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心への旅(4)自我とコンプレックス

自我(ego)というのは人間の意識の統合の主体となるものです。人間の意識の中
には種々の観念が入っていると考えられますが、その全体を体系的にまとめて
いるのが自我だと考えられます。

するとそこには、意識の中にあって自我に属さないもの、自我と対立するもの
も存在します。これをコンプレックス(complex)といいます。

つまり意識というグループの中で主流派に属するものが自我で反主流派に属す
るものがコンプレックスとも言えます。言い替えればそれは自我がその内容を
自分自身の性質として受け入れなかったものを表わしています。

このようなコンプレックスを意識の中で野放しにしておくことは人間にとって
とても堪えられないものです。そのため自我はコンプレックスを様々な手段で
抑圧(repression)して、無意識の世界に追いやろうとします。

例えば投射(projection)という作用があります。「うちの社長はとにかくケチ
だから」などと言っている人が実は自分の中のケチな側面を社長という身近な
他人に投射している、という例は多いようです。

また反動形成(reaction formation)という作用があります。これは例えば母親
に対して敵意を持っている人が、その敵意を持つことに対して罪悪感を感じ、
その反動としてマメに母親にプレゼントをしたりして表面的には非常に優しく
母親に接しているような例があります。当然、逆に過度の愛情の反動としての
冷たい態度というのもありえるでしょう。

また代償(displacement)という作用もあります。これは上司に対する不満を家
庭に向けて、子供を叱り飛ばしたりといった場合です。

またコンプレックスが作り出す不安から逃れる為に仕事に熱中してみたりナル
シシズムや白昼夢に溺れたりする逃避(escape)という作用もあります。

これらの機制作用はいずれも自我が自分の精神を守るための防衛機能(defence
mechanism)です。

コンプレックスそのものはある意味で自我が持ってない心の作用であり、自我
を補うものである場合もあります。そこで自我が本気でそのコンプレックスと
対決し、その内容を自我に統合することができた場合、コンプレックスが解消
されるとともに、本人の自我の成長が実現されることになります。


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