2003年4月7日は鉄腕アトムの誕生日です。
この日に向けて色々なイベントが計画されているようです。
鉄腕アトムを作ったのをお茶の水博士と思っている人が多々ありますが、それはよくある間違いで、天馬博士です。天馬博士が交通事故で死んでしまった自分の息子に似せて作ったロボットがアトムでした。アトムは初期の段階で色々悲惨な運命に遭うのですが、やがてお茶の水博士に引き取られて、そこでお茶の水博士によって作られたアトムのお父さん・お母さん・妹(ウラン)と共に4人家族で暮らすようになります。
鉄腕アトムはSF界でこの時代に多く発表された、近代文明の行方に対する警鐘としての作品のひとつであり、作者の手塚治虫は同様の傾向の作品として「バンパイヤ」「マグマ大使」なども描いています。
こういう流れはアトムの作者・手塚治虫のいわば後輩である、石ノ森章太郎にも受け継がれており「サイボーグ009」や「仮面ライダー」「キカイダー」「ロボット刑事」などは鉄腕アトムへの巨大なオマージュとも取れます。
「アトム」は「原子」、「ウラン」は核物質の代表で、原子力の平和利用を願ったものでしょう。ただしアトムの動力はウランによる核分裂ではなく、核融合であったようです。
鉄腕アトムが登場したのが1951年ですが(連載開始は1952年4月)、これは1952年11月にアメリカが水爆実験に成功するよりも前のこと。手塚はおそらく当時最先端の技術動向を把握してこういう設定を考えたのでしょうか。手塚は50年後には核融合がコンパクトな場所で起こせるようになるかも知れないと考え、この設定にしたのかも知れませんが、現状はかなり手こずっている状態です。しばしば人間の想像力は技術の進歩を大きく先取りしています。
テレポーテーションなども以前は単なる空想の産物、あるいは原理的にありえない非科学的なこと、と考えられていたのが最近の量子物理学の研究で、そういう現象が存在することが理論的に確かなこととなっています。「どこでもドア」のようなものが実現するにはこのあと100年以上かかるかも知れませんが。