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(2)架空請求詐欺
さて現在「おれおれ詐欺」と並んで問題になっているのが「架空請求詐欺」です。 この詐欺は実は特に新しいものではなく、結構古い手法です。以前のやり方は 電話帳などで小さくて経理が適当かも知れないという雰囲気の会社をたくさん 探し出して、そういう所に少額の請求書を無差別に送りつけるというものでし た。するときちんと経理が行われている会社なら、そんなものには引っかかり ませんが、てきとうな経理をしている会社で請求書が来たものは単純に払うな どということをしている所だと、払ってくれる場合がある、というもので相当 以前から何度かマスコミなどにも取り上げられて、注意を促されていました。 2001年頃だと思うのですが、海外からのメールでいきなりInvoice(請求書)を 送ってくるところが現れました。おそらくはアメリカなどでも上記のような 小さな企業相手の詐欺が行われていて、それを個人相手に電子メールで大量 無差別攻撃を仕掛ける人たちが現れたのでしょう。私も最初請求メールを受け とった時はびっくりしましたが、身に覚えの無い請求でしたし、すぐに上記の タイプの詐欺のことを思い出しましたので、あれの電子メール版だなとすぐに 判断が付きました。 そして問題の日は2002年の11月25日早朝です。この日、日本中のひじょうに多く の個人宛に、城東興信協会を名乗る発送者からインターネット・コンテンツの 未払い金を至急支払うように、として振込先に三井住友銀行の口座番号を指定 したメールが送られてきました。私も日本語の請求としては初めてだったので 受信した時は10秒くらい悩んだのですが、その時点で英語版の架空請求メール はだいたい月に5〜6通は受け取っていましたので、すぐにあれの日本語版が とうとう出たんだと判断しました。すぐに「城東興信協会」をgoogleで検索し てそのような会社が存在しないことを確認。2chに行ってみると、既にこの架空 請求メールの話題でスレッドが立っていました。これで完全にこのメールが 詐欺であることを私は確信しました。 この第一号の日本語版架空請求メールの場合、その口座を調べたら使用できな い口座になっていたとのことで、被害は出なかったものと思われます。しかし 『こんな儲け方があるんだ』ということをひじょうに多くの人に知らしめた メールでもありました。 その後この架空請求メールの模倣犯が大量に出現します。あるいは最初に送った 人も文面にミスがあったことや、口座が使えなかったことなどの問題を改良して まだ何度も大量送信をしたかも知れません。しかし当時、2chのスレッドの雰囲気 としては、こんな馬鹿なメールに払う人なんている訳がない、という考えの人が 多かったようです。 ところがところが。 2003年の春頃になってこの問題でマスコミなどが騒ぎ始め、初めて大量の被害が 出ていることが明らかになりました。要するに普通の神経の人なら、こんな馬鹿 な請求に対して払うことなどありませんが、ヤミ金などからたくさんお金を借り ているような超多重債務者などで、自分がもうどこから幾ら借りているか分から なくなってしまっているような人が「請求が来ているから払わなければ」と相手 を確認もせずに払っているようなケースが、かなりあったようです。 そしてこの架空請求メールはやがてメールだけでなく、ハガキによる請求という 手法も取り出すようになります。そして最近では、法務省認可特別法人などと、 ふざけた資格を名乗って、お金を取り立てようというやからも現れ始めました。 こういう架空請求のメールやハガキに対する対処は基本的にこうです。 (1)メールやハガキは基本的にそのまま捨てる。気になるなら警察に届ける。 (2)相手に連絡してはいけない。連絡してきた客は「見込み客」として登録 され、ますます架空請求が来るようになる。 (3)1円たりとも払ってはいけない。払った客は「上得意客」として仲間内で 名簿が回され、あちこちから請求が来るようになる。 この手の請求メールはしばしば、債権譲渡を受けたと書いて、本人が知らない 会社名であることを怪しまれないようにしていますが、債権譲渡をするには、 『譲渡する側から』その旨を内容証明郵便で送り付ける必要があります。 債権譲渡された側からいきなり連絡してくることはありえませんし、無効です。 そもそもどこから譲渡されたかを書いていないというのは笑止です。 また法務大臣許可の債権回収会社は下記にリストがありますから、そこに名前が 載っていないところはニセモノです。 http://www.moj.go.jp/KANBOU/HOUSEI/chousa15.html ただし最近は、実在の債権回収業者の名前を騙って請求してくる所もあります。 しかしそういうところが『ハガキ』で請求を送ってくることはありえません。 また振込先が『個人名』であったりすることも絶対にありえませんので、 疑問がある場合は、請求のハガキに書かれていた電話番号ではなく、 上記の『法務省のサイトに書かれている連絡先』に電話して照会してみましょう。 最近、このように「架空請求には連絡するな」という啓蒙活動が行われているの を逆手にとって、今度は正規の裁判を利用してお金を取ろうとする詐欺が数件 発生しています。 これは「少額訴訟」という簡易裁判所の裁判制度を悪用するものです。架空の 請求の案件を敢えて正規に簡易裁判所に訴えるのですが、その場合裁判所から の呼び出しが請求された人の所に届きます。 『この裁判所からの特別送達の手紙だけは無視してはいけません』 この場合、これを無視して裁判所に出て行かなかった場合、被告側が出廷しない ということは争う意志は無いとみなされ、自動的に敗訴してしまいます。しかも この少額訴訟に関しては、控訴することができませんのでこれで判決確定です。 ※裁判所に連絡する時はNTTの番号案内で電話番号を調べること。 手紙に書いてある電話番号を信用してはならない。 裁判所を装った手紙である可能性もあるからである。 この少額訴訟の不出廷・即敗訴、という事態を避けるには裁判所までこちらが 行かざるを得ないのですが、概してこの手の請求者は、その裁判所までの交通費 の方が請求額より大きくなるように、わざと遠隔地の裁判所で裁判を起こしています。 しかしこの場合、被告側は自分の近くの裁判所への移送を求めることが可能で、 移送を認めるかどうかは裁判官の裁量次第なのですが、万一認められなかった 場合も、本裁判への移行を申請することができます。この場合は、被告が事実 関係を争う意志を表したということになり、無条件で本裁判に移行されます。 たいていの架空請求者はそうなってしまった所で諦めます。 この付近の手続きについて不安がある場合は、弁護士会などの法律相談で相談 してみましょう。正規に弁護士さんに頼めば、その費用が架空請求の金額の 10倍以上になるのは確実ですが、弁護士会の法律相談なら5000円で済みます。 ただ、この簡易裁判所を悪用した架空請求については、請求する側のリスクが 高すぎる(逆に告訴されて実刑をくらう危険がある)ことから、あまり流行ら ないであろう、と多くの人は見ています。


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