文献,伝 | 以下出生順 | ||
古事記 | 多紀理毘売 =奥津島比売命 | 市寸島比売命 =狭依毘売 | 多岐都比売命 |
日本書紀本文 | 田心姫 | 湍津姫 | 市杵嶋姫 |
日本書紀一書 | 瀛津嶋姫 | 湍津嶋姫 | 田心姫 |
日本書紀一書 | 瀛津嶋姫 =市杵嶋姫 | 湍津嶋姫 | 田霧姫 |
宗像大社伝 | 田心姫神 (沖津宮) | 湍津姫神 (中津宮) | 市杵島姫神 (辺津宮) |
どの資料にも必ず出てくるのが「たぎつ姫」で、この神名は確定として、後二神の名前に異説があるようです。
つまり、たぎり姫・いちきしま姫・おきつしま姫 の3つの神名があるのですが、古事記ではたぎり姫=おきつしまひめ、日本書紀ではいちきしま姫=おきつしま姫としています。伝承の混乱でしょう。
宗像の三神を祭る神社の本宮は福岡県の宗像大社で、この神社は三女神がそれぞれ本土の宗像神社・海岸から400mほどの距離にある大島の中津宮、そして大島から更に4kmほどの距離に浮かぶ沖島の沖津宮の三つの神社に分かれて鎮座する神社です。
さて、宗像の三女神を祭る神社としてもうひとつ有名な神社に宮島の厳島神社があります。ここは推古天皇の時代三女神が二羽の神烏の先導でこの島に現れたので佐伯鞍職が社殿を作ったとされます。この神社は平清盛が深く帰依して厚く保護し、社殿・回廊を整備して今日の壮麗な姿に仕上げています。
住吉神のところでも書きましたが、宗像の三女神を祭る神社も、大和地方から瀬戸内海を通って大陸へ行くルートに沿って点在しています。
たとえば、九州本土から離れる地、佐賀県の呼子の目の前に浮かぶ加部島は松浦佐夜姫(まつらさよひめ)の伝説の地ですが、ここに式内社・田島神社があって、宗像三女神をお祭りしています。