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(18)バブルとは何だったのか

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日本は1990年代初頭に「バブル崩壊」に見舞われて、その後遺症がいまだに
続いているわけですが、それではバブルというのは振り返ってみて、いったい
何だったのでしょう。

バブル経済がいつからいつまでだったのかについては定見をみないのですが、
だいたい1987年頃にはじまり、1991年頃に終わったといった線があまり外れて
いない線ではないかと思います。

日本の公定歩合は1980年に9%になっていたのをピークに毎年引き下げられてい
き1987年2月に20年ぶりの低水準となる2.5%にまでなりました。この結果預金
金利も下がって「銀行にお金を預けるのが馬鹿らしい」水準になり、一方で
お金を借りる時の金利も下がって、お金が借りやすくなりました。そこで銀行
から飛び出したり、または融資を受けて得たお金が、どこへ行ったかというと
株や不動産への投資です。

それまで株や不動産を動かしてお金を儲けようとするのは、一部のお金が沢山
余っている人だけだったのですが、この時代から、ごく普通の会社員や主婦ら
が不動産を買って値上がりを待って転売したり借金して駐車場やアパートを
建設してはその貸賃でローンを返済すると共にあまった分を小遣い代わりに
使うなどということをし始めます。また1987年2月に売りに出たNTT株などは
売出価格119.7万円が実際の市場では2ヶ月後に318万円にまで上昇。この株だ
けで物凄い財産を得た人たちもいました。

そしてこの時代また資金の余裕ができた信販会社が盛んに会員獲得の営業活動
をおこない、かなり甘い審査でカードが発行される自体になりました。その
カードで若い人たちは海外旅行に行ったり、高いブランド品を買ったりして、
それが「素敵なこと」であるかのように、多くのマスコミや雑誌などが煽りま
した。当時は給料を月に15万円くらいしかもらっていない若い会社員が何十万
円もするバッグや背広などを平気で買い、普段に使用していました。

アメリカでは1987年10月20日のブラックマンデーの株価大暴落を期に不況に
突入しますが、日本ではこの時期から個人投資家の活動により、株価も地価も
どんどん上がっていきます。地価があがれば、土地転がしや地上げなどが横行
し、街にはおしゃれなビルが次々と建設され、高い家賃を呈示してもいくらで
も入居してまた高い価格帯の商品を売る店がオープン。その店の商品がどんど
ん売れるという事態が続きました。

しかしこのような「見せかけの好景気」がいつまでも続くはずはなかったので
す。地価もあまりにも上がると、さすがに誰も買えなくなってしまいます。
家賃もあまりにも高いと、借り手がなくなります。高い家賃の場所を借りて
営業していた人たちも少しでも売上が落ちるととても成り立たなくなって、
そういう所から撤退します。クレジットで高い物を買っていた人たちはいつか
カードの限度額まで使ってしまい、それ以上物を買えなくなるとともに、決済
の資金に困るようになります。そして借金してアパートを建てて家賃で収入を
得ていた人たちも、借家人がお金に困って家賃を滞納しはじめたり、もっと
安いところへ脱出したりすると、収入が激減してお小遣いがなくなるどころか
自分のローンの返済に困るようになります。

かくしてバブル崩壊となるわけです。

世の中は絶不況に陥り、政府は景気刺激策を打ちますが、みんながバブル期に
使ってしまった分のお金の返済に追われている状態では物が安くなっても、ま
た多少税金が安くなっても、消費に回すお金などありませんでした。

結局はバブルというのは半分は実態経済の見せかけの膨れあがりと、半分は
将来の購買力を短期間に先に使ってしまったことから起きたものだったので
しょう。つまりバブル経済とバブル崩壊は表裏一体のものだったのです。


(2004-03-16)

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