1959年3月12日 気象庁が天気予報にコンピュータを使用し始める。
天気予報の予測計算システムというのは、原理的には非常に単純なもので す。日本近辺の空気の状態を一定サイズのブロックに区切り、そのブロッ ク内の気温・湿度・気圧・風速・風向などといった気象データを観測によ り設定します。 そしてそこから、力学の計算式に基づき、偏微分方程式を数値的に解いて 空気の移動・水蒸気の蒸発などの現象をシミュレーション計算します。 昔のコンピュータ予測がなかなかうまく当たらなかったのは当時のコンピ ュータの性能では、この空気のブロックのサイズをかなり大きく(数十km 単位)取らざるを得ず、計算が粗くなっていたためです。そこで1960年代頃 は、一応最高級のコンピュータを使用して予測計算を実行するものの、そ れは参考にするだけで、実際はベテラン予報官が天気図を見て、勘で予報 図を作成していました。
1960年代の超大型計算機は現在の低価格パソコンの1000分の1か1万分の1 程度の性能だったのではないかと思われます。
ところが1980年頃になってきますと、コンピュータの性能が上がってきて 計算で使用する空気ブロックのサイズが細かくなってきたことから、段々 ベテラン予報官の勘で作成した予報図より最初にコンピュータが予測計算 して算出した予報図の方が、実際になった天気図に近いということが多く なります。そこで1980年代半ば頃には、勘で予報図を作るのは中止され、 コンピュータで算出した予報図がそのまま発表されるようになりました。