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■性転換手術


ことば

日本では現在「性転換手術」の名前で通っているが、英語では最近は sex-change surgery とはいわず、sex reassignment surgery (SRS) という名前が一般的である。中には社会的な性適合のための手術なのだからということで、gender reassignment surgery (GRS)ということばを使う人もいる。

俗には、男性から女性への性転換手術はポールとボールを取って、ホールを作る手術だという。うまい言葉遊びだが実際に手術はそういう過程で進む。

性転換手術の技法はまだ完成したものではない。日々発展しているものと考えた方がよいであろう。

現代では一般に、リリー・エルベが受けたような、性腺の移植はおこなわない。提供者の確保が難しいこと、拒絶反応の問題があること、などがある。中国で移植手術がおこなわれたという報道もあるが、信頼度は低いものと思われる。しかし将来は「性器バンク」のようなものが作られ、組織的に適合しやすそうな人に性腺が移植されるようなこともあるかも知れない。その場合、ドナーカードに「性器」というチェック欄ができたりするかも知れない。

MTF

男性から女性へ(MTF - Male to Female)の手術はだいたい次のようにおこなわれる。

  1. 喉仏の除去や、手足やヒゲの永久脱毛、隆胸などの手術は一般にこの手術以前に終了している。隆胸は以前はシリコンパックが挿入されていたが現在では安全の面から生理的食塩水のパックを挿入する。この手術は本人の希望の胸の大きさにするため、必ず部分麻酔でおこなわれる。つまり最高にイタイ手術である。
  2. 性転換手術は全身麻酔でおこなう。
  3. 陰嚢を中央から切開し睾丸を取り出して切除する。
  4. そのまま陰茎部まで切開し、陰茎を皮膚と尿道と海綿体と亀頭に分離する。海綿体は切除する。亀頭は子宮頸部として利用する流儀と切除してしまう流儀がある。
  5. 正しい女性の尿道開口部位置に合わせて皮膚を切開し、そこに尿道を通す。
  6. 女性の正しい膣の位置に指を挿入し穴を開ける。そこに陰茎皮膚を逆転して押し込み、膣とする。
  7. 尿道の余分な長さを切除して尿道口を形成する。
  8. 陰嚢皮膚を利用して陰唇を形成する。
  9. 最後に膣がふさがらないように詰め物を入れて完成。
この方法をpenil-invertion法という。陰茎皮膚で膣を作るので、ちょうど男性の陰茎を受け入れることのできるサイズの膣ができるのが特徴である。また神経が残るため、この膣はきちんと性感も残る。手術はできるだけ神経を傷つけないように細心の注意を払っておこなわれる。医師によっては膣を折り込む時に少し波打つようにして埋め込む。すると性交時に双方とも快感が増すのである。

この方法が考案される前は、腸(S字結腸)の一部を使ったり、大腿部の皮膚を丸めて膣を作ったりという方法がおこなわれていた。腸を使用した場合、お腹に開腹の跡が残るのが不評であった。現代では膣欠損症の女性に対する造膣術においても、腸利用方式はほとんどおこなわれていない。

なお、この手術を受けた人は、膣が萎縮してしまわないよう、一生、膣にシリコン製の詰め物(ステントという)を入れておかなければならない。

FTM

女性から男性へ(FTM - Female to Male)の手術はだいたい次のようにおこなわれる。

  1. 乳房は先に切除されているものとする。また卵巣も既に摘出されているものとする。
  2. 腹部の筋肉を切開して、アーチ状の物体を形成する。そのまま数ヶ月おいて固定する。
  3. 次の段階の手術として、アーチの上の端を腹部から分離し、先頭を亀頭のように形成する。
女性から男性への手術というのは、男性から女性への手術に比べてあまりにも不完全である。この手術を受けても陰茎は勃起しない。どうしても勃起させて性行為をおこないたいという人には、男性の性的不能治療と同様に電動式の勃起・精液射出機構を組み込む場合もある。かなり不便ではあるが、なんとかなっている人もあるという。

しかしFTM性転換志向の人の場合、現状の手術の内容に期待せず、卵巣と乳房の除去だけで我慢している人も多いという。



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