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return プロ試験本戦編(77-96局)


いよいよ本戦開始です。

第77局・本戦開始

いよいよプロ試験の本戦が始まりました。対局は28人の総当たり。毎週日・火・土の3回で9週間掛けての長丁場です。場所は幕張の囲碁研修センター。

和谷・伊角と挨拶を交わしたヒカルにまた大きな声を掛けて来たのは椿。「また一勝もらわなきゃ」と言う椿に「今度はそう簡単にあげないよ」と言い返すヒカル。更には「河合さんよりかわいいかも」と言ってみたり椿の頭をグシャグシャとするヒカル。その姿はもう苦手ではなく仲良しのようです。

対局場に先に入って気持ちを落ち着かせるヒカル。そこに飯島が動揺させようと「お前最後は不戦勝だったんだって」と声を掛けますが「ギリギリでも通過さ」とヒカルは平気な顔で言い返します。そしてその飯島が初戦の相手でした。本戦は抽選は一度だけ。今日引いたくじで組合せが全て決まります。

「目標はトップの成績で合格すること」(越智)「始まった。長い長いプロ試験が」(伊角)「合格するのは3人」(和谷)「焦っちゃダメ」(奈瀬)「今年こそ」(本田)「初日からつまずきたくない」(飯島)

それぞれの思いを胸に初日の対局は進みます。

第78局・連敗の波紋(*1)

飯島が投了してヒカルは初戦勝利を収めます。そしてそのまま勝ち星を重ね、6日目まで終わったところで全勝はヒカル・和谷・越智・伊角の4人。本田が勝敗表を見て全勝者の中にヒカルが入っていることに首をひねりました。そこに院生師範が勝敗表を片づけに来ます。「まだ始まったばかりじゃないか。全勝もよしあし。一敗からガタガタと崩れることもあるし」

その言葉にうなづく本田。「全勝のよしあし?いいに決まっている」とにべもない越智。しかし飯島は言います。「進藤は強くなってる。当たれば分かるよ」

そのヒカルの6連勝は実は思いも寄らぬところに波紋を及ぼしていました。日本棋院のホームページを見たアキラは「進藤が6連勝!?」と驚きます。ヒカルの棋力がどの程度まで上がっているのか知りたいアキラ。そこに折しもそのプロ試験を受けている最中の院生から出張指導碁の依頼が棋院経由で入ります。越智の祖父からのものでした。アキラはヒカルのことが分かるかも知れないと思い出張の依頼を受けます。

(*1)後に「連勝の波紋」とタイトルが修正された。

第79局・ヒカルvs椿

7日目、ヒカルが試験場に入ってくると椿が待ちかまえていました。軽くジャブを打ってくる椿。しかしヒカルも予選の時のヒカルではありません。軽くあしらって控え室へ。「アイツ変わりやがった」と言う椿の言葉を聞いていたのは越智。『そういえば飯島もそんなこと言ってたな』、

昼休み。食事前の手番の件をヒカルが言うと椿は「そんなこと言ったっけ」。その椿の声が大きすぎると隣の飯島が苦情。その飯島と椿の言い合いから、椿が2ヶ月も続く試験を受けるため仕事を辞めたことが明らかになる。他にも毎週2万円の交通費を掛けて長野から来ているもの、試験に挑戦するため仕事につかずバイトで頑張っているものなどなど、受験生のそれぞれの事情が。

各々の事情はあっても「とにかくたくさん勝った者がプロになれるという分かりやすい競争」と納得したヒカルは椿に勝つ。

8日目(火曜)になっても4人の全勝は続いたが、9日目(土曜)和谷は足立に負けて1敗になる。その翌日(日曜)の夕方、アキラは自宅を出て越智宅に向かった。『気のせいか進藤が近づいてくる足音が聞こえるよ』

第80局・身代わり

越智との対局を終えてアキラは盤面を見ていた。『これだけ打てたら院生でもトップだろうけど僕には比べるべくもない。彼がもう少し打てたらヒカルの実力が測れるのに』。

負けてトイレに籠もっていた越智が出てくるとアキラは検討を始める。そしてさりげなく「全勝は今3人だね。君と伊角さんという人と進藤...」その言葉を遮るように「進藤は今日負けましたよ」と越智の言葉。この言葉でアキラはたちまち冷静さを失ってしまう。

