←↑→ 仮想旅2000(5) 田沢湖

翌9月4日(月)、今日は雨があがって晴れです。今日はこの田沢湖を一周しま
す。行程20km。

白浜からこのほぼ円形の湖を反時計回りに歩き始めました。約3km歩いて、
姫観音。ここは昭和14年にここに水力発電所が作られることになった時、そ
のために環境が破壊されてしまうことに対して、この湖の主である辰子姫へ
のお詫びとして作られた観音像です。

辰子姫伝説については有名なので書くまでもないかも知れませんが、簡単に
触れておきましょう。(微妙なバリエーションが幾つかあるようです)

昔、院内金ヶ沢(or神成沢)に辰子というひじょうに美しい娘がいました。
辰子はその美しさと若さを永遠に保ちたいと観音様に百ヶ日の祈願をしまし
た。すると満願の夜「人間の身では難しいが、それでもよいなら、北に湧く
泉の水を呑めば願いは叶うであろう」とのお告げがありました。

そこで辰子が院内岳を越え、北へ北へと歩いていくと、深い森の億にこんこ
んと湧き出る泉を見つけました。喜んでその水を呑むと、なぜかもっとのど
が渇いて来ます。そこでどんどん水を呑み、ついには腹這いになって呑んで
いるうちに、気が付くと辰子の姿は大きな竜になっていました。その後辰子
は田沢湖の湖底深くに沈んで、この湖の主になったといいます。

(きっと、ほんとに美しい竜なのでしょうね。なお魚を食べてのどが乾いて
 という話もあります。こちらの方が有名かも)

その辰子の母は娘を捜しに出て田沢湖までやってきて、辰子が竜になったこ
とを知りますと、持っていた松明(木の尻)を湖の中に投じました。すると、
その松明は魚に変じてしまいました。これは木の尻鱒といって、この田沢湖
にしかいない珍しい魚です。

(この魚は天然記念物に指定されていますが、例の水力発電所が出来た為に
 絶滅したのではないかと言われています)

さて、姫観音でまずは辰子姫にご挨拶して、なお道を歩き続けます。

約2kmで御座石(ござのいし)神社。

わりと大きな神社です。この神社の名前は佐竹藩主・義隆公が田沢湖を訪れ
た時に、ここの石場に腰をかけて休んだことから付いたものです。ここに問
題の辰子姫が呑んだ泉「潟頭(かたがしら)の霊泉」があります。呑むと美人
になれるそうですが、私はまだしばらく人間をやっていたいのでパス(^^;

(この泉は浅い層から湧いているものらしく、湧いているかどうかは天候や
 田沢湖の水位などに左右されるそうです)

この神社には辰子姫の像があります。一般に辰子姫の像は潟尻の方のが有名
ですが、こちらの神社の像は半人半竜の姿。変身の途中なのでしょうか。

なお、秋田藩の佐竹氏は南部と同族です。新羅三郎源義光の子の義業が佐竹
の祖、義晴が武田や南部の祖になっています。佐竹は常陸国佐竹郷に居して
いたのですが、関ヶ原の戦以降、秋田に移りました。

さて、御座石神社を後にします。

これから6km。約1時間歩いて、その潟尻。時計を見ると8時くらいです。
少し日差しが強く感じられるようになりました。

ここでもう一人の辰子像に会います。こちらは湖畔に立つ美しい黄金の像。
まだ人間だった頃の辰子であり、また辰子姫のイメージの中の姿なのでもあ
るのでしょうか。

 うつせみは願いを持てば哀れなり田沢の湖に伝説ひとつ/斎藤茂吉

辰子姫の伝説は一般の男性の目から見ると悲劇に見えるかも知れませんが、
辰子姫本人はまんざらでもなかったんじゃないかな、って気もします。案外
今でも多くの精霊たちに取り囲まれ、女王様然として楽しくやっていたりし
ないでしょうか。

この潟尻には浮木神社というのがあります。湖畔にお社が建っていますが、
御神体はこの付近の湖底に沈んでいた御神木らしいです。これが何か異変が
ある時は浮き上がってくるということなのですが、例の水力発電所が作られ
た時、まさに浮き上がってきたことがあるそうです。この水力発電所建設は、
ひょっとしたら、相当の罰当たりの所業であったかも知れません。

ここから4kmほど歩いて有名な「たつこ茶屋」。観光で来たのなら時間を調整
して御飯を食べていきたいところですが、今回は寄らずに先へ行きます。こ
のあたりからは結構行き交う車が多かったです。

更に6kmほど歩いて見慣れた景色が見えてきます。白浜に帰着です。10時半の
バスに乗って、田沢湖駅へ戻りました。

なお、この田沢湖畔と田沢湖駅のちょうど真ん中付近に姫塚というのがあり
ますが、これは辰子姫ではありません。平将門公の娘の滝夜叉姫が、将門が
下総で討たれたあと、この地に逃れて来て、陰遁生活を送ったと伝えられ、
姫塚というのはその滝夜叉姫のお墓です。

さてここからがまた連絡が悪い。朝9時のあとは午後1時まで普通列車が無い。
困ったものです。そこで秋田行きのバスが11:40にあったので、これに乗り
込みました。大曲に12時半頃着。

朝から何も食べていなかったので駅でパンとお茶を買いベンチで食べ13:35の
新庄行き普通列車に乗ります。新庄着15:19。ここから30分待って15:57の山形
行きに乗り、山形着が17:14。すぐの連絡で17:20の米沢行きに乗り、米沢に
18:13に到着しました。コンビニで御飯を買ってから、大曲駅から電話で予約
しておいたホテルに入ります。




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