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インターネット編(29-36局)
第29局・zelda
ヒカルに絶望したアキラは思い切りが付き、今年のプロ試験を受ける気になりました。喜ぶ人たちも多い中、アキラの表情がさえないのを敏感に感じ取った市河さんの表情もさえません。
一方のヒカルは、囲碁大会のあと、アキラにも佐為にも悪いことしたなと思いつつ、佐為に打たせてあげられるいい方法がないかと思案しています。そんな中、筒井さんに連れられてプロの公開対局を見に行くのですが、集中できずにすぐにロビーへ。そこでコンピューターメーカーの人がインターネット囲碁の実演をしているのを見かけます。
ちょうど対戦していた男の子がポカをやって短気を起こしいきなり切ってしまったところ。係員は「何するんだ。機械とやってんじゃないんだぞ」と言って、対戦者に謝ろうとしますが、その前に向こうから「バカヤロー」と打たれてしまいました。係員はその zelda というハンドルの人、子供かなぁなどといいます。「インターネットは相手の顔も年齢も分からないから」。その言葉にヒカルは「これだ!」と思うのです。
第30局・sai
三谷のお姉さんがインターネット・カフェに勤めていることを聞いたヒカルはそこへ行き、ネットをやらせてもらいました。お姉さんは自分のいる時だけと断った上で、ヒカルにただでマシンを使わせてくれたのでした。一方理科室では三谷があかりに初歩の囲碁を教えてあげていました。
ヒカルはネット上の囲碁サーバーに接続するとまずハンドルを登録します。
sai
と。saiが最初に対戦したのはアメリカの囲碁チャンピオン、そして次はオランダの代表選手でした。あまりの大敗に呆然とするオランダ代表。弟子から声を掛けられて「きっとプロだったんだ。時々プロがおふざけで混じってやってるらしいから」と自分を納得させようとします。
saiのインターネット碁100人斬りの最初の犠牲者でした。
第31局・Who is sai?
saiの対局は続き、時々対戦相手から話しかけられますが、正体を探られたくないのでヒカルはチャットを拒否します。
その時ヒカルは先日インターネット碁を知った時に対戦していた相手 zelda の名前を見つけます。係の人が子供かも知れないと言っていたことを思いだし対戦を持ちかけます。「強いです。今までの誰よりも」と佐為の弁。しかしそのzeldaは早々に投了。「力があるから、これ以上は無理、とすばやい判断をしたのでしょう」
このすごく強いしかも子供らしいzeldaに何か話したくて、ヒカルは三谷姉に頼んで、「ツヨイダロ、オレ」とメッセージを送ります。すると相手は「ダレダ、オマエハ?オレハインセイダゾ」と答えました。
そのsaiに負かされたzeldaこと、院生の和谷義高は翌日からプロ試験に臨んでいました。saiに負かされ、しかも「ツヨイダロ」などと言われたのに腹がたって、なかなか平静でいられないところ。その時一緒に試験を受けている塔矢アキラに気づき、ついあたったりして、院生仲間の福井(フク)になだめられたりするのでした。
saiの100人斬りは続いていました。オランダ代表もアメリカ代表も、そして和谷もそれを観戦しています。最初はプロかと思っていた人たちも、プロがこんなに頻繁に出てくる訳がないとして、その説を放棄。和谷はsaiが昼間も打っていることから「こいつ仕事はどうしてるんだ?」といぶかりますが、そこからsaiがちょうど夏休みに入った頃から現れたことに気づき「まさか子供か?」という疑いを持ちます。
第32局・He is not sai.
