は答えます。「あいつは自分にかなりのハンデを課して打っていた」
そしてそれは名人にも分かっていました。名人は「ハンデ無しで打ちたかった。次を楽しみにしている」と言ったのです。
第102局・再戦を期して
「歴戦の古豪のような気迫を感じた。次は互先で」という名人。ヒカルは局後の検討では一切何もいわずに黙っていました。一方の「名人の父にハンデを課して?」と信じられない思いのアキラ。そして彼が今までの進藤とのことを語ると本因坊は言います。「では君が彼をプロの世界に来させたんだな」と。
家に帰ってから「俺にとっても大事な一局だったんだぞ。自由に打たせてくれる奴にとりつけば良かったのに」というヒカルに落ち込む佐為。しかしあまりに落ち込んでいる様子に、ヒカルは地方の囲碁大会に連れて行ってあげます。その会場の隅で、あやしげな二人が良からぬ相談をしていました。
第103局・偽りの署名
怪しげな二人は御器曽プロと碁盤屋でした。二人は安物の碁盤を高く売りつけようとしていました。ヒカルたちは素人たちのスキのありすぎる碁に逆にハラハラしたあと、そのコーナーに立ち寄りましたが、本カヤの碁盤と書いてある商品に佐為が「カヤには見えない」と疑問を投げかけます。「カヤというのはウソ?」とヒカルが声に出して言うと客が一人立ち去り碁盤屋ともめます。更には「秀策が署名した碁盤」が置いてあるのを見ますが、これもニセ署名であることを一瞬で佐為が見抜き「ニセモノ!?」とヒカルが言うので、また客が去ります。
係員が駆けつけて来てヒカルを連れ出すもののヒカルの言葉に「やはりね、あの碁盤は輸入材の新カヤだよ」と頷きます。係員も変だと思っていたのでした。佐為は怒りが収まらない様子。その時、二人は先ほどの御器曽プロが指導碁をしている所に行き合わせますが、御器曽は客を指導するどころか自在にいじめていました。客が「もうどうしていいか」と投了しそうになっている所で「まだダメじゃないですよ」と佐為。しかし客は「じゃキミがやったら」と逃げだしてしまいました。佐為が「私なら逆転できますから」というのでヒカルはその席につき「俺が買ったら秀策の碁盤を引っ込めろ」と御器曽に言うのでした。
第104局・倉田六段
そのイベントの片隅で大盤で碁のミニ教室を開いている丸っこく若いプロの姿がありました。この物語の第一回に名前が出てきてから未だに登場していなかった伏線・倉田六段でした。倉田はサインの求めに応じますが、「タイトル取って下さい」の声に「いいですね」と答え『もうじき名人』『そのうち棋聖』『いずれは本因坊』などと扇にサインしていました。
そこで「私も倉田先生に指導碁お願いしたら良かった」とこぼしていたのは先ほど御器曽にやられて逃げ出した客。ハメ手にやられてしまって、後ろで見ていた子供はまだ逆転できると言ってましたが、とこぼしていると「あの子、ほんとに逆転しましたよ」と別の客。プロ相手に逆転なんてそんな馬鹿なと倉田が駆けつけると、ちょうど御器曽がヒカル(佐為)相手に投了に追い込まれた所でした。倉田の姿を見て逃げ出す御器曽。そこに「約束忘れるなよ」と言うヒカル。倉田が「約束って?」と尋ねます。
倉田はヒカルに連れられて販売コーナーにやってきました。そして「本カヤ」の碁盤の値札を見て「何この値札は?」と碁盤屋に聞きます。碁盤屋は焦って「値札の付け間違いです」といって誤魔化そうとします。買ってしまった人に連絡しますから名簿を見せてくださいという係の人。そして秀策の碁盤も引っ込めることになりました。
倉田はヒカルを「どこかで見た顔だな」といいヒカルも新初段であることを明かします。そして倉田は君にサインあげるよといって扇に「倉田厚」と書くのですが、ヒカルはサインくらい自分も書けるといって、その隣りに「進藤ヒカル」と書いてしまいました。倉田は呆れて、その扇を「あげる」といって係の人に渡しました。こうして、将来ひょっとすると超プレミアムが付くかも知れない倉田とヒカルが連署した扇が生まれました。
