スウィフト(ガリバー旅行記)

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『ガリバー旅行記』で知られるスウィフト(Jonathan Swift)は、1667年11月30日、アイルランドのダブリンで生まれました。

イングランドに出て政治家の秘書などを務めますが、のち英国国教会の司祭に叙任、その傍ら詩作や風刺文学などを書くようになりました。

代表作『ガリバー旅行記』は1726年の作品。小人の国/巨人の国/変わり者の国/馬の国、と旅する、作者と等身大の主人公を通して、生きる価値について考えさせてくれます。

この変わり者の国には家を土台から屋根へと建てるのではなく先に屋根から作るにはどうすればいいか?などと悩む変な学者などが出てきます。また、不死の人間というものも出てきます。この国からの帰り道に日本がチラっと出ているのは有名な所。

コンピュータ内部の数字の記録方法に関する Little Endian (Intel-86方式),Big Endian (Motorola-68方式) という言葉はこのガリバー旅行記小人の国の戦争の原因に由来しています。この戦争の発端は、卵を細い方から食べるべきか、太い方から食べるべきか、というものでした。

ガリバー旅行記は、子供向けの本ではしばしば巨人の国までで止まってしまっていますが、この小説の真意は変わり者の国を読んで初めて分かり、作者の理想は馬の国で提示される仕組みになっています。

しかし確かに馬の国はそのまま子供に読ませるには少々刺激が強すぎるかも知れません。この付近を書いた頃、スウィフトは少しおかしくなっていたのではないか、という説もあります。

その馬の国では、フーイナム(Houyhnhnm)と呼ばれる馬の姿をした生物が高い知能を持っており、同じ国に、ヤフー(yahoo)という人間の姿をした野獣が出てきます。ガリバーは馬の姿のフーイナムたちに、知性を持ったひじょうに珍しいヤフーとして迎えられます。

フーイナムたちは凶暴なヤフーに手を焼いており、最後は彼らを絶滅させるため、雄と雌を強制隔離して、もう子供ができないようにしてしまいます。そのとき彼らは特別なヤフー<ガリバー>の扱いに困り、ガリバーもそれを潮時としてその国を後にします。

この小説の影響で「ヤフー」という単語は凶暴な人間とかならず者といった意味合いの半一般名詞となりました。

覆面作家・沼正三の「家畜人ヤプー」はこの単語をベースに、動物を人間以上に大事にしているどこかの人々を少し皮肉り、白人至上主義と強烈なSMの世界、そして古代日本神話とをリンクさせて独特の世界を構築しました。

残念ながら、私にはこの原作はとても読めませんでした。漢字があまりにも難しすぎてギブアップしました。ということで、私は石ノ森章太郎さんのマンガと、あとはあちこちで目にした書評からしかこの作品の実際の内容を伺い知ることはできません。漢字に強い人でSMに抵抗感の無い方はぜひ挑戦してもらいたいものです。占いやオカルトに関わる人にとっては読む価値のありそうな本です。

でも特に男性の方で、SMに心理的抵抗のある方にはお勧めできません。

さて、5年前に「ヤフー」という言葉から連想するもの、と人に質問したら沼正三の小説しか反応が帰ってこなかったと思うのですが、現在では、この言葉から多くの人が連想するのは、大検索サイト Yahoo! です。

この言葉はしばしば誤解している人がいるようにかけ声の「ヤッホー」ではありません。「ヤッホー」は yo-ho であり(確かに yahooと書くこともある)これはやはり「ヤフー」です。

これはヤフーの開発者の David Filo と Jerry Yang が自らを「ならず者」と謙遜したことから始まるとのことです。Yahooのもうひとつの(外向きの)説明は Yet Another Hierarchical Officious Oracle というものです。このあたりの詳しい説明は、Yahoo!のサイトでご確認下さい。

Yahoo!の最初のバージョンが動いていたマシンの名前が Akebono と Konishikiであったというのも有名な話ですね。これは開発者が相撲ファンだったからとのこと。

なお、スウィフトは『ガリバー旅行記』のあとも、詩やエッセイを多数発表し、1745年に亡くなっています。


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