「負けた誰に?」アキラの動転振りに越智は戸惑う。そしてしつこくヒカルのことを尋ね、良ければ試験終了まで何度でもここに来ようと言うアキラに越智はいらつき「アンタの力なんてなくても進藤には勝てるよ」とアキラを追い出してしまう。

11日目(火曜)伊角と本田が一緒に帰っている。「伊角さん、次は進藤だっけ?進藤の奴マグレで伊角さんに勝たないかな。伊角さんと越智に誰かが黒星付けてくれないと2敗の俺は絡めない」「それだと進藤が勝ち残るぜ」「進藤はいつか崩れるさ」「そうかな。あいつ1敗したのに今日はしっかり勝ってるし」伊角はヒカルを甘く見ていない。

そして12日目(土曜)の朝、進藤はいよいよ伊角を迎え撃つべく緊張した面もちで外を眺めている。その後ろ姿を越智がじっと見ている。「今日伊角さんが進藤に2つ目の黒星を付けるさ。塔矢、それが答えだ」

第81局・慎重な一局

ヒカルと伊角は研修センターの玄関ですれ違うがどちらもぎこちない様子。碁盤の前、いつものような明るい顔での会話を交わした後、二人はたちまち真剣な表情に変わる。伊角の先手。時間を使って右上隅小目に黒石を打った。

『飯島たちに言われなくても進藤が力を付けているのは知っている。しかしそれでも自分が上だという自信がある』伊角はそう自分に言い聞かせるようにして石を打っていた。

院生師範と管理人さんの会話。「今日は全勝の子と一敗の子の対決がありましたね」「全勝の子は伊角君といって院生でも一二を争う子ですよ」「でも一位の子が必ずしも合格するとは限らないんでしょう」「ええ、どこかでつまづいたりして。逆に調子に乗ってヒョイとその壁を越えてしまう子もいますが」

昼休み。伊角とヒカルの対局の状況を見に来た越智は伊角が既に2時間近く持ち時間(3時間)を消費してしまっているのに気づき驚く。そして思わず一人で座っていた伊角に声を掛けてしまった。「こないだ塔矢アキラを指導碁におじいちゃんが呼んだんだけど、あいつ進藤のことばかり聞くんだ。まるでライバルの情報が欲しいかのように」

その思わぬことばに心が揺れる伊角。

第82局・魔の一瞬

伊角は越智の一言から進藤のことを考えていた。あいつが院生になった時、塔矢が彼を追って囲碁大会に出たなどと言っていた。それは新入生の虚勢と思っていた。若獅子戦で塔矢が進藤の対局を見ていたが、たまたま自分の後ろの席を見ていたのだと思った。塔矢アキラは本当に進藤を追い掛けているのだろうか?そうかも知れない。洪秀英との一局。あの時の進藤に勝てる自信はない。洪ほどにも打てただろうか。

そこまで考えていた時和谷が戻ってきて声を掛ける。「伊角さん、そろそろ対局場に戻ろうぜ」その声で我に返る伊角。そして自分に言い聞かせる。『洪との一局はたまたま実力以上の力を出しただけだ。ひるむな』

対局が進む。ゴールは見えてきていた。伊角は自分に言い聞かせる。『焦るな。もう進藤の逆転は難しい』ヒカルの向こうに洪秀英や塔矢アキラの影がちらつく。その時、伊角は右下中盤ぎみの場所の争いで白石の左側に黒石を打ってアタリにしたが、瞬間そこは右からアタリにしなければならなかったことに気づく。

『バカ。余計なこと考えてるから』そう言い聞かせて思わずその石をはがして右からアテ直す伊角。そして時計を押した瞬間、自分のしでかしたことの重大さに気づいた。ヒカルも次の瞬間その意味に気づいて戸惑い、盤上を見つめる。「打ち直しって、その場で反則負け?」

第83局・白星の行方

無言のまま動けない伊角と進藤。

ヒカルは動揺していた。打ち直しを指摘すべきなのか。劣勢からの逆転のため考えた手はあるのだが確実ではない。指摘すれば勝てるかも知れないという気持ちも散らつき、とうとうそれを口にしようとした瞬間、伊角が口を開いた。「負けました」

