↑ ← → 仮想旅(31)鳥取:倭文神社
written by Lumiere on 96/12/14 16:19
旅館を出たのは7時すぎ。

今日最初に行くところは倭文神社ですが、これは「しとり」神社と読みます。
が、地元では「一宮」という呼び方の方が主流だそうです。御祭神は建葉槌命
(たけはづちのみこと)ですが、この神様が御祭神であったということは近年
まで忘れられていて、大正期までは下照姫命(したてるひめのみこと)が祭ら
れていました。

鳥取県の沿岸には湖山池・東郷池という大きな湖が2つありますが、その東郷
池の湖畔に松崎温泉や羽合(はわい!!)温泉、そしてこの倭文神社などがあり
ます。そしてもう一つの湖山池の方には鳥取市や例の白兎海岸と淤岐島などが
あります。

倭文神社へはあまり交通の便がよくないので、松崎温泉からタクシーにのって
15分ほど。平日の朝ですがまだ早かったおかげか、ラッシュにはひっかからず
に車は進みます。そして山の中腹、うっそうとしげる木々の中に神社はたたず
んでいました。古びた由緒ありげな神門を通り、苔につつまれた参道を通って
権現造りの社殿の前に立ちます。伯耆国一宮ですが、思ったより小さな神殿。

倭文というのは普通「しづ」と読みますが、梶の木や麻などで織った赤や青の
縞のある織物のことです。しづぬの・しづおり・しどり・あやぬの・などとも
呼ばれていました。「しどり」は「しづおり」が縮まったものでしょう。万葉
集4011の大伴家持の歌に「千早振る神の社に、照る鏡・倭文に取り添え、謂ひ
祈(の)みて吾が待つ時に処女等(おとめら)が夢に告ぐらぐ.....(神社に鏡と
しづを奉納してお祈りして帰ってきて待っていると巫女が夢に現れて告げたに
は...)」といった下りがあります。

この倭文を織っていた一族を倭文部(しとりべ)といい、その一族が祭ってい
た神社なので倭文(しとり)神社なのです。建葉槌命というのはこの倭文織の
守護神です。

一方の下照姫は大国主神の娘で、安産の神様です。この神社のそばには安産石
という石があり、この石をけずって飲めば安産になるという言い伝えがありま
す。結果この石はかなり削られています(^^; 下照姫はこのほか農業や医術の
神様としても信仰されているようです。この姫は古事記・日本書紀では国譲り
神話の所で、高天原から派遣された天若日子と結婚する娘として登場していま
す。天若日子は葦原中国に国譲りの交渉に来たはずなのに、下照姫と結婚する
と役目などすっかり忘れて無為に過ごしていた上にその後からやってきた高天
原の使いを矢で殺した為、高木神の返し矢で倒されます。この地の伝説では、
下照姫は後に出雲から船で渡ってきて人々に農業などの指導をしたとされてい
ます。この地の氏神様になってくれたのでしょう。なお下照姫のお母さんは宗
像の三女神の中の多紀理(たぎり)姫です。


待ってもらっていたタクシーに乗って倉吉駅まで行ってもらいます。


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