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岩手県のシンボリズム
岩手県は山の中です。 海岸近くまで迫る山岳地帯の中に、縦に1本、北上川が流れており、この川 が作る谷間に、盛岡・花巻・一関などの都市が並んでいます。北上川は県北 部の二戸高原・七時雨山(ななしぐれやま,1060m)に源を発し、南下して、盛 岡北部の四十四田ダムを経て、花巻・北上・水沢・一関と南下、宮城県北部 で太平洋に注ぎます。このラインに沿って、東北新幹線・東北自動車道など の動脈も通っています。 この山岳の中の最高峰は、盛岡の西北、松尾村・滝沢村・西根町・雫石町に またがっている、岩手山(2038m)です。南部富士の異名を持つコニーデ型複式 火山。古い西岩手山の上に新しい東岩手山が乗っかっています。最近の噴火 は江戸時代の享保年間。 全体を囲む外輪山は鬼ヶ城と呼ばれ、その中に西岩手・東岩手両方のカルデ ラ湖があります。東岩手山の火口内に岩鷲大権現・岩手山神社の本宮があり ます。本地は阿弥陀・薬師・観音とされ、また稲倉魂命(うかのみたまのみ こと,お稲荷さん)・大己貴命(おおなむぢのみこと,大黒様)・日本武命( やまとたけるのみこと)の三柱がまつられています。岩手山神社は坂上田村 麻呂が開いたと言われています。 岩手山西南にある雫石町は1971年全日空機が自衛隊機に衝突されて墜落した 場所として記憶しておられる方も多いと思いますが、若い人たちの間として はスキーのリゾート地として有名です。また、ここの小岩井農場は酪農品の 良質ブランドとして知らない人はいないでしょう。小岩井とは、創立者の 小野義真(日本鉄道)・岩崎弥之助(三菱)・井上勝(鉄道局長官)の名前を1字 ずつ採ったものです。2月には雪まつりも行われます。 県の北東部には世界でもトップクラスの透明度の地底湖を持つ龍泉洞があり ます。非公開の第四地底湖の深さは120mもあります。山口県の秋芳洞、高知 県の龍河洞とともに日本三大鍾乳洞とも。 太平洋沿岸は複雑なリアス式海岸になっています。この海岸は陸前・陸中・ 陸奥にわたるため、三陸海岸と呼ばれ、黒潮(日本海流)と親潮(千島海流) とがぶつかり好漁場となるとともに、リアス式海岸のおかげで良港が多く、 昔から漁業が盛んです。中でも久慈・宮古・大船渡・釜石などは有名。この 三陸海岸の鉄道路線は鉄道マニアには有名な変則的路線。何度も国の鉄道建 設計画が中断してしまったため、変なことになっているもので、建設開始は かなり古い時期なのに全線開通したのはかなり最近のことです。 列車としては、久慈から盛まで直通列車が数本あるのですが、久慈から宮古 までは第三セクターの三陸鉄道、宮古から釜石まではJR山田線、釜石から 盛までがまた三陸鉄道になります。 県南東部に「民話の里」遠野があります。柳田国男がこの村の青年と偶然知 り合い、ここで民話の収集をしたことが、日本の民俗学の出発点になりまし た。その内容は彼の「遠野物語」で知ることができます。 県南部の平泉町には、中尊寺・毛越寺があります。奥州藤原氏の「夢の跡」 です。「三代の栄耀一睡の中にて...」と、奥の細道のこの部分を暗唱でき るかたも、けっこうおられるのではないかと思います。