無言で石を片づけ席を立つ伊角。「大きな一勝を拾ったじゃないか」と自分に言い聞かせるヒカル。

この後味の悪さは二人ともに悪影響を与えた。伊角は翌13日目(日曜)和谷に負けてしまうし、ヒカルもまたフクに負けてしまった。家に帰ってから枕に当たり散らかすヒカル。「弱いから反則勝ちに飛びつこうとしたんだ!!」

そんなヒカルに佐為は言う。「あの続きを打ちましょう。私が伊角さんの分を打ちます」ヒカルは佐為に感謝して石を並べ始める。そしてヒカルは「二度と昨日や今日のようなみじめな対局はしない」と誓う。それを見て微笑む佐為。

第84局・和谷vs越智

14日目(火)。越智は伊角に無神経にも「ボクが進藤のこと言ったからビビってポカやったの?」などと声を掛けます。無言で席を立つ伊角。和谷の呼びかけにも応じません。その越智は和谷と敵対心むき出しの会話をして、対局へ。今日はその和谷と越智の勝負です。

一方のヒカルは対局場のすみで試験開始前、伊角がうつむいているのを見て心配しますが、それよりもまず自分の対局。しっかり平常心で臨んで、無事勝利をあげました。

勝ち星のハンコを押していると越智が来て対戦表いい?と聞きます。越智が和谷に勝ったのでした。和谷に声を掛けるヒカル。和谷は「悪くなかったのに。左辺はうまくさばいたの...」とほんとに悔しい様子。そしてヒカルは和谷に告げます。「伊角さんが今日も負けてる。相手はフク」と。

15日目(土)。越智は今の伊角さんには負ける気がしないと思って対局場に入ってきます。そして伊角に「がっかりだよ。全勝合格の最大の障壁と思っていたのに」とまた相変わらずの調子で話しかけるのですが、伊角は厳しい表情で言葉を返しました。『越智...』

黙れ

普段の温厚な伊角からは想像もできない激しい怒りの表情に、思わずたじたじとなる越智。

第85局・起死回生

伊角は休憩室でつぶやいていました「越智、お前の強さは認めるが、かなわないと思ったことはない」

一方の越智は長考中です。越智の右下の方の模様に白が深く侵入して来ていました。「こんな所まで荒しに来るのか」当然殺せるはずと考えて色々な変化を読んだ上でハネてオサエます。伊角は席に戻ると「そう来たか」と冷静にこちらもハネ。

番手は少し進み、戦いは少し上の方まで広がってきました。越智の勝負手に対して伊角はしばし考えてからひらめいたように一手。越智は「それでシノげるのか?」と思いながらも応手。しかしその先数手進んだ所で、美事に白が生きていることが判明しました。

それでも何とか頑張ろうと打ち続ける越智。それに対してやっと自分を取り戻した伊角。「オレの碁がオレを支えている」そして先に対局が終わって見に来たヒカル・和谷・奈瀬・フク・本田らに取り囲まれた中、越智投了。伊角は「久しぶりに和谷の顔を見た気がする」といって、自分の回復を確信しました。

一方の越智は初めて付いた黒星。しかも調子を崩していて、まず負けるまいと思っていた伊角から付けられた黒星に動揺していました。その様子を見た祖父は本人には取り敢えず黙ったまま、塔矢二段に来てもらうよう連絡しようと決めるのでした。

第86局・予断許さず

16日目(日)。越智は飯島との対局を何とか白星で切り抜けました。ヒカルも奈瀬に対して白星。越智はヒカルに話しかけますが、ヒカルは「心の持ち方って難しいよな」と語ります。その言葉にヒカルの成長ぶりを感じる越智。

1日置いて17日目(火)。越智は本田がヒカルに勝ったのを勝敗表で見ます。「なんだ」と笑い控え室に行って本田を見つけたので語りかけるのですが、その本田はとても勝者という様子ではありませんでした。「万全だったのに。自分でもうまく打てたと思っていたのにグイグイと押して来られて、もうこらえきれずにダメだと思ったら終局だった。数えたら半目だけ残っていた。とても勝った気がしない」

そして本田は言います。「あいつ最終日までにはまだ強くなってるぜ。お前一敗を覚悟しておいた方がいいかもな」動揺する越智。そして帰宅後、思わず祖父に塔矢を呼んで欲しいと言います。その塔矢は今日から来てくれることになっていました。

塔矢は来ると「進藤戦についてだけは役に立てる」といい、残り3週間、自分が来れない日は秀策の棋譜を並べるよう言います。そして尹先生から教えてもらったヒカルと洪秀英の一局を再現して見せます。ヒカルの思わぬパワーに驚く越智。

第87局・この黒は誰?