折しも囲碁の国際アマ大会が開かれました。選手の中にもsaiとやった人たちが大勢いました。みんなsaiの正体を知りたがっており、saiが日本人ということから、この日本に来れば何か分かるかも知れないという期待を持っていました。この大会にはsaiの正体を知りたがっている和谷も、師匠でこの大会運営に関わっている森下九段にいわれて手伝いに来ていました。
早々に最初の対局を終えた中国の李選手が、日本代表の島野の対局を見ています。また和谷もそれを見ていましたが、二人とも「saiではない」と判断。島野は確かに強かったですが、saiの強さはそんなものではありませんでした。
第33局・akira
島野の前に投了して対局を終えたアメリカ代表が島野に「あなたはインターネット囲碁は打ちますか?」と尋ねます。「saiの件ですか?」と島野が聞くと、それを聞きつけて会場が騒然と。そこに緒方九段とアキラも姿を見せました。
みんなの話を総合すると、saiは日本人でプロではないこと。しかし韓国のトッププロも負けたということ。そして和谷が重要な証言をします。saiの打ち方がここ1月で微妙に変化してきている。最初、本因坊秀策を思わせる棋風だったのが、その秀策が現代の定石を学んできたように。それを聞いて緒方九段が思わずつぶやきます。「それは神か?化物か?」。そして更に和谷は彼が「ツヨイダロ、オレ」などと子供みたいな発言をしたこと、そして彼がずっと現れているのは夏休みだからではないかとして、saiは子供なのではないか、という推論を話すのです。
その「子供ではないか」という声に、緒方九段とアキラは顔を見合わせます。二人の脳裏に描かれたのはヒカルの顔でした。
そこに島野が自分のノートパソコンを持ってきます。akiraがその前に座ってsaiがいつもいる碁サーバーに接続すると、果たしてsaiがいました。しかもそのsaiがakiraに対局を申し込んできたのです。
第34局・追憶の一局
akiraというハンドルにひょっとしたら塔矢かも、とヒカルが言うと佐為は「確かめてみましょう」といい、ヒカルに黒を持つようにいいます。そして打ち始めると、一方の世界大会会場のアキラの手が震えます。「まさか」
その手順は、かつて佐為がアキラを一刀両断した時の手順だったのです。「まさかまさか」と青くなるアキラ。一方で「ほら、同じ所に打ってきた」と喜ぶ佐為。しかしこちらが向こうに気づいたということは、向こうもこちらに気づいたということ。「話がややこしくなる、なんとかごまかして」とヒカルが言うと佐為はわざと別の所に打ちます。それをみたアキラは投了してしまいました。
アキラの周りの大人たちは「なぜ投了?」とびっくりするのですが「このまま打ち続けては大会日程に支障をきたしますから、後日あらためて再戦を申し込みます」といいます。そしてその再戦の日としてヒカルは次の日曜日を提案。アキラは快諾するのですが、それは和谷の神経に触ることでした。その日はプロ試験本戦の初日。アキラは1日くらい落としても平気というつもりなのか、馬鹿にしやがって、と憤ったのです。
第35局・sai vs akira
その日曜日。アキラは自宅のパソコンの前でsaiを待っていました。一方プロ試験会場では係の人が塔矢が来ないのをいぶかっていました。事情を知るのは和谷だけです。
やがてネットの向こうにsaiが登場。二人は打ち始めます。そのレベルの高さをアキラはヒカルと対決した時以上のものと感じました。これは進藤ではないのか?しかしそんな中、ひとつの手がまるで進藤の手のように感じられました。やはり、これは進藤なのか?アキラの疑心暗鬼は続きます。
対局は中盤。まだまだ優劣ははっきりしないのに全然勝てる気がしません。やがてアキラは敵の頭を叩くのを遅れたことに気づきます。勝敗はだんだん明確になってきました。アキラ投了です。進藤なのか?いや進藤であるはずがない。アキラの心は揺れ続けます。
ヒカルは佐為に尋ねます。「こいつ、塔矢?」「間違いなく」「アキラ、強くなってた?」それに対して佐為は別のことを答えます。「強くなったのは私の方です」
第36局・saiの正体
「強くなったのは私の方です」「そして、ヒカル。あなたも」佐為は言いました。あなたも私の対局を何十局と見たのですから。
この対局を緒方九段も観戦していました。その強さに「自分でも勝てるかどうか分からないな」とつぶやきます。「しかしsaiは子供ではない。子供の打ち方にはどうしても荒さがある。saiの練達さには長久の歳月を感じる」と。
一方アキラの心はまだ揺れ続けていました。「あなたは誰?」しかしsaiはそれには答えずに消えました。アキラは不完全燃焼のままいつもの碁会所に行きます。そしてたまたま来た常連の広瀬さんがヒカルをインターネットカフェで見かけたというのです。広瀬さんから場所を聞くと飛んでいくアキラ。
そして店に飛び込むと「キミがsaiなのか?」と心の中で問いただしながら、ヒカルの肩に手を掛けました。
