1948年6月30日、ベル研究所のショックレー(William Braford Shockley, 1910.2.13生)とその配下のバーディーン(John Bardeen, 1908.5.23生), ブラッテン(Walter H. Brattain, 1902.2.10生)らのチームがトランジスタの発明を報告しました。
ショックレーはイギリス生まれ、バーディーンはアメリカ生まれ、ブラッテンは中国生まれで、それぞれ1936年、1945年、1929年からベル研究所に在籍しています。彼らは(敵の)レーダーを検知する研究からゲルマニウムに注目し、このゲルマニウムに少量の不純物を入れて作った半導体をうまく組み合わせることにより、電流の増幅作用が出ることを発見します。つまりこれによって微弱な電波を増幅してレーダーが掛けられていることを検知しようというわけです。
これは実際にはP型半導体の間に薄いN型半導体をはさんだものか、逆にN型半導体の間に薄いP型半導体をはさんだもので、現代ではバイポーラ(二極)型トランジスタと呼ばれるものです。この動作原理は量子力学の力を借りないと、従来の物理学では説明不能です。その薄い中間層(ベース)がN型なのかP型なのかにより、N型トランジスタ、P型トランジスタと呼ばれます。
トランジスタは当時増幅用として多く使われていた真空管に比べて消費電力が小さいことと、寿命が遙かに長いことからその後急速に普及することになります。トランジスタがなければ現代の電脳社会は成立していません。
ただし現在はこのバイポーラ型より更に極端に消費電力の小さいモノポーラ(単極)型のトランジスタである CMOS-FET(相補型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ,通常単にCMOSと言う) が主力になっています。
ショックレーらはこのトランジスタ発明の功績により1956年ノーベル物理学賞を受けています。なおこの中でブラッテンはその後超伝導の研究でも大きな功績をあげて1972年に2度目のノーベル物理学賞を受けました。ノーベル物理学賞を2回受けたのは彼ただ一人です。(マリー・キュリーは物理学賞と化学賞を受けている)