18日目(土)。7敗の椿と6敗の片桐が控え室で話しています。二人とももう崖っぷちの状態。上位4人との対戦を残しているのでそれに賭けています。19日目(日)・20日目(火)上位9名それぞれ勝利。そして21日目(土)。椿は和谷に負け、片桐はヒカルに負け、椿の挑戦は終わりました。片桐もギブアップ。椿は以前「今度バイクに乗せてね」と言っていたヒカルを駅までバイクの後ろに乗せ、最後にこう言いました「プロになるのはお前にまかせた」

一方の越智。塔矢からスパルタ教育を受けています。あまりに厳しい指導に反発する越智。そして「なぜ進藤にそんなに」と素直な疑問を発します。すると塔矢は黙って、ある対局を再現し始めました。「二年前の互先だ。白がボク」

越智は「黒は誰ですか?」と聞きつつ、その塔矢の相手が物凄い打ち手であることを見て取ります。しかし塔矢はなかなか越智の質問には答えません。「まさか」「彼だよ」。

越智は「バカな。信じないよ、こんなの」。それに対して塔矢は「だから誰にも見せたことがない。君に初めて見せた。だが確かにこの一局は存在した」と言います。越智は「進藤って何者?」と戸惑いの疑問をぶつけるのでした。

第88局・一人目の合格者

22日目(日)。ヒカルは足立に、和谷は小宮に勝ち、トップグループと第二グループの差は開くばかり。そして伊角は本田に敗れていづれも4敗になります。プレーオフの可能性に賭けて意気をあげる本田。それに対して意気消沈した様子の伊角。そんな姿を見て飯島は「伊角さん落ちたな」と言います。しかしまだ分かりません。

23日目、24日目、25日目と進んで、ここまで1敗を保った越智は残り2日を待たずに合格を決めました。院生師範におめでとうと言われる越智。彼は「より高い目標を持てば合格は後から付いてくる、と言われましたから」といいます。その「高い目標」とは最終戦でヒカルに勝つことでした。

和谷は残り2局の内どちらかでも勝てば合格。明日はヒカル戦。ネット碁をしていてsaiというハンドルを見て「あのsaiか?」と思いますが別人でした。「そういえばヒカルをsaiの弟子かと思ったことあったな」と和谷。

第89局・いつもいっしょ

ヒカルは自宅でいつも通り佐為と打っていますが、ヒカルの打った所を見て佐為が不思議な顔をします。「そこのところまるで私が打ったみたいで」。するとヒカルは笑って言います。「考えに詰まった時、お前だったらどう打つかなと考えるとうまい手が浮かぶんだ」と。

26日目(火)の朝。試験場でヒカルはあまり記憶のない中年男性柿本から声を掛けられます。彼は小学生の時にヒカルが死活の一手を横から口にしてしまい対局をメチャクチャにしてしまった時の囲碁大会の責任者で、当時ヒカルを叱った人でした。彼はヒカルが合格寸前の所にいると聞き、なるほどそれほどの子だったのかと自分で納得します。

対局場。先に席についていた和谷が「早くやろうぜ」と声を掛けます。「ああ」とそれに明るく答えるヒカル。和谷はこれに勝てば合格。ヒカルは負けたら現在4位の伊角・本田と並んでしまう。どちらにとっても大事な一局の始まりです。

第90局・プロへ来い!

