1543年5月23日、コペルニクスが「天球の回転について」を発表。この中で事実上地動説を提唱しました。
数学的には回転運動に中心点は存在しませんので(回転する平面はどこを中心点とみなしても構わないのが数学上の定理です)地球と太陽の内どちらがどちらの回りを回っていると考えた方がいいのかについては、古来議論がありました。しかし中世のヨーロッパでは偏った宗教論議によって、太陽が地球の回りを回っているという考え方(天動説)のみを教会は認めていました。
このため、コペルニクスの100年後に登場したガリレオなどは地動説は異端であるとして宗教裁判に掛けられており、その名誉が回復されたのは現代になってなんと1985年のことです。
この天動説をもとにした場合、惑星の動きは「周転円」という複雑な手法で計算されていました。各惑星は地球のまわりを回る円の上に中心をおく回転する円の上を動いている、というややこしい話です。地球と太陽の相互関係においてはどちらがどちらのまわりを回っていると考えても構いませんが、他の惑星は太陽との関係で運動していますので、地球から見ると、こういうめんどくさい話になってしまう訳です。
ここでコペルニクスは逆に地球の方が太陽のまわりを回っていると考えた方がすっきりすることに気づきました。しかしコペルニクスは今はまだそれを世に問う時期ではないと判断、これを単なる「天体位置の簡易計算法」として発表します。お陰で彼はガリレオのように面倒な目にあわずにすみました。