
囲碁大会・佐為編(7-12局)
第7局・詰碁三題
ヒカルは塔矢名人を前に打った一手にびっくりして碁会所を飛び出してしまいます。その一手が今までとガラリと違っていたため、ヒカルは佐為に体を乗っ取られたのかと思ったのですが、それは佐為が指示した所とは別の場所に打った手、ヒカルが無意識の内に自分で打った手でした。
一方碁会所では緒方が名人に「どうですか?」と聞きます。「まるで教科書にしたいような布石。しかしあの程度の手数では何ともいえない」との評。しかし名人はこう付け加えます。「最後のあの一手は光っていた。悪手にも見えることは見えるのだが」
さて、ヒカルはあかりに誘われて葉瀬中の創立祭にやってきました。しかし肝心のあかりが来ません。困っていた時、中学の囲碁部の人が詰め碁の問題をやっているのを見ます。その賞品に塔矢名人の詰碁の本があるのを見た佐為が「やりたいやりたい」と言うのでヒカルは席に着きます。問題を出していたのは囲碁部の実は唯一の部員筒井公宏でした。
ヒカルが即答すると驚きの声が。でもその問題では詰碁集はもらえませんでした。「一番難しいのを出してよ」というので筒井が出題した時、ヒカルが答える前にタバコを碁盤に押さえつけて回答を示した男がいました。将棋部部長の加賀鉄男でした。
第8局・負けようか
加賀は実は以前塔矢アキラと同じ囲碁教室に通っていました。加賀本人は将棋が好きだったのですが、お父さんに無理矢理囲碁をやらされていたのです。加賀も強かったですが、どうしても塔矢にはかないませんでした。そしてある日対局前に「その内絶対追い抜くからな」といったらアキラは「ぼく負けようか?」と。
結局加賀がどんなにアキラに対抗心を燃やしても、アキラの側は加賀などライバルとはみなしていなかったのです。結果は加賀の1目半勝ち。アキラが上手に操作して加賀を勝たせてやったのでした。加賀はこれで囲碁をやめてしまいました。
さて、結局ヒカルはこの加賀と一局打つことになりますが、回想から我に返った加賀はその目の前の小学生がかなり強いことに気づきます。なにかいいようにあしらわれているふう。そんな時ヒカルはあかりの声を耳にし、「やっと来たのか」とそちらを振り返ろうとして、うっかり佐為の指示した場所とは全然違う場所に石を置いてしまったのです。「待った」と思わず言ってしまうヒカルですが、もちろん待ったなど許されません。加賀は大石を抜いてしまい、突然大差が付いてしまいました。「投了かい?」と加賀は笑いながら言います。
第9局・大将副将三将
しかしヒカルは投了しません。ここから佐為と一緒に全力で加賀を追い掛け始めました。怒濤の追撃。しかし結果は半目負け。あと一歩及びませんでした。しかし加賀と筒井はその大差を挽回したヒカルの実力に驚愕します。加賀は筒井の学生服を脱がせるとヒカルに着せ、今度行われる中学生の囲碁大会に副将として出るよう言います。加賀が大将、筒井が三将だというのです。「小学生に副将などさせられないだろう」という筒井に「それなら筒井が副将、こいつが三将」と加賀。
「まずいよ」と言うヒカルですが、加賀の勢いに押されて、結局中学生囲碁大会に出かけるのでした。会場となるのは有数の進学校・海王中学でした。
会場でなにげなく参加者の練習を見ていたヒカル。その一方がうっかり盤の一部を崩してしまいます。そこどうだったっけ?と言う二人に、横からヒカルが口を出します。「俺やってやるよ。だって最初から覚えているから」そういってヒカルは呆気にとられている二人を気にせず初手からきれいに石を並べてしまいました。
「余計なことするなよ」と追い払われるヒカルですが、追い払った後で二人は顔を見合わせます「お前、これ最初から並べられるか?」「くそ、どこの中学だ、あいつ」
佐為は初めて心から微笑んでつぶやきました。「ヒカルが囲碁を始めたのはついこないだ。碁石に触れたのもほんの数度。今分かった。なぜ私がヒカルに引き寄せられたのか」
第10局・初陣