和谷はヒカルとの対局を進めながら数日前、師匠の森下九段の家で言われたことを思い出していました。一緒に晩ご飯をごちそうになってから一局けいこを付けてもらいます。その日の森下九段はちょっと違っていました。「お前いつまでこんな弟子をやってるつもりだ」「甘えてんじゃねェよ」「お前は受かる」「プロへ来い!」

対局は進み、和谷が白の陣地をぐっと大きく広げに来ました。それが全部白地になれば和谷の勝ちですからヒカルは侵略しに行かざるを得ません。中に飛び込んできた黒石が生きてしまえばヒカルの勝ち、殺せたら和谷の勝ちです。数手進んだ所。和谷はこのあとのヒカルの応手を検討します。ひとつずつ確認しては「これは殺せる」と可能性を一個一個潰していきます。そして確信します。「黒の生きる道は無い。勝った。師匠、プロの世界に行ける」

第91局・負けました

ヒカルが黒の生きる筋を見つけられずに長考しています。その時和谷は本田が泣きながら対局場を出ていくのに気づきます。片桐に負けて5敗となり、合格の可能性がほぼ消えたのでした。「あとはオレと進藤と伊角さん。この中で2人。その中の1人はオレだ」。

ヒカルはこれを打っているのが佐為だったらと考えてみました。佐為だったらこれだけの広さがあったら絶対生きてしまう。自分が和谷で佐為が自分の番を打っているとする。そして和谷のように考える。黒の生きる道はあるか、と。そして「生きる道は無い」と判断する。でも佐為を見ると、佐為は明るい顔で盤面のある場所を指す。

一縷の望みを見いだしたヒカルはその自分の想像の中の佐為が打ちそうな気がした所に黒を打ってみます。当然そこに打つ手は和谷も検討済み。「ムダなあがきだぜ」と応手。ところが数手進んだ所で進藤が打った手は和谷が思いも寄らぬものでした。「こんな手が?」「これで生きられるのか?」

そして更に数手。和谷は盤面を見つめて唖然となります。「ツナいだら一眼作られる。隅は手抜きできない」。和谷の頭の中で師匠の「お前は受かる」という言葉が反復されますが、それが霞んで遠いものに。和谷はそれでも打とうと碁笥に手をやりますが、やがて拳を握りしめ力無く言いました。

「負けました」と。

第92局・打倒進藤

「sai」。突然の和谷の言葉にドキっとするヒカルと佐為ですが、和谷が言ったのはネットのsaiのことでした。負けた悔しさの出ている顔をうつむいて隠したまま、今日の一局はsai並みだったと褒める和谷。自分が負けた時に相手を評価する言葉が言える和谷というのは、ほんとに偉大です。

その夜越智邸。今日もヒカルが勝ったと越智から聞き、アキラは「やはり来たな」とヒカルの現在のパワーを認識します。そんなアキラに不満な越智は、最終戦ヒカルに勝ったら自分をあなたのライバルとして認めて欲しい、そして塔矢名人の研究会に参加させてくれといい、アキラは話してみると約束します。

そして最終日、奈瀬と飯島が今日の注目の対局についてうわさ話。3敗が和谷とヒカル、4敗が伊角さん。和谷とヒカルは勝てば合格ですが、負けると伊角さんとのプレーオフの可能性が出てきます。二人の評では「和谷vsフク」はやはりフクが有利なのではないか。「越智vsヒカル」は五分五分かな、など。それをそばで聞いていて居心地が悪くなり廊下に出たヒカルは越智と遭遇。そこで越智から君を倒すため毎晩アキラと打ってきたと聞き驚きます。

第93局・プロ試験最終戦

意外な人から意外な名前を聞いて驚いたヒカルがなぜアキラと打っているのかと聞くと、越智はプロを自宅に招いて指導を受けているのだと説明します。アキラが自分のことをどう言っていたか気になるヒカルですが、越智は「別に何も言ってないよ」と答えます。しかし更に「彼は今日の最終戦に勝てば自分をライバルとして認める、と言ってくれた」と自慢しようとして、結局アキラがかなりヒカルを意識していることを示唆してしまいます。そしてそれを悟ったヒカルは越智の向こうに見えるアキラの幻影に向かって「じゃ、この対局にオレが勝てばお前はオレをライバルとして認めるんだな」と言い放つのです。

奈瀬と飯島のうわさ話はまだ続いていました。そこに和谷が来ます。気やすく今の心境は?と聞く奈瀬。それに苦笑いして答える和谷。和谷も気合い十分のようです。そしてとうとうプロ試験本選の最終日が始まりました。

