←↑→ 仮想旅2000(55) 京都(2)

翌12月1日(金)晴れ。

この日はまず上京区の西陣織会館の南にある安倍晴明神社を訪れます。稀代
の陰陽師・安倍晴明(921-1005)の屋敷跡に建っているとされる神社です。
晴明の屋敷は当時の大内裏の鬼門の方位にあったとされますので、逆にここ
から当時の大内裏の位置が確認できます。

この神社の創建は1007年と伝えられますので、晴明が亡くなって2年後に、
祭祀が始められたということなのでしょう。現在の社殿は昭和3年に再建さ
れたものです。境内の霊水にも人気があります。

お参りしたあと西へ約1.5km歩いて移動、大将軍八神社にお参りします。
晴明神社は大内裏の北東にあった訳ですが、ここは大内裏の北西にあった
神社で、この方位の守りのために設けられていた祠が発展したものとされ
ます。元々大内裏の四維には祠があったといいますので、晴明神社の場所
にも同様の祠があり、それを安倍家の人が代々管理していたのかも知れま
せん。

大将軍は八将神のひとつで方位の禁忌を発生させる神です。詳しいことは
下記を参照してください。

http://www.ffortune.net/calen/calen/yomi99/yomi041.htm
http://www.ffortune.net/calen/calen/yomi99/yomi045.htm

こういう方位禁忌信仰は平安時代中期頃強くなり、これが平安末期になると
かなり俗説的になってきて、江戸時代頃までには完全に迷信の世界に入って
しまいました。平安時代には源氏物語にも出てくる「なかかみ」が重視され
ていたのですが、後世にはこの大将軍や金神などが民間では恐れられていま
す。それ故に、方位の守護神として信仰されたのでしょう。

大将軍「八」神社の「八」は本来は八将神(太歳神・大将軍・大陰神・歳刑
神・歳破神・歳殺神・黄幡神・豹尾神)のことのはずですが、現在の御祭神
は、素戔嗚神とその八王子(天忍穂耳命・天穂日命・天津彦根命・活津彦根
命・熊野樟日命・田心姫命・湍津姫命・市杵島姫命)となっていて熊野信仰
の混入が認められます。

お参りをしたあと、すぐ北側にある北野天満宮に向かいます。

ここは菅原道真公の鎮魂のために建てられた神社で、建立の詳しい経緯につ
いては http://www.ffortune.net/symbol/rei/mitizane.htm をご覧下さい。

現在主殿に菅原道真公、相殿東座に中将殿、相殿正座に北方吉祥女をお祭り
しています。また本殿の背後にある摂社地主神社は元々のこの地の地主神を
祭る神社、参道の途中にある火之御子社は元々この地に祭られていた火雷神
を祭る神社。元々雷神を祭る神社のあった場所に改めて道真公は祭られた訳
です。そして北門の近くにある文子天満宮は、最初多治比文子が託宣に従っ
て作った祠を移したもので、北野天満宮のルーツともいうべきものです。

各摂社までお参りしたあとで、今度はその北西にある平野神社へ回ります。

平安京が作られた頃に建てられた神社とされます。御祭神は主祭神の今木神
(いまきがみ)と、対になる久度神(くどがみ)、久度神と常に並んで扱わ
れる古開神(ふるあきがみ)、そして後に加わった比羊(咩)神(ひめがみ)
の四柱になっています。

いづれも他ではなかなか聞かない名前ですが、今木とは「今来」で新しい渡
来氏族の神。奈良県に今来郡があったように百済系の氏神様、久度神はそれ
より少し古いやはり百済系の氏神様であろうと推定されます。古開神は名前
からしてその祖神と考えられ、比羊神はこの神社に関わる高野新笠(桓武天
皇の生母)を祭ったものではないかともいわれています。新笠の父は和乙継
という百済系の渡来人でしたので、そもそもこの神社の御祭神はその新笠の
祖先神を祀ったものなのでしょう。

お参りしている所でお昼を過ぎました。

ここから北東へ約2.5km歩いた船岡山の北側の地に今宮神社があります。御
霊会がよくおこなわれた場所で、御祭神は大己貴命・事代主命・稲田姫命。
また境内に、疫神社・大将軍社・八社・地主社・宗像社・月読社・日吉社・
稲荷社・織姫神社・若宮社があります。

今宮とは「最近作られた神社」という意味で、特定の祭祀形態を指す言葉で
はありません。右京区にも同名の神社がありますが、それも同様です。

ひとつひとつの神社にお参りしてから、今度はここから更に北西へ0.8kmほど
歩いて、久我神社(通称:大宮)に参ります。

ここは御祭神は賀茂建角身命。下鴨神社の御祭神であり八咫烏と呼ばれた、
賀茂一族の祖です。この神社は伏見区の久我神社と対のものでしょう。賀茂
一族がこの京都の地に展開した時、北方の守護に置いた神社と思われます。

ここまでお参りした所で15時前。明日は少々きつい道を歩くので今日の行程
はこれで切り上げます。




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