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アスワンハイダム(1960)
文字通りナセル政権の命運をかけた大事業でした。
ナセル大統領(Gamal Abdel Nasser,或いは Jamal Abd al-Nasir, 1918-1970)はこのダム建設のためにソ連から4億ドル(1440億円)の借款と多くの技術支援を受けました。工期11年。高さ111メートル、長さ3800メートル。水門180門。12基の水力発電装置が210万kwの電力を供給します。
そしてこの電力を利用して鉄鋼や化学の工場を稼動させ、ダムにより出現した人工湖「ナセル湖」から供給される水は不足がちの農業用水を安定させ、砂漠の緑化もおこなわれました。
この工事の際、アブシンベル神殿やファネストアリ神殿などの遺跡が人工湖に沈むはずでした。これに対して、世界的に遺跡を守ろうという運動が発生。ユネスコが中心になって資金を集め、これらの遺跡は無事数百メートル移動されて水没を免れました。
しかし、神聖な神殿を沈めようとしたことが、このダムにたたりをもたらしたのでしょうか。ダム完成後、種々の問題が発生しました。
このダムのある場所は赤道に近い酷暑の地です。このダムは何年たっても予定していた水位に到達することはありませんでした。いくら水が流れ込んできてもどんどん蒸発していくのです。
そしてこのダムによりナイルがせきとめられたことで、毎年ブルーナイルから供給されていた栄養豊かな土が下流まで到達しないようになりました。この結果、ナイル河口付近の漁業が壊滅的な打撃を受けました。
更に、この川に潜んでいた住血吸虫が灌漑用水をつたって広い範囲に流布。住民に深刻な健康被害を与えました。
しかしナセル自身はこのダムの完成を待たずに大統領の座を去っています。
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