第94局・激戦

越智との対局が始まって碁盤上の戦いを進めながらヒカルは2年前の佐為やアキラとの出会いから以降のことを回想していました。この一局に勝てば、塔矢、お前の前に立てる。

しかし対局はヒカルのちょっとした緩手から流れは越智の方に。何とか挽回しようと奇手を放ちますが、洪秀英との一局をアキラから見せられている越智はそれに引っかかりません。長考の末、ヒカルの意図を見抜き、きちんと回避する策を打ってきました。これでは更に悪くなるかも知れない。もう諦めかけたヒカルの脳裏にアキラの姿がちらつきます。負けるものか。気合いを入れ直したヒカルは、越智を厳しく攻め、相手のちょっとしたスキも見逃さないようにしようとします。

一方の越智はかなり優勢に戦いを進めながらも必死のヒカルの粘りにやや心理的な圧迫感を感じ始めていました。だったら一気に潰してやる、と強攻策に出るのですが、そこに出来たわずかのスキをヒカルは見逃しませんでした。

第95局・二人目の合格者

ヒカルの打った手から数手進んだところ。まだ越智はヒカルを強引につぶそうと進めていたのですが、ふと気づくとヒカルの石がうまくしのいで生き返っていることに気づき愕然とします。越智本人もすぐには気づかなかったわずかなスキからヒカルが強烈に劣勢を跳ね返していたのでした。勝負は互角になり、行く末は分からなくなります。

一方アキラはこの日碁会所で指導碁をしていました。そこに週刊碁の記者がくるのですが、越智とヒカルの一局が気になるのでうわのそら。しかしその記者が研修センターに電話して今日の結果を聞こうと言うと、アキラは自分にもそれを聞かせてくれ、というのでした。

対局はほとんど終了していましたが、あと2局。問題の和谷vsフク戦と、越智vsヒカル戦が残っていました。今日勝って4敗を守った伊角さんは外で結果を待っていましたが、雨が降ってきたので中に入ります。その時対局場でざわめきが。和谷が勝ったのでした。うれし泣きの和谷。これで和谷は3敗を守り合格です。「勝つ者が上に行く。それは覚悟の上」と自分に言い聞かせようとする伊角さん。

そしてその時、またざわめきがありました。越智vsヒカルの対局も終わったのです。結果は?伊角さんは対局場の方を振り向きました。

第96局・やっと

伊角さんは対局場の方を見ますが、そちらへ行く勇気がありません。その内彼はあることに気付きました。「もし進藤が負けたのなら自分の所に誰か『プレーオフになったよ』と言いに来るのではないか。でも誰も来ない?」

その時、片桐が控え室に入ってきました。彼は伊角に気が付きますが、黙ったまま何も言えずにいました。伊角さんはそれで全てを悟りました。

その夜、越智邸。ヒカルに負けた悔しさに仏頂面している康介に祖父が「プロの世界で雪辱すればいいではないか」とたしなめている所。そこに塔矢アキラが「今日の一局を見せて頂きたいと思って」と言ってやってきますが、越智は「負けた対局は見せたくない」といって帰してしまいます。アキラは「来い、進藤。ボクはここにいる!」とヒカルを迎え撃つ覚悟を決めます。

ヒカルの母は学校に来て、タマ子先生に今後のことを相談していました。しかし二人とも囲碁の世界のことはさっぱり分からない様子。母は和谷の親にも会いに行ってみるといいます。その当のヒカルはなんとなく足が理科室に向いていました。窓の外で様子を伺うと、あかり、夏目たちが楽しそうにヒカルのプロ合格のことなども含めて話しています。そこに金子や三谷も入ってきます。

ヒカルは少し寂しい思いにかられながら立ち去りますがそこに声を掛けたのは別のクラスの知り合いの生徒。「お前プロになるんだって。じゃあうちの囲碁部最強じゃん」と言いますが「出たくても出られねぇの」と異様に当たるヒカル。「そうなの。なんだ、つまらない」と答えるその生徒ですが、ヒカルは「でも、やっとそこに行けるんだ」と自分に言い聞かせるように言い走り出します。そして「塔矢は1年前からそこにいる」と、来るべき彼との対決を思い描きます。


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