メルカトール(1512-1594)

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地図の「メルカトール図法」で知られるメルカトール(Gerardus Mercator,あるいは Gerhard Kremer) は1512年3月5日、ベルギーのルペルモンドで生まれました。ルヴァンの学校を卒業したあと、印刷関係や理工機器の製造関係の仕事をしました。

彼の名前を歴史に残したのは1569年に考案した正角円筒図法で、子午線に常に同じ角度を保って航行する「等角航路」が地図上で直線で示される為海図として非常に重宝され、大航海時代を支えることになります。現在では通常メルカトール図法と呼ばれています。

この方式が考案される以前は1300年頃にポルトラノが考案した、各ポイントから、羅針盤でどちらの方位に航海していけばどこに着くか、というのが記された地図が使用されていました。しかしポルトラノの図法では距離が極めて大雑把な上にポイント間の相互位置も必ずしも妥当ではありませんでした。メルカトールの考案した図法は地球儀を縦に立てた円筒に投影してその円筒を切り開いて平面にしたもので、緯度が高くなるにつれて距離が大きく拡大されてしまう欠点はありますが、初めて数学的に正確に地図を作る技術が導入された意義は大きなものでした。

メルカトールがこの図法を提案した翌年にはオルテリウスが世界最初の地図帳を制作しましたが、メルカトール自身も自分の図法で地図帳の制作に取り組み、彼はこの地図帳にギリシャ神話の天を支える巨人神の名前を採ってアトラス(Atlas)という名前を付けました。アトラスは1594年に彼が亡くなった後、息子の手で1595年完成していますが、その後アトラスという言葉は地図帳一般を指す普通名詞になるに至っています。

■主な地図の図法(1)角度が正しい図法メルカトール図法 地球を縦に置いた円筒に投影し、その円筒を開いたもの。経線と子午線が地図上でも直交しているのが特徴。国土地理院の地図に使用されているのはこのバリエーションのユニバーサル・横メルカトール図法(横に置いた円筒を使用し6度単位で処理する)である。ランベルト正角円錐図法 円筒ではなく円錐を使用するので面積のひずみが小さくて済む。但し経線と子午線が直交せず、南極が大きく広がってしまう

(2)面積が正しい図法ランベルト正積円筒図法 メルカトール式をベースに高緯度になるに従って縦の縮尺を調整して面積が等しく保たれるようにしたもの。歪みが大きいので現代では使用されない。

 モルワイデ図法 地球全体を楕円に展開したもので、ランベルト式よりもずっと歪みが小さいが、画面の端の方はさすがにきつい。

 断裂ホモロサイン図法 形の歪みをできるだけ避けるため、海洋部分に断裂を入れて、全体の形の崩れをできるだけ小さくしたもの。実際には低緯度部分はサムソン図法を使用し、中高緯度ではモルワイデ図法を使用する。

 ランベルト正積方位図法 面積が正しいとともに地図の中心からの方位も正しくなるようにしたもの。地球を円に投影する。面積が正しい上に、結構な範囲まで形の歪みが小さいので大陸図に使用される。

(3)距離が正しい図法トレミー図法 標準緯線および経線に沿っての距離が正しい。円筒式と円錐式がある。正距方位図法 中心から全ての点への距離と方位が正しいので航空図に使用される。

(4)その他の図法ミラー図法 メルカトール式の改良版だがランベルト正積円筒図法よりも形の歪みが小さいため、気象図などに使用される。心射図法 任意の2点間の大圏距離(最短距離)が直線で表されるため、形の歪みは大きいが、航空図に使用される。


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