ポール・ケース(1884-)

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現代の有力魔術結社のひとつB.O.T.A.(the Builders of the Adytum)の設立者である、ポール・フォスター・ケース(Paul Foster Case)は1884年10月3日朝6時頃、ニューヨークのフェアポートで生まれました。

小さい頃から本が好きで、3〜4歳頃から父の書斎の本をかなり濫読していたようです。一方で音楽的な才能も発揮し、ピアノやオルガンの腕もかなりのものであったそうです。魔術を(まともに)やる人は右脳が発達していますので、こういう方面の才能が出やすいようです。実際彼は初期の段階では音楽家として活動していたようです。

16歳の時にタロットに出会い、当時集められるだけのタロットを収集したといいます。そして彼はこの神秘的な体系に完全に魅せられ、その世界で瞑想を続けました。

1920年頃ニューヨークで知人の誘いで「ゴールデン・ドーン(*1)」の流れを汲む魔術結社Thoth-Hermes Temple of the Golden Dawn (Alpha et Omega)に入ります。卓越した魔術に対する理解力と実践力により、どんどん上の位階に進みますが、やがてそことは自分の道は違うことを自覚。1922年に独立してはじめSchool of Ageless Wisdom というのを設立します。しかしこれはすぐに挫折。そこで彼は西海岸に移動し、音楽活動の方は引退して魔術一本に絞ることにし、ロサンゼルスでB.O.T.A.を設立しました。これが成功したわけです。

彼は1920年代末期から1930年代初期にかけて、ライダー・ウェイト(*2)の流れを汲む新しいタロットを制作します。絵を描いたのはJessie BurnsParke という人ですが、このタロットの最大の特徴は、色を塗らずに頒布されており、セットに色の塗り方が書いてあって、購入した人は自分で着色することにより、その過程を通じてそのタロットを完全に自分専用のものにすることができるというものです。

普通市販されているタロットを購入した人は、その人なりの一定の儀式を通じて、それを自分の波長に合わせるのですが、着色するという作業はこれをかなり深いレベルで行うことになります。

このタロットは現在でも日本国内のオカルト・ショップで容易に入手可能であり、箱の中にはB.O.T.A.の入会申込書まで入っています。

なお、ケースは1954年3月2日に亡くなりますが、B.O.T.A.はその後継者により現在でも維持されています。 http://www.bota.org

------------(*1)黄金の夜明け、黄金の暁、などと訳している人もいます。その実体に関しては、かなり分かりにくいのですが、タロットが20年ほど前にブームになった頃、木星王氏が当時かなり調べて書かれた記事を、鵜呑みにして追跡調査もせずにそのままあちこち書き広めた人達があり、そのお陰で実際とはかなり違う情報が広まっている感があります。

  この問題に関しては、この黄金の夜明けの活動の流れを汲む日本の団体I∴O∴S∴のサイトの記事を参照すると、整理できるかと思います。(あまりにも多数の団体名が出てきて、更に混乱するかも知れませんが)

(*2)ゴールデンドーンの代表的な活動家の一人であるアーサー・エドワード・ウェイトが同会のメンバーである霊感の強い画家パメラ・コールマン・スミスに描かせたタロットで、当初ライダー社から出版されたため、この名前があります。現在世界で最も多く使用されているタロットであり、熱狂的なファンも多いタロットです。日本ではU.S.Games社から出ている版が入手しやすいでしょう。


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