これは1975年のバイキング2号以来17年間も途絶えていた火星探査を復活さ せる画期的なロケットで、やっとアメリカが本格的宇宙開発に復活したこと を象徴する記念碑的なプロジェクトでした。十億ドルの巨費が投じられてお り、予定では11ヶ月かけて火星に到達して火星を回る軌道にのるはずだった のですが.......
なんと、火星到達直前の1993年8月21日21時(日本時間22日10時)に突然消息 をたってしまいました。
原因は推進系の故障により、ガスが変な方向に噴出され、ロケットが高速回 転を起こして他の機械系も故障してしまったものと推定されました。
NASAはこの事故に大きくショックを受けます。
そして、3年後、1996年11月7日12時(日本時間8日2時)その代替機「マース・ グローバル・サーベイヤー」が同じくケープカナベル基地から打ち上げられ ましたが、今度は徹底的に節約型の宇宙船に改造されていました。打ち上げ ロケットも一回り小さいタイタン2型ロケットを使用しています。
そして更に同年12月4日2時(日本時間4日16時)前、続いて火星軟着陸を目指す 「マース・パス・ファインダー」がこれはデルタ2型ロケットで打ち上げら れました。こちらも徹底的にケチケチ構造になっていて、火星への着陸も火 星の大気で減速するという大胆な方法が採用されました。
そして今度はこのふたつの宇宙船はどちらも無事火星までたどりつき、その 内先に火星にたどりついたマース・パス・ファインダーは、当時大きな話題 になった通り、1997年7月4日(アメリカ独立記念日)の10時20分(日本時間5日 2時20分)無事火星に着陸、おもちゃのような自走式探査機を送り出して、 種々の画像とデータを地球に届けてくれました。
そして同年9月11日22時(日本時間12日11時)、後から到達したマース・グロー バル・サーベイヤーの方も、無事火星周回軌道に入りました。こちらは着陸せ ずに、軌道上から火星の観測を続けました。
しかしその後またNASAは2度続けて火星探査機に失敗しています。1998年12月 11日に打ち上げられたマーズ・クライメート・オービターは火星の周回軌道に 乗せるのを失敗。続く1999年1月3日打ち上げのマーズ・ポーラー・ランダーは 着陸させようとしていた時に突然交信が途絶え、そのまま行方不明。現在NASA は宇宙プロジェクトの推進体制や技術スタッフの育成そのものについて見直し ているようです。
なお日本の火星探査機「のぞみ」は2003年末か2004年初め頃に火星に到達する 予定です。
(2000-09-24)