この衛星は「ひまわり」と名付けられ、以後、日本の気象予測の精度は著し く上昇することとなります。
国策により作った衛星を種子島ではなくケープ・ケネディから打ち上げるこ とに対して、国内に異論がなかったわけではありませんが、当時種子島では こういう巨大な衛星を打ち上げる技術がまだ足りなかったのでしょう。実利 を優先したわけです。
それまでは日本の気象予測は各地の気象台・測候所・観測船の観測データと アメリカの極軌道衛星NOAAから配信してもらった映像に頼っていましたが、 NOAAよりも遙かに細かい精度の画像が得られるようになったことと、地球を 周回しているNOAAが2時間に1回しか画像が取れないのに対して、静止してい るひまわりはいつでも画像を取れることから、特に台風の進路予測に関して 飛躍的に精度があがることになります。
その後ひまわりシリーズは2号以降は種子島から撃ち上げられました。
GMS-1 ひまわり 1977.07.14 Delta2914 Cape Kennedy 325kg GMS-2 ひまわり2号 1981.08.11 N-Rocket Tanegashima 296kg GMS-3 ひまわり3号 1984.08.03 N-Rocket Tanegashima 303kg GMS-4 ひまわり4号 1989.09.06 H1-Rocket Tanegashima 325kg GMS-5 ひまわり5号 1995.03.18 H2-Rocket Tanegashima 345kg
さて、現在はこのひまわり5号が運用中なのですが既に5年たっていて寿命が 来つつあります。ところが宇宙開発事業団はその後継機の打ち上げに昨年11 月失敗してしまいました。急いで次のものを製作中ですが、そう簡単に作れ るものでもなく、打ち上げは2002年になりそうです。そして今まで万一5号が 故障した時のためにバックアップとして控えさせておいた4号もマジで寿命が 来てしまったため、今年2月廃棄しました。
そういうわけで、今日本の気象観測は実に綱渡り状態にあります。
H2ロケットの設計ミス、JCOのバケツ核燃料事故、雪印のゴムホース配管。
全て根は共通しています。それだけに腹立たしい思いをしている技術者が
日本中にたくさんいると思います。その怒りを実行に移さなければ日本は
滅びるしかありません。