如来,菩薩,明王,天

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さて、仏様にもいろいろ区分があるのですが、その中でも特に大きな区分が タイトルにも挙げている「如来・菩薩・明王・天」というものです。

如来(にょらい,tathagata)というのは、これが狭い意味での「仏」であって、 悟りを開いた人のことをいいます。正確には「如来」ということばは「向こう の世界から来た人」ということで、悟りを開いた後、こちらの世界に教導の為 にやってきた存在です。禅の十牛図で最後の「入店垂手」が(ある意味では) まさにこの状態ともいうことができるでしょう。

如来にその性質をあらわす十号があるとされ、それは次のものです。
(1)応供(おうぐ,arhat) 音写すると阿羅漢ですが供養される資格があること (2)正遍知(しょうへんち,samyaksambuddha) 正しく完全に真理をさとった (3)明行足(みょうぎょうそく,vidyacaranasampanna) 智慧と行いが完全である (4)善逝(ぜんぜい,sugata) 迷いの世界を超えている (5)世間解(せけんげ,lokavid) 世間の事をことごとく知る (6)無上士(むじょうし,anuttara) 最も尊い者 (7)調御丈夫(ちょうごじょうぶ,purusadamyasarathi) 衆生を涅槃に導く (8)天人師(てんじんし,sastadevanamcamanusyanamca) 天と人の師 (9)仏陀(ぶっだ,buddha) さとれる者 (10)世尊(せそん,bhagavat) 世から尊ばれる

仏教の基本的な目標は、さとりを開くことにあります。阿弥陀(あみだ)如来に よる救済の場合も、阿弥陀様は人を西方阿弥陀浄土へと招待してくれる訳です が、そこがゴールではなく、西方浄土はあくまで、この世よりも「修行がしや すい場所」というだけのことです。しかし阿弥陀様はそこに来たみんなが悟り の境地に到達するまで面倒を見てくれるわけです。

そのように悟りを開くために修行する人のことを菩薩(ぼさつ,bodhisattva)と いいます。そういう意味では、仏教の信徒はすべて菩薩ともいえます。菩薩は その修行が完了すれば如来になれる可能性があります。阿弥陀如来も修行時代 は法蔵菩薩と呼ばれていました。

仏像を見た時、如来像と菩薩像はだいたい簡単に見分けが付きます。菩薩像は 一般に様々な飾りを付けていますが、如来像は悟りの境地に達して何も身に付 ける必要はないので、袈裟だけをまとっています。ただし例外が大日如来で、 大日如来は悟りの境地としての王者の様ですので、如来像の中で唯一様々な 飾りを身につけています。

明王(みょうおう,vidyaraja)というのは、愚闇を破る智慧の光明を表し、忿怒 の相で人を導く存在です。vidyaraja の最後の ja の音を短音で止めるのが 男性形で、長音にするのが女性形です。特に女性尊であることを強調する場合 は明妃(みょうひ)ということもあります。菩薩は一般に優しく人を導くことが 多いのですが、優しく言われるより厳しい言葉を言ってもらったほうが救われ る時というのもあるもので、そのために明王はいます。そのため、菩薩と明王 はひとつの神格の別の面として現れる場合もあります(例えば馬頭観音菩薩と 馬頭明王など)。

最後に天(てん,deva)とは高いレベルの精神世界にある存在のことです。一般 に仏と仏教の守護者とされます。起源的にインド古来の宗教バラモン教から 取り込まれた神が多数あります。

私達がいる世界は欲望がうずまく欲界という所にありますが、その中に六道 があり、地獄道・餓鬼道・畜生道・阿修羅道・人道・天道が区分されるのです が、この天道(欲天)に存在する天たちがあります。また欲界の上には欲から解放 された物質だけの色界がありますが、その色界にも天があります。欲天は更に 6つに分類され、色界の天は16あるいは18に分類されています。更に色界の上に は、物質からも解放された無色界がありますが、ここにも4つの天が分類されて います。この無色界の最上位の天が「有頂天(うちょうてん)」です。そして、 このような様々な天の住人のことをまた天と呼ぶのです。

なお、仏たちのいる世界はこの有頂天の更に上のあらゆる因縁から解放された 世界です。

余談ですが、デーヴァというのは古代アーリア人の宗教の二大聖的存在のひとつ で、もうひとつは実はアシュラ(阿修羅)です。アーリア人のうち、インドに来た 部族はデーヴァを尊び、イランに来た部族はアシュラを尊んでいました。両者は 対立していたため、互いに相手の尊敬する神様を悪魔的存在とみなしていました。
そのため、インドではデーヴァが神でアシュラが悪魔とみなされたのですが、 逆にイランではアシュラ(アフラ)が神で、デーヴァ(ダエーワ)が悪魔というこ とになっています。そしてアフラの長がゾロアスター教の最高神アフラマズダ です。インドのデーヴァの長はインドラ(帝釈天)でしたが、後世になると、 インドラの地位は低くなってしまい、現在のインドのヒンズー教では、 ブラフマー(梵天)・ヴィシュヌ・シヴァの三神が共同で主神の座に付きました。

なおゾロアスター教徒はイランが後にイスラム化してしまったため、インドに 逃れてきて現代ではパーシー教徒と呼ばれています。パーシーとはペルシャの ことです。


(2004-04-09)

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