一回戦。ヒカルは佐為の指示ではなく自分で打つと言い出します。「そんなぁ」という佐為ですが、渋々承諾。しかし自分で打つといったもののヒカルは対局時計も知らず相手の選手に呆れられます。筒井はまた定石の本を見ながら打ち、加賀に怒鳴られるとともにまた相手の選手に呆れられます。そして加賀は「王将」と書かれた扇子を広げて打ち始めたため「君、もしかして将棋部の人?」と馬鹿にされます。
しかし加賀は「囲碁で良かったな。将棋ならお前の王将は5分で死ぬが囲碁なら10分かかる。5分寿命が伸びたな」と言い放ちます。そしてその言葉通り相手は10分で投了したのです。早々に決着を付けた加賀はヒカルの様子を見に行きますが、そのあまりに稚拙な打ち方に呆れます。「なんだこりゃ、あまりにもおそまつすぎる。こないだのはマグレだったのか?」と。
さて、この会場となっている海王中は実は塔矢アキラがこの春進学する予定の学校でした。そしてこの囲碁大会の時アキラは校長室に呼ばれていて、ぜひうちの囲碁部に入ってください、などと校長から勧誘されていました。
第11局・覚醒の予感
1回戦、加賀はあっという間の勝ち。ヒカルは大差の中押し負けでしたが、筒井は寄せで逆転して僅差の勝ちになりました。葉瀬中は2回戦に進みます。この対戦相手はヒカルがさきほど石を初手から並べ直してあげた人たちでした。相手は最初はビビりますが、すぐさま全然楽勝と判断します。
ここでも加賀は中押し勝ち。しかし筒井は負けてしまいました。残るヒカルですが、ものすごくゆっくり打っています。「お前遊んでるのか?」と呆れて加賀が聞くと「うん、遊んでる」と。「だって碁盤には星があるだろう。ここは宇宙。そこに星を増やすように石を置いていく。オレはこの碁盤の上で神様になるんだ」
その言葉に感動する佐為と加賀ですが、勝負の問題もあります。加賀はヒカルに言います。この大会で優勝できないと囲碁部は学校に認めてもらえないんだ。本気を出して欲しいと。しかしヒカルは自分の力ではこの大きな劣勢を跳ね返すことはできません。思い詰めてヒカルは言います。「佐為、打って」ヒカルは今自分の力で勝てないことをものすごく悔しく思っていました。
筒井がもどってくると加賀がヒカルが逆転勝ちしたことを告げます。葉瀬中は決勝戦に進出。優勝候補の海王中と当たります。今度はヒカルは最初から佐為に打たせました。その時、校長との話を終えたアキラが会場に見学にやってきます。そして中学の制服を着てこの中学生囲碁大会に出ているヒカルを見つけ、びっくりするのでした。
第12局・萌芽
アキラはヒカルの後ろに行って対局を眺め思わず「これは」と感激の思いを持ちます。
佐為はヒカルに言いました。「私の指示通りに人形のように打つのではなく、石の流れを感じとりなさい。もう今のあなたにはそれができるはずです」と。
加賀は海王中の大将のすごい実力に負けを認めます。しかし筒井は劣勢で投了しようと思った時に相手がとんでもないポカを。結局相手が投了することになって1勝1敗。優勝の行方は三将戦の結果次第となりました。
その三将戦、海王の三将は思いも寄らぬ相手の強力さに額に汗しながら必死で打っていました。しかしやがて終局。顧問の尹先生に「よく打ちました」と肩を叩かれて投了です。
これで葉瀬中の初優勝、と思ったのですが、そこにまずいことに(うまいことに?)、ヒカルを知っている人がいました。「あれ、君小学六年生なのでは?」葉瀬中は失格となり優勝は海王中に。そのときヒカルは初めてアキラに気づきました。
アキラは言います。「美しい一局だった。どうしてボクが対戦相手じゃないんだろう。ボクは君から逃げない」
この瞬間からアキラは全力でヒカル(実は佐為)を追い掛け始めます。
そしてヒカルもまた本格的に囲碁を勉強して、アキラに追いつきたいと思うようになったのです。
今まで読者に佐為という強力な存在を見せていて、ヒカルはいわばその佐為の媒介者のように見せていたのが、初めて本人の才能の片鱗を提示したのです。むろんその前に塔矢名人に打った最後の一手もあったのですが、はっきりと出てきたのは今回が初めてでしょう。この囲碁大会を境にして、このマンガはここまでとは全く違った様相へと進み出します。

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