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翌11月10日(金)晴れ。

この奥出雲の旅が晴天に恵まれたのは幸運でした。今回の神社の旅で一番き
ついコースは、熊野古道・丹生川上神社そしてこの奥出雲だったのですが、
そもそも雨の神様に会いに行った丹生川上神社以外は数日間天候に恵まれた
中を歩くことができて幸いでした。

さて朝から熊野大社にお参りします。現在では出雲大社が出雲一宮とされる
のですが、かつては熊野大社が一宮でした。それに関わる行事が10月15日の
鑚火祭(亀太夫神事)です。この神事では出雲大社から熊野大社に派遣されて
きた人がさんざん難癖を付けられます。

熊野大社の御祭神は神祖熊野大神櫛御気野命(かむろぎくまぬのおおかみ
くしみけぬのみこと)です。本来はこの神社の背景の熊野山を御神体とする
神社であったと思われますが、後にこの神は天照大神の誓約の時に生まれた
子である熊野久須毘命と同一視されるようになり、更に後に出雲の国の神社
の社格が固まる時期に、熊野大社は天神である熊野久須毘命を御祭神として
おり、一方の出雲大社は地祇である大国主命を御祭神としているから熊野大
社のほうが上位である、ということでこちらが一宮になったようです。

現在多くの人がこの神社の御祭神を須佐之男命と考えているのですが、この
誤解は平安初期頃に始まったようです。しかし熊野久須毘命との同一視まで
はいいとして、やはり須佐之男命とまで同一視することには無理があるよう
に思われます。この同一視には和歌山の熊野速玉大社の御祭神がまた須佐之
男神と同一視される傾向があるのと、関連しているのでしょう。

さて、熊野大社を出てから意宇川(いうがわ,昔はおうがわと読んだ)に沿って
下り8.3km歩くと神魂神社(かもすじんじゃ)に至ります。

御祭神は神魂神(かもすのかみ)こと伊弉冉命(いざなみのみこと)です。まさ
に神々の母。一部に誤解されるように出雲の祖神である神産巣日神を祀る
ものではありません。

この神社を建てたのは天穂日命(あめのほひのみこと)とされます。天忍穂耳
命の弟で、国譲りの交渉に最初に派遣された神ですが、役目は放ったらかし
て出雲に居着いてしまいました。そして国譲りが終わった後、この地に神魂
神社を建て、その後その子孫(出雲国造家)が代々この神社を守っていくよう
になったといわれています。

さて、お参りしてから3.0km丘を回り込んだ所に八重垣神社があります。こ
の地は松江市佐草といいますが、この神社は延喜式では「佐久佐神社」と
書かれています。

さて「八重垣」といえば須佐之男命が櫛稲田姫と結婚した時の歌
 「八雲立つ出雲八重垣妻籠めに八重垣作るその八重垣を」
を連想する訳ですが、でもその直前に「すがすがしい」とおっしゃったのは
須賀神社の場所である訳で、これはどうなっているんだろうか?と夏頃質問
されまして、私も分からなかったのですが、やっと最近分かりました。

要するに、須佐之男命と櫛稲田姫が結婚したのはやはり須賀神社の場所なの
ですが、後にそちらからこの八重垣神社の場所に遷座したというのが正解の
ようです。江戸時代の文献にそのことが記されています。つまり、元々の
佐久佐神社の地に須賀神社の場所にあった八重垣神社が遷座してきて、後に
合併したということのよう。

そういうわけでこの神社の本来の御祭神は青幡佐久佐比古命なのですが、現
在こちらは合殿に祭られています。明治時代に一時期こちらを主祭神とした
時期もあったのですが、長年「八重垣神社」という名前で親しまれてきた
神社故にやはり元に戻そうということになったようです。

この神社はその裏の佐久佐女の森にある鏡の池で行える恋占いで有名です。
この池に硬貨をのせた半紙を浮かべ、速く沈むと良縁の到来が近いといわれ
ています。

八重垣神社を出たあとは、2.4kmで真名井神社に至ります。

御祭神は伊弉諾尊・天津彦根命。式内社で出雲国造家の火継式にはこの神社
の御神水が用いられます。

ここから2.8kmで売豆紀神社。御祭神は下照姫。現在では「めずき」と読み
ますが、元々は「ひめづき」と読んだようです。

ここから更に9.3km歩いて玉造温泉。今日はここで泊まりです。

翌11月11日(土)雨。

久しぶりの雨です。

玉造とは勾玉の製造場所のことで、この地域で良質の勾玉が生産されたので
しょう。天皇家の三種の神器のひとつ八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)も
この地域で作られた物といわれています。

そしてここ玉造温泉の玉造湯神社の御祭神は櫛明玉神(くしあかるたまのかみ)
です。併せて祭られている神は大己貴命と少彦名命。ご存じこれは「えびす・
だいこく」が祭られる時の御祭神組合せで、温泉場にはお定まりのペアでも
あります。神社名の「玉造」が櫛明玉神、「湯」がえびす・だいこく、という
訳でしょう。

温泉の宿を出て、玉造湯温泉にお参りしたあとJRの玉造温泉駅まで行きます。
924の山陰本線下りに乗り、1032大田市着。ここから5.9km離れた物部神社に
お参りします。ここは石見国の一宮です。

御祭神は宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)。物部氏の祖神である饒速日命
(にぎはやひのみこと)と御炊屋姫(みかしきやひめ)との間の子。神剣フツノ
ミタマ(奈良の石上神宮の御祭神)を持ち、天香具山命(あめのかぐやまのみ
こと)とともに大和朝廷の勢力拡大に大きく貢献した方です。

境内・境外に多数の摂社があり、それらを時間の許す限りお参りしてまわっ
てからJRで出雲に戻ります。出雲大社近くの宿に入ります。




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