河童

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河童
河童 かっぱ

小松和彦氏は「憑霊信仰論」の中で神と妖怪の差はきちんと祀っているかどうかである、と述べています。つまり人間に色々な害をなす霊もきちとん祀れば神になり、祀る人がいなくなって放置されると妖怪となってまた人々にいたづらをしたりするというわけです。つまり、それくらい神と妖怪の差というのは小さいのであって、「お化け」の類の代表ともいうべき器物の霊は付喪神(つくもがみ)と呼ばれています。

そういった妖怪の中でも最も人間に馴染も深く、様々な伝説を残しお祀りする神社まであるのは「河童(かっぱ)」と「天狗(てんぐ)」でしょうか。

河童は基本的に水の精と考えられます。河童には亀のような甲羅があり、頭の上のお皿の水がなくなると死んでしまいます。また河童は悪戯者で子供が川で泳いでいるのを襲って尻子玉(これって何でしょうね?,一説では睾丸のことだともいいますが、別の玉で、これを抜かれると足腰が立たなくなるともいいます)を抜いてしまうと言われ、また馬を水中に引き込んで溺れさせたりすると言われています。

また各地には河童と人間が相撲をとったなどという話がたくさんあり、また河童に水の中に引き込まれそうになって、河童の手を切り落としたなどという話もあり実際に「河童の手」と称するものがあちこちに保管されています。また河童はそのような悪戯をする一方で人間の手伝いもしてくれるとし、河童が田植を手伝ってくれた話、柴刈をしてくれた話などが各地に見られます。河童は秋になると山に登って山童になるという説もあります。

柳田国男は「河童駒引」の中で河童は猿と同質ではないかと述べています。河童の異名に「かわたろう」「がたろう」などというのがあるのは有名ですが、一部の地域では「えんこう」と言うのだそうです。柳田はこの「えんこう」とは「猿猴」ではないか、と考察した訳です。

中野美代子「孫悟空との対話」によれば、猿が馬の保護者であるという考え方が日本をはじめとして東南アジア、インドにまで分布しており、馬の保護者である猿と馬に害をなす河童とはきれいな対を形成しているとします。また河童について、河童の手は左右つながっていて、引っ張ると抜け落ちるという俗説があるが、中国ではテナガザルについて全く同じ俗説があると指摘しており、やはり猿と河童には密接な関係がありそうです。

更に吉野裕子は「陰陽五行と日本の民俗」の中で、河童の体形は猿のものなのではないか、そして顔は鼠に似ている、さらに亀(龍)の甲羅、とそろっていてこれは子・申・辰の三合水局になっていると指摘しています。吉野によれば河童が馬を水の中に引きずり込むことができるのは、河童が水で馬が火なので水剋火の原理であり、また夏の土用の時期に河童祭りを行なう所があるのは、これも土剋水だからではないかとしています。そう言われてみると全くの偶然ですが、芥川龍之介の命日「河童忌」も7月24日でこのまさに土用の最中です。



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