「オズの魔法使い」の作家、フランク・バウム(Lyman Frank Baum)は1856年5月15日、ニューヨーク州のChittenangoに生まれました。
(「フランク・ボーム」と書いている人も多い。英語読みすればボームなのだろうが、ドイツ語っぽい気がして私はバウムと読んでいる。実際はどちらなのだろうか.....)
身体が弱かったため学校には行かずに家で勉強し、20代になってからは俳優や雑誌記者など多数の仕事に従事、やがて1899年に最初の作品「Father Goose」を発表、そして1900年に「オズの魔法使い」が大ヒットして、人気作家になりました。
なお彼は多数のペンネームを使用しており、下記のようなものがあります。
Schuyler Staunton, Laura Bancroft, Captain Hugh Fitzgerald, Suzanne Metcalfe, Floyd Akens, Edith Van Dyne, George Brooks, Louis F. Baum, John Estes Cooke
バウムは「オズの魔法使い」の序文でこのようなことを書いています。
幾世代もの人に語られて来た昔からのおとぎ話は今や子供たちの本棚の中では「古い話」という所に入れられているかも知れません。
型にはまった魔神や小人や妖精などは、物語に恐ろしい寓意を強調するため作者が考案した身の毛のよだつ血も凍るような出来事とともに消してしまい、もっと新しい「不思議な物語」を作る時代が来ています。
現代の学校教育には道徳の時間が入っています。ですから現代の子供達は不思議物語の中に娯楽だけを探し、不愉快な出来事はみんなあっさり省いてしまうのがよいでしょう。
この考えを心に置いて「オズの素晴らしい魔法使い」の話は今日の子供たちを喜ばせるためだけに書きました。この物語は心を痛めるできごとや悪夢などは除外されており、不思議と楽しさだけが入っている現代的おとぎ話にしあげたつもりです。
ここに「イソップ物語」や「グリム童話」のような教訓付きの物語から脱した純粋娯楽童話を開始しよう、というわけです。これはある種児童文学の革命であったかも知れません。なお、作者自身によるオズの物語は下記の14作品です。
1900 The Wizard of Oz オズの魔法使い (初版:The Wonderful Wizard of Oz)1904 The Land of Oz オズの虹の国 (初版:The Marvelous Land of Oz)1907 Ozma of Oz オズのオズマ姫1908 Dorothy and the Wizard in Oz オズと不思議な地下の国1909 The Road to Oz オズへつづく道1910 The Emerald City of Oz オズのエメラルドの都1913 The Patchwork Girl of Oz オズのつぎはぎ娘1914 Tik-Tok of Oz オズのチクタク1915 The Scarecrow of Oz オズのかかし1916 Rinkitink in Oz オズのリンキティンク1917 The Lost Princess of Oz オズの消えたプリンセス1918 The Tin Woodman of Oz オズのブリキの木樵り1919 The Magic of Oz オズの魔法くらべ1920 Glinda of Oz オズのグリンダ(*1)
(*1)バウムは1919年5月6日に亡くなった。これは死後出版されたもの。