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因幡の白兎
因幡の国の淤岐島(おきのしま,現在の鳥取市白兎海岸の近くに浮かぶ島)に一匹の白兎がいました。
白兎は対岸の本土に渡りたいと思いましたが渡る道具がないので、海のワニをだまして、こう言いました。
「ワニ君、ワニ君。僕の仲間と君たちの仲間とどちらが多いか比べっこしないか? 君たちがここから向こう岸の方へずらっと並んでみせてよ。僕がそれを数えてみるから」
「面白いね。うさぎ君。じゃ仲間を呼んでくるよ」
そういってワニは仲間を呼んできて、向こう岸までずらっと並びました。
するとうさぎはそのワニの上を飛びながら「1,2,3,....」と数えていきます。
そしてもうあと少しで向こう岸にたどりつく、という時、うさぎは「あはは。仲間の数比べなんてウソさ。僕はただこっちに渡りたかっただけなんだ」と言ってしまいました。
怒ったワニはうさぎをつかまえると、皮をはいでしまいました。
うさぎが困っているのを見ると神様たちは、海水に浸かって風に当たっているとよくなるよ、と教えました。そこでうさぎが神様達に感謝して、そうしますと、痛みはもっとひどくなりました。
そこへ、一人神様が通りかかりました。その神様はさきほどの大勢の神様たちの末の弟で、みんなの荷物を持たされてうんうんうなりながら、一人遅れて通りかかったのです。
その神様は大穴牟遅命(おおなむちのみこと)と言いました。
大穴牟遅命はうさぎから話を聞くと、真水で体を洗い、ガマの穂にくるまるといいよ、と教えました。うさぎがその通りにすると、随分楽になりました。
うさぎは大穴牟遅命に大変感謝し、そしてこういう予言をしました。
「八上姫はきっとあなたが射止めることでしょう」
そこで怒った兄たちが大穴牟遅命を殺してしまいますが、神産巣日神(かみむすびのかみ)が生き返らせてくれました。
そして大穴牟遅命はこの後さらに多くの苦難を乗り越えて成長してゆき、やがて日本の国土を管理する中核神となって、大国主命(おおくにぬしのみこと)と呼ばれるようになりました。
大国主命は一般に音読みして「だいこくさま」と呼ばれ(正確に言うと仏教の大黒天と習合された上で)、恵比須(えびす)とともに、福の神の代表にもなっています。
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